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平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。


ようやく「アベノミクス偽装の本
丸」が見え始めた。統計不正の核
心である賃金上振れ工作を首相秘
書官だった中江元也(現財務省関
税局長)が主導していたことが衆
院予算委員会の質疑で明らかにな
った。官邸が統計手法をねじ曲げ
た物証のメールまで提出されたの
に、首相は野党議員に「選挙5回
勝っている」などと相変わらず下
卑な野次を飛ばしている。つくづ
く懲りない政権である。こんな政
権を支えているのが、誇りや使命
感を忘れた官僚らであることを、
改めて思い起こし暗然とする。



特に注視しておきたいのは、一連
の偽装工作が展開された2015
年9月という時期である。安倍首
相の「国家の私物化」の流れの源
がすべてこの時に発している。国
会では自衛隊の海外での戦争を可
能にする安保法案を強行、世間の
耳目はその推移に集まっていた。
しかし、「安倍官邸」はその陰で
身内の秘書官らを手足にして、「
私物化」と「偽装」に奔走してい
たことが分かってきた。


今回、官邸から統計不正の重要な
役割を担った中江元哉秘書官が厚
労省の統計情報部長に事実上、数
値修正を指示したことが有識者検
討会前日の9月14日、統計情報部
長から同検討会座長に送信された
メールに書かれていた。中江元秘
書官は本人は「記憶にない」と否
定するが、物証と証言がそろい、
もはや言い逃れできない。そして
一連のやりとりに既視感覚える人
も多いのではないか。


この年の4月、加計学園の事務局
長に官邸で会っていながら、同じ
「記憶にない」と否定した当時の
柳瀬唯夫首相秘書官とまったく同
じ対応だからである。愛媛県文書
で虚偽答弁だったことが明らかに
なった。柳瀬秘書官はその後、経
産省を退官してNTTの関連会社
の社外取締役に転身した。中江元
秘書官と柳瀬元秘書官は同期で、
政権をかばうときちんと処遇して
くれる見本になったことだろう。


人の顔をとやかく言うことは控え
たいが、柳瀬氏や中江氏の上目遣
い表情からは圧迫から逃れたいと
いう脅えがどこか読み取れる。世
間に背を向けながら政権の顔色を
伺い続ける習性身に付けてしまっ
た表れでもある。まったく同情は
しないが、本来は優秀な官僚の人
格さえも抹殺させる政権の罪深さ
を思わずにおれない。


同じ年の9月、安倍昭恵夫人は森
友学園の系列保育園で、籠池泰典
理事長の偏向教育を礼賛する講演
をして、側近の秘書だった谷査恵
子氏を通して国有地払い下げを口
利きした。安倍首相も同じ時期、
大阪にきていた。谷氏は出身の経
産省から例がないイタリア大使館
一等書記官に厚遇された。一方で
文書改ざんを指示された近畿財務
局職員は自殺に追い込まれたこと
を忘れてはならない。


片や、一身に立身出世にほくそ笑
んでいる官僚もいる。先月、法務
省事務次官から東京高検検事長に
就任した黒川弘務氏である。この
ポストは法務検察の頂点である検
事総長の待機ポストでもある。こ
の栄進は、事務次官として「安倍
官邸」の意向をくんで「森友・加
計疑獄」の捜査進展を阻止した論
功行賞とされる。菅義偉官房長官
と親しく、すべての官僚人事を差
配する内閣人事局による官邸支配
の表れである。巨悪を摘発すべき
一線の特捜検事らからは「特捜検
察」が官邸に屈した、と受け取ら
れている。


