天才は考え秀才は覚える | hirochanのブログ

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(灘校 本館 2017年5月撮影)

今年もセンター試験の時期が近づいてきました。
1月18日(土曜日)が文系教科
1月19日(日曜日)が理系教科
です。
今年がセンター試験最後の年になります。
来年からは共通テストと名前が変わります。

僕は大学受験予備校で数学の講師をしています。
現在の日本社会は依然学歴ヒエラルキーに支配されています。

その中にあって灘、開成、麻布、筑波大附属駒場、東海、東大寺、久留米大附設、ラサールなどの中高一貫校が一人勝ちしています。

この傾向は文科省の小手先の改革に何ら影響されることはありません。

その最先鋒に灘が存在します。
灘では中学3年間分の数学を中1で終了してしまいます。
そして中2〜高1で高校数学IA、数学IIBを3年間かけてじっくり学習します。
一方公立進学高校では1年と1学期ないしは2学期だけの超特急で数学IA、数学IIBを学習します。
灘では理系志望が大半を占めていて高2の1年間で数学IIIを学習して、高3はまるまる1年大学入試レベルの演習に充てることができます。
これが公立進学高校では2学年末ないしは3年1学期までに大急ぎで数学IIIを無理矢理終了させた上、その曖昧な土壌の上に大学入試レベルの演習を上滑りながら断行していくことになります。

この差は歴然と大学進学実績にも現れています。

(灘校 西館廊下 2017年5月撮影)

僕は受験数学が専門なので数学に沿って如何にすれば難問とされる大学入試問題が解けるようになるかを解説しようと思います。

因みに東京大学入試で合格者平均と不合格者平均が最も離れている受験教科は数学です。
東京大学入試のキーとなる教科は文理を問わずズバリ数学なのです。

(赤チャート 50年来の受験数学の参考書の定番)


【step1】まず当然ながら教科書や教科書傍用問題集のレベルをまずクリアしなければなりません。

【step2】その上で良質の入試問題や過去問の解答解説を読んで理解できるレベルの学力をつける必要があります。
そのために『チャート式(赤または青)』や『Focus Gold』『総合的研究(数学)』の例題を一部の例外を除いて全てマスターしておく必要があります。

(総合的研究 受験数学を本質から学ぶには最適)

【step3】次のステップは志望大学の過去問を解いてみてレベルや出題内容に関する目標設定をします。

設定した目標を突破するために良質な入試問題集を解いて行きます。
志望大学にもよりますが、レベルの高い大学の理系を目指すなら『やさしい理系数学』が良いでしょう。(決してやさしくはありません。)
志望大学レベルによって『大学への数学 1対1対応の演習』『大学への数学 スタンダード演習』『大学への数学 新数学演習』(後になる程高レベル)などから選んでください。

(やさ理 これを知らない人はモグリ)

入試問題集を解きながら節目節目で過去問を解いてみて実力がどれくらい付いてきたかを確認したり、目標設定を軌道修正すると良いでしょう。

(赤本 25カ年シリーズ 解説が素晴らしい〕

【step4】最終的には志望大学の過去問や大学別模試の問題を解いたり、一度解いた問題を復習したりして仕上げをします。
この時大切なのがどれくらい得点すれば合格できるかと言う目安です。
医学部でなければ半分くらい解ければ合格できる場合も多いのです。


坦々と綴ってきましたが、現実はもっと生々しいものです。
【step1】は誰でも実際に計算を実行して一つ一つ身につける必要があります。
公式は丸暗記するのではなく導けるようにしなさいとよく指導されますが、現実はそう甘くありません。
公式は即使用できてこそ真価を発揮します。
ですから、語呂合わせでも何でも覚えておくべきです。
その上で公式の導き方自身が出題されることもあるので導き方も記憶しておく必要があります。

問題は【step2】〜【step4】の取り組み方にあります。

昨年12月に和田秀樹の『灘校物語』が出版されまし
た。
この本で和田秀樹さんは和田式勉強法に触れています。
所謂「数学は暗記だ」と言うものです。
チャート式のマスターにしろ入試問題集のマスターにしろ解けない問題は解法をノートに書いりカードに書いたりして工夫して覚えてしまえと言うのです。

