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平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。


悪しざまに「害務省」と批判して
いた当人がいつの間にか、外相に
就任し、おごり高ぶった言動を繰
り返している。先日、対ロ領土交
渉の対応を聞かれ、4回も「次の
質問をどうぞ」と繰り返し、質問
を無視し続けた河野太郎外相であ
る。かつての発言を振り返ると、
そのあまりの変節漢ぶりは見逃し
難くもはや「政権の愛玩犬」と呼
ぶのにふさわしい。それをまとも
に追及もできない記者の姿も二重
写しに見え情けなくなる。彼らに
代わって、「変節大臣、次の放言
どうぞ」と皮肉を浴びせたくなっ
た。



記者会見が何のために開かれてい
るかも理解しない閣僚ばかりの政
権である。安倍晋三首相自身も自
分にとって都合の良い時に「ぶら
下り会見」で一方的に話すばかり
で、記者の質問にまともに答える
姿を見たことがない。ぶら下りの
最後に、質問を封じるように体を
急いで反転し、背を向けて急ぎ足
で立ち去る。先週末、ゴルフプレ
ーの後、記者に「辺野古沖への土
砂投入」を聞かれ、ばつが悪かっ
たのか何も答えず、逃げるように
カメラから姿を消した。この政権
はずっとこうした場面を見せつけ
続ける。たまに質問に答えても「
ご飯論法」でかわそうとする。批
判に向き合わない政権の体質は一
貫して変わらない。



トップがこうだから、閣僚らも同
じ振る舞いをして恥じない。特に
河野外相がひどい。外相になった
とたん、夜の空港で3時間以上待
つのは嫌だと言って、「外相専用
機を」とおねだりした。それが批
判されたら、すぐに引っ込める始
末だ。



自民党が野党時代には「ごまめの
歯ぎしり」と題したブログで「脱
原発キャンペーン」を展開、原発
推進政策を批判して支持をひろげ
たが、与党になってから、発言を
封印し「脱」も口にしなくなり。
核拡散防止についても米国の政策
に追従するだけで、唯一の被爆国
としての務めを果たす気もない。



まるで「俺は政権の愛玩犬になる
」と自身で決めたかのように、河
野外相は露骨な変節ぶりを隠さな
くなった。同じ選挙区の菅義偉官
房長官の手ごまの一人になりきっ
て、次世代のリーダー選びにあた
って、小泉進次郎議員の対抗馬に
なる心つもりが見えて仕方ない。



4回連発の「次の質問をどうぞ」
が一斉に批判されたのは当然だが
、首相の高慢な会見と同じように
、そのまま批判が高まらないと思
い上がっていたのだろう。驕り高
ぶった極みであった。そんなひど
い対応は本来なら更迭にも匹敵す
る。本人にとって予想外の批判の
高まりにあわててブログで「お答
えは差し控えると答えるべきだっ
た」と謝罪した。しかし、もはや
政策以前に「人として信用できな
い」と問われるぐらい、自らを貶
めてしまった。とても次の総裁選
どころではない。



それにしても、4回も無回答をス
ルーさせた記者の自覚のなさに言
葉を失うほどだ。1回目に質問し
た記者はなぜ瞬時に、外相を問い
詰めなかったのか。記者会見は有
り難くコメントをいただく場では
ない。読者や視聴者の「知る権利
」を託されているのである。その
責務を自覚していないなら、外務
者記者クラブ「霞クラブ」は全員
交代するべきだ。今回の答弁拒否
と見逃しは記者側の職業倫理の欠
落を改めて見せつけてた。



         【2018・12・17】



寒さで身がすくんだようなお地蔵
さんを「散りもみじ」が温かく包
み込む。ふと顔から笑みがこぼれ
たように見えた。京に初雪が舞っ
た前日、洛北の圓光寺を訪ねると
、わずかに残ったもみじの紅い葉
が「比叡おろし」の寒風に耐える
ように陽光を浴びていた。気高く
みえた情景が「来たる冬」に備え
る心構えを呼び起こしたた。






