「私は違うから」の続編です。


---------------------------


一年後、結婚式の案内が届いた。


あの人が結婚するらしい。


そうか、そうなんだ。


私はモヤモヤした気持ちを胸に抱きながら、ベッドに寝っ転がる。


私たちはどこで道を間違えてしまったのだろう?


もし、あの時別れなかったら。


私が引き止めていたら。


ここに書かれている名前は私だったのだろうか。


そんなことを思ってももう無駄で、私は何もすることが出来なかった。


私はその案内状の裏を見ると、懐かしい連絡先が書かれていた。


私はすぐに携帯を探し、その番号に電話をかける。


すると、懐かしい声が携帯から聞こえてきた。


久しぶり』


「っ久しぶり」


『届いたんだ、案内状』


「うん……結婚、おめでとう、」


ありがとう』


『ねぇ、今から会えないかな。』


「え?」


『いつも散歩していた、あの場所で。』




私はその言葉を聞き、急いで服を着替えて家を飛び出した。


ドキドキした気持ちと、私が会っていいのだろうか?という気持ちを抱えながら、必死にその場所まで走る。


私が着いた頃にはもう彼女は着いていて、息を切らしている私を見てクスクスと笑った。


『もう、焦りすぎ』


「ごめんっはぁっ……


『ふふ、まぁ、座ってよ』


うん」


……久しぶりだね、』


「だね


「元気だった、?」


うん、元気だったよ』


なら良かった」


そこで会話は途切れて、川のせせらぎ音だけが耳に飛び込んでくる。


私は違和感を感じてふと下を見ると、以前は重なっていた手が重なっていないことに気づいた。


私はもう、この手を握ることは出来ない。


ねぇ、最後に抱きしめてよ』


そう、彼女が唐突に言ってきた。


いいの、?」


うん、抱きしめてほしい』


両手を控えめに広げてくる彼女の胸元に勢いよく飛び込むと、彼女は笑顔を零した。


数年前と、何も変わっていないこの笑顔。


『ほんと、久しぶりだなぁ、この感じ。』


「うん


このまま彼女を連れ去りたい。


でも、そんなことは出来ないんだ。


責任を感じるとかそういうのじゃなくて、ただ私の勇気がないだけ。


ずっとこうしていたかったけど、私は彼女から手を離して、少し微笑んだ。


結婚、おめでとう」































「由依。」