屋台骨として国を支えているはず
の選良たちを貶め、驕り続ける政
権に、まだ立ち向かう気骨ある官
僚がどれだけいるだろうか。


  【2019・2・23】


浅ましい追従が「世界の笑い者」
にさせてしまった。トランプ米国
大統領をノーベル平和賞に推薦し
たと報じられ、安倍晋三首相から
否定の言葉も出ない。推薦文には
「日本を代表して」とあったとさ
れる。フェイクニュースを連発し
、世界を混乱に陥れているトラン
プ大統領が平和賞にふさわしい人
物がどうか。受賞にふさわしくな
いというのが国際世論であること
は疑問の余地がない。推薦のニュ
ースは米国内外から驚きをとって
受け取られた。ひたすらトランプ
氏に媚びへつらって隷属する安倍
首相にこの国の評価はどん底まで
落とされつつある。


「そこまでするか」と言うのが多
くの人の受け止め方だっただろう
。だが、安倍首相の振る舞いや政
策を振り返ると、大きな違和感は
ない。9割以上の憲法学者が違憲
と判断した安保法制は海外での日
米共同軍事行動を可能にした。軍
事機密保護の名目で情報公開や取
材の壁を作った特定機密保護法の
施行。ほかに共謀罪制定、米軍へ
りのため辺野古への基地移設強行
……。どれも、反対の民意を踏み
つぶすように「対米従属路線」を
突っ走っている。


名著「永続敗戦論」を書いた政治
学者、白井聡氏は、で戦後日本の
政治体制について「日本は独立国
でなく、そうありたいという意思
さえもっておらず、かつそのよう
な現状を否認している」と述べた
。今回の安倍首相のノーベル平和
賞推薦は、一連の政治行動と軌を
一にする。


個人的な推薦文なら、まだ弁解の
余地もあろうが、推薦文の文頭に
「日本を代表し、敬意を込めてあ
なたを推薦した」と看過できない
記述がある。そのフェイクだらけ
の発言と敵をつくって攻撃する行
動にどれだけ日本国民が共感を寄
せているか、論を待たない。要請
されるまま民意に沿わない推薦文
を送ったのなら、大きな政治責任
が問われることになる。


白井氏の新たな著書「国体論 菊
と星条旗」に今回の推薦文にぴっ
たりふさわしい記述があって、思
わず手で膝を打った。安倍首相の
いつもの子供じみたメディア攻撃
にひるまないスタンスを確固とす
るためにも少し長くなるが、引用
したい。


「ニーチェや魯迅が喝破したよう
に、本物の奴隷とは奴隷であるこ
とをこの上なく素晴らしいものと
考え、自らが奴隷であることを否
認する奴隷である。さらにこの奴
隷が完璧な奴隷である所以は、ど
れほど否認しようが、奴隷は奴隷
にすぎないという不愉快な事実を
思い起こさせる自由人を非難し誹
謗中傷する点にある。本物の奴隷
は、自分自身が哀れな存在にとど
まり続けるだけでなく、その惨め
な境涯を他者に対しても強要する
のである」


そしてこう警告する。


「深刻な事態として指摘せねばな
らないのは、こうした卑しいメン
タリティが『戦後国体』の崩壊期
と目すべき第二次安倍政権が長期
化するなかで、疫病のように広が
ってきたことである」


思い当たることが多く、多くの人
と共に心に銘しておきたいシグナ
ルだろう。


    【2019・2・18】


国会答弁で次々、ぼろを出す安倍
晋三首相と閣僚ら。それなのに、
調査不足の稚拙な追及でかわされ
てしまう野党議員を見て、いら立
ちが募るばかりである。追いつめ
るだけの事実をどれだけつかんで
いるかが、決め手であるのに、そ
れを認識しているか疑いたくなる
。メディアも官邸での官房長官発
言を「質問権の制限」と問題視す
るだけではなく、隠蔽・改ざんを
重ねる政権の実体を伝えるスクー
プや検証記事が不可欠だ。それな
くして批判しても政権は何の痛痒
も感じない。「悪夢」と旧民主党
政権を罵倒した安倍首相を、後に
「天に唾してしまった」と悔いさ
せるためにも、政権奪取の強い覚
悟が求められている。