圓光寺は宮本武蔵の名を一躍世に
高めた一乗寺下がり松の決闘の地
から近い禅門の名刹だ。市内を一
望できる山門をくぐると、「龍が
奔り雲海が煌めく」ことを表現し
た枯山水の「奔龍庭」が広がる。
白砂は渦とさまざまな流れのある
雲海を見立てている。そびえる石
柱は龍の頭部と背中付近を表わし
、龍の背後にも光る稲妻として切
り立つ。庭はながめる人が自由に
心の中で完成させられるように未
完のままという。




境内の庭は牛を追う牧童の様子が
描かれた「十牛図」を題材にして
いる池泉回遊式である。散りもみ
じに埋もれた地蔵は、やさしい慈
愛に包まれた安らぎの表情を放つ
。もみじが色づく季節になると、
石像目当てに全国からカメラマン
が訪れるのも分かる。心温まるこ
の一コマだけで、どのもみじのシ
ーンを圧倒するインパクトがある











白壁の塀の瓦には落葉したもみじ

が何重にも重なる。竹林から吹き
付ける風が時に箒ではくように葉
を空中に散らす。その葉が手水鉢
の水に浮かぶ。周りの苔の緑とも
みじの赤の鮮やかなコントラスト
にしばらく見入ってしまう。




春には紅枝垂れ、河津桜、鬱金緑
八重桜などの名桜が咲き乱れると
いい、季節を変えて訪れる楽しみ
がある。もみじが散った後は、山
茶花が目を楽しませてくれる。ち
ょうど山門近くの高い生垣には一
斉に赤い花びらを付け始めた。喧
騒から離れたこんな初冬の洛北散
歩の帰途、近くのまいかけをかけ
られて並ぶ何体もの地蔵から「ま
た来て」と声をかけられている気
分になった。






   【2018・12・12】


(写真は散りもみじに埋もれたお
地蔵さん、市内を一望できる奔龍
庭、十牛之庭のもみじ、白壁の塀
の落葉、黄もみじと竹林、手水鉢

のもみじ、山茶花の生垣、近所の

地蔵小屋)



政府が隠していた驚くべき数字が
また暴露された。外国人技能実習
生が3年間に69人も死亡していた
ことが野党の調査で分かり、参院
法務委員会で追及された。しかし
、安倍首相は「初めて聞いたので
答えようがない」と責任回避の答
弁を繰り返した。来日外国人の労
働環境改善など中身が空っぽの入
管法改正案が強行採決されるとい
うのに、メディアはほとんど取り
上げず、「貴ノ岩暴行」ばかりを
報じる体たらくである。新聞も中
立を装って、「議論かみあわず」
と与党の強引な国会審議にまった
く踏み込まない。一段と形骸化す
る国会は、公権力監視の使命を忘
れたメディアの怠慢の表れでもあ
る。


「69人死亡」の中には自殺が6件
もあった。異国での仕事に夢をふ
くらませて働きながら、低賃金し
か支払われなかったことによる悲
しい結末は、受け入れる国の政治
が機能していないからである。こ
んな法務省の集計資料がありなが
ら隠し通そうとした。しかし、国
会提出資料の改ざんが見破られし
まった。野党が「原本の数字」を
出せと迫ったのは当然だろう。し
かし、同省はコピーもさせず「写
し取り」ならとようやく応じた。
「69人死亡」は党派を超えた多く
の野党議員が手分して数千ページ
の中から、独自集計してようやく
突き止めた数字なのである。



当初から、この法案は「今国会で
成立させる」前提で提出された。
多数与党の驕りからか、安倍首相
は5日「あす法務委に出てややこ
しい質問を受ける」と放言した。
初めから新法案を説明するという
姿勢が皆無で、野党を愚弄した発
言だった。漢字も満足に読めない
本音だったかもしれないが、案の
定7日、野党議員から「首相にや
やこしい質問をお聞きする。異常
事態が続いているのに、何で調べ
ないのか」と質問された。国会質
疑を「ややこしい」と言ってしま
うのは、自ら頭の中をさらしての
と同じで。その自覚もない。軽口
で済まされることではなはずだ。
それでもテレビの情報番組は取り
上げない。入管法改正案だけでな
く、水道事業に民間の参入を許す
水道法改正案など今国会最大のヤ
マ場に一向に有権者の関心が高ま
らない。


