ようやく「アベノミクス偽装の本
丸」が見え始めた。統計不正の核
心である賃金上振れ工作を首相秘
書官だった中江元也(現財務省関
税局長)が主導していたことが衆
院予算委員会の質疑で明らかにな
った。官邸が統計手法をねじ曲げ
た物証のメールまで提出されたの
に、首相は野党議員に「選挙5回
勝っている」などと相変わらず下
卑な野次を飛ばしている。つくづ
く懲りない政権である。こんな政
権を支えているのが、誇りや使命
感を忘れた官僚らであることを、
改めて思い起こし暗然とする。
特に注視しておきたいのは、一連
の偽装工作が展開された2015
年9月という時期である。安倍首
相の「国家の私物化」の流れの源
がすべてこの時に発している。国
会では自衛隊の海外での戦争を可
能にする安保法案を強行、世間の
耳目はその推移に集まっていた。
しかし、「安倍官邸」はその陰で
身内の秘書官らを手足にして、「
私物化」と「偽装」に奔走してい
たことが分かってきた。
今回、官邸から統計不正の重要な
役割を担った中江元哉秘書官が厚
労省の統計情報部長に事実上、数
値修正を指示したことが有識者検
討会前日の9月14日、統計情報部
長から同検討会座長に送信された
メールに書かれていた。中江元秘
書官は本人は「記憶にない」と否
定するが、物証と証言がそろい、
もはや言い逃れできない。そして
一連のやりとりに既視感覚える人
も多いのではないか。
この年の4月、加計学園の事務局
長に官邸で会っていながら、同じ
「記憶にない」と否定した当時の
柳瀬唯夫首相秘書官とまったく同
じ対応だからである。愛媛県文書
で虚偽答弁だったことが明らかに
なった。柳瀬秘書官はその後、経
産省を退官してNTTの関連会社
の社外取締役に転身した。中江元
秘書官と柳瀬元秘書官は同期で、
政権をかばうときちんと処遇して
くれる見本になったことだろう。
人の顔をとやかく言うことは控え
たいが、柳瀬氏や中江氏の上目遣
い表情からは圧迫から逃れたいと
いう脅えがどこか読み取れる。世
間に背を向けながら政権の顔色を
伺い続ける習性身に付けてしまっ
た表れでもある。まったく同情は
しないが、本来は優秀な官僚の人
格さえも抹殺させる政権の罪深さ
を思わずにおれない。
同じ年の9月、安倍昭恵夫人は森
友学園の系列保育園で、籠池泰典
理事長の偏向教育を礼賛する講演
をして、側近の秘書だった谷査恵
子氏を通して国有地払い下げを口
利きした。安倍首相も同じ時期、
大阪にきていた。谷氏は出身の経
産省から例がないイタリア大使館
一等書記官に厚遇された。一方で
文書改ざんを指示された近畿財務
局職員は自殺に追い込まれたこと
を忘れてはならない。
片や、一身に立身出世にほくそ笑
んでいる官僚もいる。先月、法務
省事務次官から東京高検検事長に
就任した黒川弘務氏である。この
ポストは法務検察の頂点である検
事総長の待機ポストでもある。こ
の栄進は、事務次官として「安倍
官邸」の意向をくんで「森友・加
計疑獄」の捜査進展を阻止した論
功行賞とされる。菅義偉官房長官
と親しく、すべての官僚人事を差
配する内閣人事局による官邸支配
の表れである。巨悪を摘発すべき
一線の特捜検事らからは「特捜検
察」が官邸に屈した、と受け取ら
れている。
屋台骨として国を支えているはず
の選良たちを貶め、驕り続ける政
権に、まだ立ち向かう気骨ある官
僚がどれだけいるだろうか。
【2019・2・23】




