また安倍首相が総裁として自民党
大会で二つの失言や暴言を放った
。「自衛隊員の新規募集に都道府
県の6割以上が協力を拒否してい
る」と呼びかけ「憲法にしっかり
自衛隊と明記して違憲論争に終止
符を打とうではありませんか」と
訴えたのである。まったくの事実
誤認で、実際は9割の市区町村か
ら個人情報の提供を受けているこ
とが明らかになった。本来はもっ
と慎重に個人情報が扱われ、将来
徴兵制につながりかねない事務取
扱はやめるべきだが、それ以前に
首相の党大会での演説は虚偽だっ
た。自らの改憲構想がとん挫しつ
つある焦りからか、点検もせず根
拠もない数字を堂々と披露して恥
じない。空恐ろしくなるほどの人
格障害ではないか。


もう一つは「あの悪夢のような民
主党政権」と言い放った暴言であ
る。度を超えた品位なきレッテル
貼りに驚かされたが、岡田克也元
外相に撤回を求められても「バラ
色ではなかった」と居直っていた
。この場面に「では今はバラ色か
」と突っ込みたくなったが、あま
りに低劣な非難にそれもやめた。
首相は「主に経済のことを言って
いる」と弁明したが、その翌日、
背中に「味方」であるはずのNH
Kから矢が放たれてしまった。


9日から3日間、全国の18歳以上
の男女に「景気回復を実感してい
るか」と聞いた世論調査で、66%
が「実感していない」と答え、「
実感している」はわずか8%だっ
たことが明らかになった。アベノ
ミクスの成果など有権者がほとん
ど感じていないことが数字ではっ
きり裏付けられた形だ。この調査
では、10%への消費増税について
も聞いており、「反対」が41%で
「賛成」の31%を10ポイント上回
っていた。これまで漫然と安倍政
権を支持していた人も懐を直撃す
る増税を拒否していることが改め
て浮き彫りになったと言えそうだ
。ここに、野党が詰めるべき選挙
戦略が見えてくる。「増税反対」
を掲げて戦えば、勝機が見えるこ
とは子供でも分かる。あれこれ、
不一致政策を論じ合うのではなく
、「増税反対」の一点を公約にし
て、財政再建に向けての具体策を
示して幅広い支持を集めれば良い
。「シンプルイズベスト」である


この国会では、メディア封じを狙
って、官邸報道室長から内閣記者
会あてに質問制限につながりかね
ない文書が出された。これまで、
森友・加計疑獄、辺野古基地移設
などで質問を重ねてきた東京新聞
の望月衣塑子記者への「嫌がらせ
文書」であることは間違いない。
仮に質問が間違っていても、それ
をその場で正すのは政府の役割で
あるはずだ。「取材の自由」が制
限されることなどあってはならな
い。


非情な政権から望月記者が足元を
すくわれないように注意を促した
いことが一つある。菅義偉官房長
官は昨日の衆院予算委で、望月記
者の質問を「取材ではなく、決め
打ちだ」と非難した。例え事実誤
認があったとしても、聞かれた側
がその場で正せばよいはずだが、
少なからず質問にあったのは確か
だろう。



望月記者と森ゆう子自由党議員の
共著「追及力」(光文社新書)の
一節で、気になる記述があった。



「おかしいだろう、っていう怒り
や疑念が高まったポイントで質問
しようとは思っていますね。メモ
も取らないでじっと聞くようにし
ています。あとは、思わぬ質問を
して、ぎょっとさせるとか……」


記者会見は主に既知の記事や事実
について当局のスタンスを確認す
る場であって、新事実を引き出す
ことはよほど追いつめるだけの事
実を列挙しなければ至難である。
「ぎょっと」させても、意味はな
い。社会部記者としてふがいない
政治部記者らを覚醒させる活躍を
している望月記者だからこそ、隙
をつかれないためにも、老婆心な
がら、より細心の心構えを求めた
い。

    【2019・2・13】

 