批判に耳を傾けようとしない首相
は露骨にその顔を隠さなくなった
。「一強」がもたらした驕りだろ
うが、体に流れているのは「冷た
い血」か。ノーベル平和賞を受賞
したカナダ在住被爆者、サーロー
節子さんとの面会も断った。海外
の特派員らから「被爆国の日本の
トップとして理解できない」と疑
問視されている。まだ批准してな
い核兵器禁止条約の署名を求めら
れるのが、不都合でも、国際的に
高く活動が評価され、高い敬意を
払われている人物を適切に遇する
のが役目であるはずだ。首相官邸
に来ているのに、隠れるように出
てこないのは、幼児の振る舞いに
等しい。



昨日は質問で聞かれてもいない
ことを言い出し、民主党政権時代
に牙を向けるように攻撃していた
。政治学者の浜矩子さんが以前「
幼児的凶暴性を持つ人物」と首相
を評していたが、改めてその慧眼
にうなずいた。


    【2018・12・7】


抑え切れなかった怒りが、強く伝
わってきた。秋篠宮の「53歳誕生
日記者会見」で山本信一郎・宮内
庁長官に向けて「聞く耳を持たな
かった」と難じたのは、天皇退位
を政治的に利用とする安倍政権へ
の皇室全体の意思を代弁したよう
に映った。今国会中だけでも、中
身が空っぽの入国管理改正法案、
海外では失敗例が多く不安が募る
水道民営化法案など野党の反対に
まったく「聞く耳を持たぬ」審議
を続ける安倍政権。その暴走ぶり
は一段と加速しているのに、有権
者の関心は高まらず、メディアは
中身のない首相外遊をまるで成果
があったように伝える。「忖度報
道も極めり」である。今回の秋篠
宮の言葉が「頂門の一針」のよう
に、有権者の覚醒につながること
を願うばかりである。



昭和天皇から続く靖国神社不参拝
、アジアの戦地への慰霊の旅、欠
かさぬ災害被災地への慰問……。
どれもが戦争責任への反省と深い
内省からと受け止められ、共感を
集めた。特に国粋色の強かった2
013年の「主権回復の日」式典
では、「天皇陛下万歳」という声
が会場に響き、政治利用の目論見
が露呈した。天皇、皇后は一瞬驚
いた様子が印象深かった。頭を下
げていたが、内心は苦虫をかみし
めたような心境だったのではない
か。そんな抗議の意思は許さない
とばかりに、退位表明後は、安倍
政権は自らの支持組織「日本会議
」のメンバーを登用し、日程、式
典などを政府ペースで進めた。そ
こに天皇家の意思はほとんど反映
されなかった。



政権と反目する気配を有権者に察
せられてはならないと今年の「明
治150年記念式典」には天皇、
皇后は呼ばなかった。そして天皇
家の私的神道行事を華美な国家行
事にする「大嘗祭」についても、
当然のように前例踏襲し、国費22
億円も拠出することを決めていた


来年「皇嗣」となる秋篠宮がつい
に公の場で初めて政府決定に疑義
を表明したのは、新天皇即位前の
今しかないと考えたからではない
か。「聞く耳を持たぬ」と断じら
れた山本長官は即刻辞任すべきだ
。またその言葉は任命責任のある
首相にも向けられたとみるべきだ
ろう。


2日の毎日新聞書評欄では保守政
治研究が専門の政治学者、中島岳
志さんが現天皇の師だった元慶應
義塾塾長、小泉信三の伝記本(小
川原正道著)を紹介。その中で小
泉が皇室が「道徳的資質」を備え
ていることの重要性を説き、その
教育が今の天皇に影響していると
記述している。天皇が繰り返した
祈りと戦争への深い反省の旅はそ
れに符合するように映る。そして
その一つ一つが戦前を賛美し回帰
しようとする安倍首相への抗議に
も見えたのは、自分だけだろうか


秋篠宮の言葉から改めて「皇室の
政治利用は許さない」という強い
意志を感じた。何より、14億円も
かけて設営した大嘗宮を式典後す
ぐに解体するという無駄遣いがこ
の現代に許されるはずがない。多
くの市民から違憲訴訟がまた提訴
されるのは当然だろう。来年5月
の「即位10連休」も何の根拠もな
く決まった。そのことに、異議の
声が高まらないのは、有権者の思
考停止ぶりの表れである。


   【2018・12・2】

 


