新年度第1回目の「関西 洋風建築めぐり」講座は大津市の旧・琵琶湖ホテル(現・びわ湖大津館)でした。当日は全国的に好天となり、夏を思わせるような暑い日射しの中を美しい桜のトンネルをくぐり抜けて現地を目指しました。
*********** 講師の川島先生のレジメより抜粋 ***********
昭和9年(1934年)に竣工し、同年11月より開業した、経営は滋賀県が担った、いわば国策的な外国人用ホテルであり、外貨獲得を目指した国際観光ホテルのひとつとして誕生する。同様なものに蒲郡ホテルなどがある。鉄筋コンクリート造にも関わらず、桃山風の和風意匠の外観となった理由は、外国人をターゲットとしたことによる。つまり外国人のエキゾチシズムをかきたてることが大きな目的とされた。正面は湖の側にあって、舟で上陸、あるいは舟遊びをしたときに最も美しい姿をみせるように、設計されていた。内部の見せ場はエレベータホールにあって、コンクリート製ながらも仏寺風の装飾に満ちあふれていた。設計者は大阪中之島公会堂や東京歌舞伎座の設計者として知られる岡田信一郎であり、信一郎は竣工前の昭和7年4月に死去していることから、実施設計ならびに現場監理については、実弟の岡田捷五郎が引き継いだ。施工は清水組、現在の清水建設だった・・・
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玄関前から建物を眺めてまず目に付くのは、柱・梁は言うに及ばず、破風(懸魚:げぎょ)・かえる股・肘木(?腕木?)・持ち送りなど通常は木で造られるものの殆どがコンクリート製であることです。コンクリートでもこのような優美な造形ができるんですね。かえって木よりも造りやすいということかもしれません。それにしても、この造形美は驚きです。先生からは勾欄や”装飾棟端瓦(そうしょくむなはしがわら 現地の解説にあった鬼瓦は誤りとのこと)”など様々な専門用語の解説がありましたが、かなりを失念(汗)。
内部は1階正面階段まわりなどに古くからのものが残っているようでしたが、全体的にはかなり改修されてしまったようで往事の面影は殆ど残っていませんでした。柱頭飾りが見事らしい多目的ホール「桃山」はイベントで使用されており、入り口のガラスのすき間からチラッと眺める程度でした。これは残念無念。他では両替所の格子やフロントのキー置きの棚(?)などの細部装飾に”おっ!”と思わせるものがあり良かったです。
展望テラスから見た琵琶湖の眺めが良かったです。テラスに敷き詰められたタイルも味わいあり。
↓湖側から眺めた建物の全景は今にも鳥が飛び立ちそうな感じがして伸びやかで美しく、ここが最大の見所でしょうね。建物の前面には広い芝生の広場があり、この余裕たっぷりのスペースが建物を引き立てていると思います。また、周辺に高い建物が見あたらないのも好ましいですね。
外国人用ホテルとしての経営は失敗に終わったものの、現在は多目的用途施設として多くの市民の方に利用され、これはとても素晴らしいことだと思います。先生のお話にもありましたが、(鉄筋)コンクリートで造られたからこそ、建物があまり傷むことなく利用できているのでしょう。
この後、先生からの呼びかけで有志10数名が桜も美しい三井寺へと向かいました。