10月度の「関西 洋風建築めぐり」講座は、奈良の鼓阪(つざか)小学校でした。東大寺転害門(てがいもん)のすぐそばにある鼓阪小学校(旧奈良第三尋常高等小学校)の前身は明治時代に遡るそうです。今回見学させて頂いた建物は、昭和9年の室戸台風で倒壊した木造校舎に代わって昭和11(1936)年に鉄筋コンクリート造で建てられたものです。しかし、当時の学校様式は洋風コンクリート建築がもっぱらであったのに対し、ここでは東大寺という歴史的景観に配慮してコンクリート破風造り(寺院建築様式)としたそうです。コンクリート造で日本風の建物というと、以前に見学した旧・琵琶湖ホテルなどがありますね。

私はこれまで何度か転害門の前を通ったことがありますが、まさかその奥に小学校があるとは露知らず。転害門の向こうにはちらっと講堂が見えるのですが、誰でもお寺と思いますよねえ。

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鼓阪小学校の建築の特徴は、第一に”コンクリート破風造り(寺院建築様式)”ということで、見せ場である屋根にここまで直裁に仏教寺院の屋根形を用いたケースは少ないとのこと。また、内部に大空間を持つ講堂と職員室・校長室などの管理スペース部分からなる本館が一体化していることも大きな特徴です。

さて内部です。なお、この日は、わざわざ校長先生が案内して下さいました。
高い天井の大空間である講堂は地域の公会堂的な役割も持っていた(現在も持っている)ようで、かつては正面奥に映写室があったそうです。また、一部の窓がバスケット・ゴールなどのためにふさがれたりで、昔の佇まいはあまり残っていないようです。しかし、縦長の大きな窓はとても印象的でした。

玄関脇の下足室は、ゆるやかなカーブを描いた曲面にアールのついた出入り口が優美ですね。応接室の天井は2段になっており(折り上げ天井?)、木製の扉や腰壁などは昔のままで落ち着いた雰囲気です。腰壁に取り付けられていたのはかつての呼び出しベルのスイッチでしょうか、可愛らしかったです。講堂部分と本館部分をつなぐ廊下部はトップライトになっており明るくて、それを支えるアーチが美しい。古い建物、しかも外観は和を基調とした建物内部で、このような構造は初めて見た気がします。

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そして、昔からある床タイルを眺めたりしながら隣接する校舎へ移動しました。その3階から見ると講堂+本館の屋根の様子がよく分かります。なかなか複雑な構造になっており、軒先の反りも味わいがあります。中央に廊下部のトップライトがチラッと見えていますね。

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各教室の室名表示のプレートは生徒さんの手作りでしょうか。素晴らしいです。世界遺産の中で学ぶ子供たちは幸せですね。でもそれを強く感じるのは卒業してからなのかなあ。。。
なお、この日の講座はまだもうちょっと続きがあります。

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