空疎な開催計画にばく大な金額の
血税投入……。2025年年国際
博覧会(万博)の開催地が大阪に
決まった。国や大阪府は東京五輪
後の景気浮揚策として経済効果に
期待するが、マイナスデータはま
ったく示されていない。大阪五輪
誘致失敗後の「負の遺産・夢洲」
の再活用を目的にした当時の橋下
徹・大阪市長が政治的思惑が一致
した安倍晋三首相に働きかけたき
っかけだった。夢洲では万博開催
1年前に「カジノ」がオープンす
る予定だ。実質的には「カジノ」
への誘客を狙った目くらましの万
博とも言え、ギャンブルの「害毒
」を内外にまき散らすことになり
かねない。


「万博」の開催理念には「公共の
教育に資する」と書かれている。
同じ地にあるカジノがそれに沿う
のかという大きな疑問が募る。今
年、カジノ法案を強行可決させた
安倍首相に昨夏、トランプ米国大
統領から「日本進出の意向がある
自分の友人のカジノ経営者がいる
」と伝えられたという。その内幕
を最近、米紙が報道し、国会でも
取り上げられた。日米のカジノ利
権をめぐる思惑が一致し、政府が
大阪の万博誘致を一段と強く後押
ししたとされる。いわば、トラン
プ大統領の友人らのカジノのため
日本の税金が「万博」という大義
名分の下で、投入されるというあ
きれた構図である。


万博会場の夢洲には地下鉄の延伸
や道路拡張などで730億円もか
かる。たった半年間のイベントと
カジノのために、そんなばく大な
血税を投入して良いのか。冷静に
考えれば、住民は賛成できないは
ずだ。沿線開発もほとんど期待で
きない。これとは別に、会場建設
費1250億円の3者(国、府市
、経済界)による負担割合も決ま
っていない。


期間中の来場者も2800万人を
見込むがこれも期待値にすぎない
。事業運営費820億円には入場
料収入を充てるというが、集客が
計画通りにならないと、ドイツの
ハノーバー万博(2000年)で
の赤字1200億円と同じ結果に
ならないとは限らない。


万博開催のインフラ投資で開発効
果を上げるというのはかつての高
度経済成長期のモデルで、今はそ
んな巨費を投入できる財政基盤も
なく、価値観の多様化した世界の
人相手に誘客がどこまで見込める
か保証はなく、リスクが高い。



大阪開催決定をメディアは十分な
検証もせず、お祭り騒ぎをしてい
る。批判できにくい空気を生み出
していないか、自問してブレーキ
役を果たさなければ、さらなる財
政赤字を生み出すのは必至である
。開催テーマに掲げる「いのち輝
く未来社会のデザイン」の中身が
イメージできる人はどれだけいる
だろうか。街頭インタビューでも
「楽しみだ」「行きたい」と答え
る人ばかりを映し出す。その光景
に何も考えない「思考停止」の風
潮の広がりを感じた。


人の健康を蝕み、命さえ縮めかね
ない「毒」を持つ「カジノ」と、
「いのち輝く」がどうつながるの
か。まるでブラックユーモアのよ
うなテーマの下、ほくそ笑む人ら
の言動に目を凝らし続けたい。


    【2018・11・26】

 



「法の番人」が、こともあろうに自ら
データ改ざんに手を染めていたー
ー。外国人労働者の受け入れ拡大
に向けた入管法改正案の国会審議
中に出された法務省の集計は意図
的な改ざんの疑いが濃厚になった
。失踪した技能実習生への聞き取
り調査で、失踪動機の「低賃金」
を実際より低くみせるため、20
15年以降「質問項目になかった
「より高い賃金を求めて」を事後
、勝手に設定。そこに「低賃金」
と答えた回答者の数を算入してい
たのである。複数の省庁で公文書
を改ざん、隠ぺいしたのに誰も責
任を問われないという「モリカケ
の毒」が想像以上に霞ケ関の官僚
社会全体に広がり、国の根幹を蝕
んでいる実態を改めて見せつけた


先週末、新聞各紙は「ずさん集計
」(毎日)「調査に誤り」(朝日
)など、数字の過大算入がミスの
ように報じているが、その後の野
党の検証によって「高賃金を求め
て」は設問になかったことが判明
したという。後で、都合よく「低
賃金」を低くみせるための改ざん
は、一連の「森友・加計疑獄」で
財務省や文科省などが行った隠ぺ
い工作と同じ手口である。


