忘れられない光景があります。
その光景は一瞬、 とても短い時間でした。
もう20年以上前になりますが、
私は車を運転中で、赤信号で止まりました。
ふと、歩道を歩いているご老人が、目に留まりました。
そのおじいさんは、
びっこを引いているような、
よたよた歩いていました。
そして、
そのおじいさんの手には、リードが握られていて、
そのリードの先には、中型の雑種の犬が歩いていました。
その雑種の犬は、
よたよた歩きのおじいさんの横をスタスタと歩き、
おじいさんを追い越していきました。
「あぶないっ!」 と思った瞬間。
その雑種の犬は、
リードが伸び切る直前にきびすを返し、
おじいさんの横を逆方向に歩きだしました。
そして、
おじいさんの横を通り抜け、
また、リードが伸び切る直前に方向を変え、
おじいさんと同じ進行方向に歩きだし、
横をすり抜けていきました。
感動しました!
その雑種の犬は、
おじいさんの相棒として、
おじいさんと共に、散歩を楽しんでいました。
二人に間には、 リードとは別に、
目には見えない、 光の絆があるのでしょう。
(絆とは、もとは動物をつないでおく綱のこと)
この二人は、
共に、
どんな日々を、
どんな人生を送ってきたのだろう。
(この二人の間には、訓練やアルファシンドローム、リーダー論などとは無縁でしょう)
信号待ちの、一瞬の出来事でしたが、
決して忘れられない、
忘れてはいけない、
素晴らしい光景です。
まさに、光の景色です。
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