覚えてしまえば過去問も大学別模試も次第に解けるようになるという訳です。
ここで大事なのは解法を覚えるごとに思考力が増し雪だるま式に数学力が出来上がっていくということです。
これが効率を大切にする秀才タイプの勉強法なのでしょう。

和田秀樹さんはこの勉強法で自らは東京大学理科三類、落ちこぼれだった弟も東京大学文科一類に合格させています。

(灘中合格者数NO1浜学園西宮北口校2017年5月撮影)

ただ和田秀樹さんは灘中を5番で合格した才能を持っていました。
地頭が良かったことは想像に難くない訳です。
その地頭の良さをのびのびと東京大学理科三類まで導いたのが灘中・高の環境です。

灘の生徒軍団は並みではありません。
僕は灘中合格者数NO1の浜学園の西宮北口本校を訪れたことがありました。
「小6灘中合格特訓」の最中でした。
藤本孝則先生の国語の授業を教室の外から聞いていましたが大学入試並みのレベルでした。

更に灘高は高校入試で入っくる「新高一」と言う超優秀な生徒達が加わります。
この辺りは『伝説の入江塾は、何を教えたか』を読んでいただくと生々しい現実が伝わってくることかと思います。


秀才型の「暗記数学」ですが、それを実践する仕方には黙々と孤独に参考書や問題集に立ち向かう方法もあれば「鉄緑会」や「東進ハイスクール」「駿台予備学校」「河合塾」などの大学入試予備校を利用すると言う方法もあります。
その辺は自分の性格や生活スタイルに合わせて選択すれば良いのです。

ただ気になることがあります。
夏休み前などに生徒から夏休みは一日何時間くらい勉強が必要ですかと質問されることがよくあります。
または学校の先生などで「夏休みは一日最低10時間は勉強してください。」と言われる方がいます。

僕からすればこれらの方々は勉強の本質を勘違いしているとしか考えられません。
何時間勉強したかではないのです。
どこまで勉強を進められたかなのです。
これは絶対に間違えないでください。

(鉄緑会 梅田 2018年12月撮影)

これまではステップバイステップで完成させていく所謂「秀才型」のタイプを念頭にしてきました。
「数学は暗記だ」のタイプです。

これに対してとことん答えが出るまで自分で考え抜いてしまう生徒がいるのです。
理解が速く秀才型が1時間かけるところを瞬間的に察知してクリアして行きます。
彼等は殆ど質問に来ません。
来たかと思うと
「先生、この問題僕はこう考えたのですが、先生はどう考えますか?」
ときます。

中には自分で入試問題を作りだして発表する者までいます。
これぞ「天才型」なのです。

「天才は考え、秀才は覚える」

(慶應大阪キャンパス 2018年12月撮影)

冒頭でも学歴ヒエラルキーの支配について触れましたが、その頂点に位置する東京大学・京都大学・旧帝大医学部がそのまま社会の頂点に平行移動する訳ではありません。

超一流企業などでは学閥が存在していることが広く知られています。
早稲田大学は一学年約1万人、慶應義塾大学が約5千人、東京大学が約3千人、京都大学が約2千人です。
人数が多いほど学閥の力は大きくなります。
最強の学閥と言われているのが慶應義塾大学の「三田会」です。
「三田会」に所属していれば超一流企業でもまず部長職までは登れると言われています。

そのため最近では医学部を目指すのでなければ灘、開成、麻布ではなく早稲田、慶應の中高を目指すのも一つのブランドと見做されています。
幼稚舎もますます人気のようです。

今日は勉強や学歴の話しばかりになってしまいましたが、どう生きるかは自由です。
成功者が必ずしも幸せになるものでもありません。

自分に合った生き生きとした人生を全うすることこそ幸せなのだと僕はしみじみと感じています。


(灘校 嘉納治五郎先生立像 2017年5月撮影)