先の通常国会での働き方改革法案
審議でも厚労省が政権に不都合な
調査数字を表に出さないため、ダ
ンボール箱をごっそり隠していた
ことが判明した。昨年来、政権の
公文書管理のあり方が政府の都合
よく狭められていたことに批判が
高まり、専門家らから保存、公開
の対象をもっと広げるべきという
指摘が相次いでいる中での、今回
のデータの意図的改ざんであり、
罪深い。


「疑某は成すことなかれ」


はかりごとは、疑問が少しでもあ
ればやってはならないと統治の心
構えを説いた中国「書経」の一節
である。役人が作った行政文書は
国民共有財産のはずだ。それを意
図的に隠したり、改ざんすること
は許されない。それを法の厳正な
執行を見守る立場の法務省の役人
が不正に関与、「エクセルファイ
ルデータの切り貼りに必要な作業
を忘れた」とお粗末な言い訳をし
ていること驚く。


衆院法務員会の葉梨康弘委員長は
森友学園の籠池泰典前理事長の証
人喚問で、「偽証だった」と刑事
告訴をにおわし、後に大恥をかい
た元警察官僚である。山下貴司法
務省も閣僚最年少で石破派への当
てつけのように、安倍氏首相から
一本釣りされた元検事だ。強引な
審議を進めようとする2人はどち
らも「法の番犬」だった誇りのな
く、「政権の愛玩犬」に成り下が
った振る舞いである。


改ざんを隠しきれなくなって、山
下法相は20日、「心からおわびし
たい。修正したい」と述べ、検証
チームの立ち上げを表明した。「
何を今さら」というしかない。メ
ディアも「ズサンだ」と報じるだ
けでは済まされない。


国柄を根本的に変えるかもしれな
い法案の拙速な審議をたださなけ
ればならない。日本に将来の希望
を託してくる外国人を温かく迎え
入れるためにも、過酷な労働実態
を隠すような改ざんを、もっと強
く指弾すべきだ。こんな出鱈目な
集計がまたまかり通れば、長時間
労働や低賃金の労働環境が維持さ
れてしまう。他国の人の人生まで
をも収奪することにつながるこの
法案は廃案にすべきである。


   【2018・11・21】

 

とどまるところを知らない「ポン
コツ閣僚」のオンパレードだ。1
00万円をもらって税務署に口利
きした片山さつき地方創生相、パ
ソコンを使ったこともない桜田義
孝・サイバーセキュリティー担当
相、宛名のない領収証乱発した平
井卓也科学技術相……。どれも閣
僚辞任に相当するのに、平然と居
直る国会答弁にへきへきさせられ
る。まるで任命した安倍晋三首相
が「モリ・カケ疑獄」で居直った
姿を見習っているかのようだ。ま
さに「類は類を呼ぶ」である。そ
の首相は唐突に北方領土交渉で「
2島先行引き渡し」に舵を切った
。このままでは歴史に何の功績を
残せない焦りからではないか。主
権の存在も明確にしないままの「
売国外交」は許されない。



ロシアのプーチン大統領と22回も
会って進展のなかった領土交渉は
「4島一括返還」を求めるのが基
本方針だったはずだ。それが14日
に、安倍首相の方から「2島先行
」を持ち出した。今、なぜなのか
何の説明もない。さっそくロシア
側から2島を引き渡しても「日ロ
どちらに主権があるか『日ソ共同
宣言』では書かれていない」とけ
ん制されている。メディアは仰々
しくこのニュースを扱っているが
、政権のプロパガンダに乘ったよ
うな扱いだ。朝日新聞は1面トッ
プだけでなく5面にもわたって関

連記事を掲載した。読者にあた

かも進展しているように思わせ

罪深い。政治部記者らの判断が

扱いを誤らせているのではない

か。



毎日新聞が2面の準トップでしか
扱わなかったのは、背景を読み取
ってか、扱いを抑制する意思が働
いていた。朝日は翌朝16日には、
前日紙面ののはしゃぎ過ぎに反省
したのか「2島先行、高い壁」と
いう見出しで分析記事を大きく掲
載、「主権の認識、日ロにズレ」
とブレーキをかけたうえ、社説で
もあわてて「拙速な転換は禍根を
残す」と論調を変えた。



