夫の不倫を話すために実家に行った

お土産を渡して忘れ物を取りに行くという口実で、平日の昼過ぎに訪問

母がまだ帰ってなかったので、父と雑談したりペットと戯れたりしながらも、心はソワソワ…

だめだ、緊張する…

 

心を落ち着かせようと、祖父母の仏壇に手を合わせる

祖父母の写真が目に入り、戦時中から戦後の大変な時代を生き抜いてきた祖父母の人生が頭に浮かんだ

産まれたばかりの子供をおぶって防空壕に避難したり

戦後は食べるものがなく、海でとれた魚を背負って1日かけて山奥まで売りに行ったと聞いたことがある

ただ生きるために懸命に頑張ってきた

それに比べたら、私の問題なんてたいしたことじゃないと思えた

 

いつも迷った時は、こうして仏壇の前で背中を伸ばして手を合わせる

祖父母が答えを教えてくれるわけではないけど、自分の中でまっとうな考えが降りてくる

この時も自然と心が整い、心の中で声がした

(私はただ自分のするべきことをすればいい)

 

両親が揃ったところで

「話があります」

と切り出し、

「夫が不倫しています」

と言った

母「うそっ!

発覚してから今までの経緯を淡々と話した

途中声がかすれたり、言葉に詰まったりした

でも決めていた通り、個人的な感情は抜きにして事実だけを話した

母「信じられない…」

私「事実です」

母「なんなの!?幸せにしますって言ったのに…!」

わかりやすく怒る母

母「よくこの家にも来れたね!

どういう神経してるの!?

もう二度と入れないから!

もう来ないでって言っといて!」

 

母は私と正反対の性格

喜怒哀楽がはっきりしている

仮に父が不倫したら、もっと怒り狂って怒鳴り倒す…いや暴力までいくだろうな

感情を丸出しにする母が苦手な時もあるけど

今はこの素直な反応が私にはありがたかった

今まで誰にも言えなかったから、こうして共感して怒ってくれるのが嬉しかった

 

夫は営業職で、両親はノルマに協力するために客として何度か商品を買っていた

そのことについても

母「そんなことしといて、よくも勧めてこれたね!

一体どの面下げて…!

ほんっと厚かましいわ!!」

確かに、いい度胸してるな…

 

結婚してからずっと両親は夫を気に入っていて、色々と良くしていた

実家に来た時は夫のためにいいお酒を開け

夫の誕生日にはお祝いに現金を渡し

仕事用の靴や鞄など買ってあげた

母「お父さん、ちょっと過保護にしすぎたんじゃない!?」

私「でも夫のこと気に入ってたでしよ?」

母「そうよ!あんたがかわいいから、夫のことも大事にしたのよ!

甘やかしすぎたわ!

そんな人だとは思わなかったわ」

残念ながらそんな人だったんですよ…

 

そして、私の考えも話した

「この件に関しては口出ししないでほしい」「自分で決めたい」と

もちろん先の見えない今後のことを心配された

ずっと黙って聞いていた父も「子供のことは考えてるのか?」など言ってきた

でも

「どんな選択をしても、幸せになるために頑張るから」

と涙ながらに言うと、両親ともに

「わかった」

と言ってくれた

 

最後に母が

「辛かったねぇ」

「あんたが笑っていてくれたらいいからね」

と言ってくれた

 

ずっと欲しかった言葉が心にしみた