政権幹部らからは残り3年の任期
中に解決して、功績と残したいと
う首相の意向が働いた内情が語ら
れている。そうであれば、功を焦
った首相が冷徹な外交戦略も立て
ず、独断で「2島先行」を進めて
いるようにみえる。あの日ロ通を
自認する鈴木宗男氏がいくら「1
000%信頼している」と首相に
エールを送っても、国内世論を無
視した外交交渉はあり得ない。



首相は一方で、来日したペンス米
国副大統領との会談で、それまで
「『FTA』でない」と言い繕っていた

二国間の貿易交渉を、あっさり否

定された。そして、トランプ大統領
が米国ペースの交渉開始を喜んで
いると明かされてしまった。相手
の土俵に乗った交渉だったことが
明白なのに、それを隠し通す姑息
さ。大事なことを説明しない首相
の人柄が一連の外交政策にもにじ
み出ている。そこにつけ込まれ強
い相手に手玉に取られるばかりで
だ。米国の言いなりになって得た
ものもなく、ロシアには「土下座
」をするようの映る。ずっと国会
審議を逃げて、外遊を繰り返した
挙句がこの惨状である。


メディアの責任も重大だ。随行記
者は「政府発表文」を伝えるだけ
で、課題や内実に迫る取材力もな
ければ、気迫もない。政権の応援
団のような振る舞いばかりが目に
つき、戦前の「翼賛メディア」の
復活を見るようである。


   【2018・11・16】


「古い悪魔が再度目覚めつつあ

る」


フランスのマクロン大統領が高ま
るナショナリズムの兆候に声を強
めて警鐘を鳴らした。パリの凱旋
門前で11日開いた第一次世界大戦
終結100年記念式典で、各国首
脳を前に演説した。安倍晋三首相
に代わって日本から出席した麻生
太郎・副総理に最も聞かせたい言
葉だった。かつて「ナチスの手口
に学んだらどうか」という暴言を
吐いた人物にはマクロン演説は上
の空だったのではないか。



黒いコートに身を包んだマクロン
大統領は初冬の寒さだけでなく、
迫りくるナショナリズムの高まり
に身構えるように気迫ある口調だ
った。まるで目前に居並ぶトラン
プ大統領やプーチンロシア大統領
ら70人の各国首脳に聞かせるかの
ようでもあった。世界で1000
万人以上が戦死した第一次大戦の
後も第二次大戦を引き起こした歴
史の教訓を人類全体が共有すべき
と述べた。中距離核軍縮合意を無
にしようとする米ロ両首脳の眼前
で、遠慮なく「悪魔の再来」と批
判した勇気ある名演説だった。


「大戦後に誰もが平和を誓ったが
、ナショナリズムや全体主義の高
まりが二度目の大戦を生んでしま
った。歴史は繰り返す時がある。
愛国主義はナショナリズムと正反
対の位置にあるものだ」



よほど耳が痛かったのか、トラン
プ大統領はこの後開かれた「平和
フォーラム」に出席しなかったが
、ドイツのメルケル首相が演壇に
立ち危機感を共有してこう演説し
た。


「国際的な協力が疑問視されよう
になり、国家主義的な視野の狭い
考え方が再び広がっている」


逆風が吹く欧州の二人のリーダー
が共に同じ考えで、世界に拡散す
る自国第一主義と全体主義的風潮
を戒めたことに強くうなずいた。
それにしても、こんな現代史の節
目となる国際的な行事に、ことも
あろうに、「ナチス発言」を反省
もせず、差別的発言を繰り返す人
物が出席することがふさわしいか
自問も出来ない。そして日本とい
う国がどうみられるか想像もでき
ない政権の体質が改めてさらけで
た。麻生氏はどんな顔をしてマク
ロン演説をきいていたのか、のぞ
きたくなった。通訳があっても、
意味が分からなかったかもしれな
い。



こんな誤った政治判断だけでなく
安倍首相自らまた失態を見せつけ
た。米国議会中間選挙後、いち早
く勝利宣言をしたトランプ大統領
と電話会談して祝意を伝えた。上
院では共和党が過半数を維持した
が。下院の過半数は民主党に奪還
された。今後の展開次第では、ロ
シア疑惑による「トランプ弾劾」
や予算案審議の審議中断などが想
定され、強がっても「勝利」とい
えるものでなく、トランプ政権の
敗北という見方も多い。外交上の
常識は、相手国の内政にふれない
のが慣行とされるのに、今回の祝
意伝達はまさに「ポチ外交」の面
目躍如である。この国の有権者と
して誠に恥ずかしい。



最後に、マクロン演説は世界の人
々の胸に響いたが、それを一歩超
え、愛国主義という言葉とも離別
、地球市民の一人でいたい。


「人類から愛国心を叩きださなけ
れば、けっして平穏な世界は訪れ
ない」


こう警告した英国の作家、バーナ
ード・ショーの言葉を改めてかみ
しめている。


    【2018・11・12】





少数者への偏見と差別に満ちた「
トランプ政治」に風穴を開けるほ
ど破壊力を持つ迫真の映像の連続
だ。米国のマイケル・ムーア監督
の最新映画「華氏119」は、観
客の皆をすぐに席を立って行動を
おこす気にさせる傑作である。ム
ーア監督は白人優先の政治によっ
て蹂躙され「傷ついた米国」の様
相は余すところなく伝える。それ
はトランプ政治を賛美した「安倍
一強政治」の専制化とどこか重な
って、米国の今が「3年後の日本
か」と想起させ、慄然とする。



米国社会の劣化を告発し続けるム
ーア監督がついに「トランプ政治
」の内実に切り込んだ。冒頭から
リアルな実写映像でその元凶に迫
る。大統領選での不正工作の暴露
場面は圧巻である。草の根選挙で
大きな支持を得ていた民主党バー
ニー・サンダースの予備選挙の票
が実はヒラリー・クリントンより
多かった州を並べて、詳細に数字
で暴露する。特別代議員と言う制
度が、草の根市民候補を排除して
きた経緯がはっきり分かる。ヒラ
リー・クリントンでなくバーニー
サンダースが勝っていたら、その
勢いが燎原の火のように広がって
、「トランプ当選」は無かったか
もしれないとまで思わせる。大統
領選では、セクハラや性犯罪歴の
ある大手メディアのキャースター
の何人もがトランプ候補に聞くシ
ーンと罪の数を重ね、メディア自
身の堕落ぶりを容赦なく描く。


「トランプ政治」を誕生させた罪
はオバマ前大統領にもあるとして
登場させ、容赦ない。そして、鉛
に汚染された川から取水した水道
によって鉛中毒に侵されるミシガ
ン州フリント市の市民や子供の姿
の痛々しい姿に迫る。知り合いの
企業だけが利益を得る事業を進め
た知事をオバマ前大統領や既得権
益層が守る。一瞬、民活の名の下
に、「カジノ開放」など一部企業
だけに利潤をもたらす大阪の「橋
下維新政治」の共通点を思った。


フロリダ州パークランドで起きた
高校での銃撃事件やウエストバー
ジニアの教員ストライキなど、視
点はどれも名のない市民らに置か
れている。「グローバリズム」や
「新自由主義」の名の下に、エス
タブリッシュメント優遇政治に生
活の困窮を迫られ、分断される姿
はどれも痛々しい。これも「働き
方改革」など立場の弱い人に過酷
な労働条件をもたらす「安倍政治
」と重なる。生活保護受給世帯を
罵倒した片山さつき地方創生相ま
でもが頭をよぎった。


しかし、日本と違って「トランプ
政治」に抗して立ちがる女性や若
い学生らの姿が大きな波のように
全米に広がっている場面には感動
を覚える。下院選挙の女性候補は
誰も凛々しく説得力ある言動に魅
了される。昨日夜から始まった開
票の結果にかかわらず「ストップ
・ザ・トランプ」の潮流を起こす
のではないか。


ムーア監督は映画の中でヒトラー
登場以前のドイツの隆盛と文化の
高さを紹介、ナチス・ドイツ生ん
だ背景にも切り込んでいる。それ
はよく似た政治手法で専制化をう
かがう「トランプ大統領」への挑
戦状でもある。


ラストのメッセージが鮮烈である
。正義を守るのは、憲法や特別検
察官でもなく、市民自身の「行動
である」と強く訴え、強く胸に響
く。そして、心ある女性や学生ら
が立ち上がった米国と日本の政治
との違いに暗然としてしまう。


   【2018・11・7】

(写真は映画のポスターから)

また同じ繰り返しではないか。野
党のふがいなさやメディアの及び
腰が重なって、安倍政権の延命を
許した先の通常国会から約4カ月
。ようやく開かれた衆院予算委員
会審議を見て、既視感を覚えるだ
けだった。森友・加計疑惑に片山
さつき地方創生相のあっせん利得
疑惑などが加わって、攻め処満載
なのに、それをただす側は相変わ
らず材料不足が目立ち気概も感じ
られなかった。にやつきながら答
弁する安倍首相や麻生財務相は余
裕たっぷりの表情で、国会審議が
骨抜きにされていることを改めて
見せつけた。



今朝の朝日新聞政治欄の記事「訴
訟案件は武器。怖いものはない」
に目を疑った。片山氏が国会戦術
の一つとしてあっせん利得疑惑を
かわすため早々にスクープした文
春を相手取って訴訟に踏みきった
ことを官邸幹部が評価していた内
幕を冒頭に紹介していた。その幹
部の言葉をひきとって見出しにま
で同じ文言を掲げていた。どちら
を向いて記事をかいているのか。
後半、わずかに批判の声を紹介し
ているが、疑惑の核心に迫ろうと
いう気迫の欠片も感じない内幕記
事である。本来なら公権力の不正
を監視する立場から、疑惑を指摘
された側が訴訟を隠れみのに説明
する義務から逃げていることをま
ず指弾すべきではないのか。政治
部の記者が執筆したのだろうが、
地道な取材を積み重ね、森友・加
計疑惑で見事なスクープを放った
社会部記者らに顔向けできないよ
うな恥ずべき記事だ。


毎日新聞の3面「クローズアップ
」も国会での攻防を書いて、片山
氏側が十分説明できなかったこと
を印象付けたが、記事の末尾はま
だ始まったばかりの追及にふさわ
しくない「幕引きは遠そうだ」と
書いた。あたかも幕引きが前提の
ようなスタンスをうかがわせ、こ
ちらも疑惑の核心に迫る姿勢など
みじんも感じさせない


テレビ報道はこれ以上にひどい。
情報番組では政治から逃げて、権
力批判がまったくできなくなって
いる。昨日、テレビ朝日の「モー
ニングショー」に橋下徹氏を登場
させていたのに驚かされた。フェ
イク発言を連発して、大阪の府政
・市政を長く混乱させた挙句、首
相との近さを誇示しながら、自分
に都合の良い発言を繰り返す人物
に「自己責任論」を語らせるのを
見て、「テレ朝もここまで堕落し
てしまったのか」と思わせた。



一方、衆院予算委では、質問に立
った立憲民主党の逢坂誠二氏がま
ったく新たな材料を持たず、「(
訴訟でも)事実なら正当性を主張
すればいい」とぬるい追及に終始
していた。森友・加計疑惑追及で
も一体、4カ月間何をしていたの
だろう。加計学園のお粗末な教育
内容や経営悪化、値引きの根拠が
いまだに揺らぐ森友疑惑……。材
料はあまたある。かつてのロッキ
ード事件やリクルート事件では、
野党議員の独自調査を元にした追
及が真相究明につながった。今の
野党議員は一部メディアの既報を
なぞる質問ばかりである。政権の
閣僚らは事前通告を受けた質問に
余裕をもって追及をかわしている


もう「爆弾質問」は死語になって
しまった。追及する相手に有無を
言わせないくらいの物証や証言に
基づかなければ、追及される側は
痛くもかゆくもない。そして。だ
らだらと聞いてもいない答弁を繰
り返すばかりである。片山氏のあ
っせん利得疑惑では、税理士の私
設秘書ら関係者は多く、彼らを直
接説得して事実を明らかにするよ
う説得を試みたのか。世論調査で
野党の支持率が伸びないのは、有
権者が与野党のなれ合いを見抜い
ているからだろう。


不正の中心人物である佐川宣寿前
国税庁長官をいまだに「極めて優
秀な行政官だった」(麻生太郎財
務相)と持ち上げる答弁がまかり
通るような国会審議の閉塞感を打
ち破るには、野党やメディアの覚
醒しかないのである。


   【2018・11・2】