虚勢と増長ぶりが極まった答弁だ
った。安倍晋三首相が参院予算委
員会で、統計不正の監察委報告書
を読んだかと聞かれ「私は森羅万
象を担当しておりますので、すべ
てを精読しているわけではありま
せん」と答弁をした。首相の頭の
中をのぞきたくなるほど無知で、
間違った全能感にあふれる答弁だ
った。弱点をつかれると、逆切れ
してしまい、幼稚な凶暴性をさら
け出す。相変わらず野党議員に野
次を飛ばし、まったく改まらない
。こんな精神構造を持つ指導者に
有権者はもっと強い危機感を抱か
なければ、破滅の淵に追い込まれ
るのではないか。


エスカレートする首相の片寄った
言動が、どこから発するのかでき
る限りウオッチしているが、きの
う7日夜の交遊ぶりにその一端が
表れていた。毎日新聞朝刊「首相
日々」によると、午後6時20分か
ら東京・丸の内のパレスホテル東
京で催された精神科医の後援組織
「晋精会」に出席した。統計不正
で国会が紛糾する多忙な中、あい
さつし、約45分も過ごしたのには
大きな理由がある。


調査報道に定評があるネットマガ
ジン「リテラ」によると、この後
援会会長は日本精神科病院協会の
山崎學会長である。山崎会長は「
精神科医にも拳銃を持たせろ」と
発言したり、「朝鮮民族に怒りで
暴れ回る火病という精神病があり
、年間12万人が罹患する」などと
ヘイト発言を繰り返す人物である
。安倍首相と長年の友人でもあり
、森友・加計疑獄を追及されたと
き、河口湖畔の別荘で、加計孝太
郎理事長らに続き飲食を共にして
いたことで知られた。極端な差別
思想に染まったこんな人物が一昨
年には旭日重光章を叙勲した。同
協会が自民党に年間1億5千万円
も政治献金と長年にわたる「アベ
友」が認められた格好だ。まさに
「私物化」と言うしかない。


同じ極右思想に固まった精神科医
の後援会メンバーに囲まれて首相
はきっと上機嫌だったことだろう
。日々狭い世界の「お山の大将」
的な雰囲気の中に身を預けると、
自分がどんな人物かも自省できず
、全能感に包まれてしまうことは
容易に想像できる。安倍首相の政
治的資質で決定的に欠けているの
は、「自分は何も知らぬ」という
謙虚な姿勢だ。自分と違う主張に
聞く耳を持たない驕りは、劣等感
からの裏返しの強がりに過ぎない
。それに気が付かない愚かさが「
森羅万象が担当」という虚勢答弁
を招いたのだ。以前にも自分を「
立法府の長」と聞いた側が恥ずか
しくなる誤った答弁をしたのも、
同じ延長線上の失態である。


さて統計不正追及の国会である。
いよいよこれからが事実経過究明
の本番である。毎月勤労統計の不
正調査は入り口に過ぎない。本丸
は「アベノミクス偽装」であるこ
とが実質賃金指数隠しであること
がようやくはっきりしてきた。端
的に言うと、物価上昇を低く見せ
、賃金が上がっているようみせる
操作がまかり通っていたのである
。毎年の経済成長率が3%以上を
ずっと続けなければ、GDP60
0兆円達成などできないのに、「
国際標準」にするという名分の下
、それまで算入しなかった「不動
産仲介手数料」や「防衛整備品」
など「その他」にカウントし、上
昇を偽装していた疑いが高まった


全体に野党の追及が甘く、まだ安
倍首相は自分に火が飛んでこない
という余裕をみせる。しかし、数
字を元にした質問があれば、満足
に説明できない。それを示したの
が、衆院予算員会での立憲民主の
小川淳也議員の質問だった。安倍
政権になって「その他」の7・5
兆円もが追加されたと指摘した。
テレビでこの場面を見ていたが、
安倍首相は「まるで私が指示して
上げさせたと言いたいようだが、
そんなことはできない」と色をな
して反論していた。その表情をみ
て「最も痛い論点をついたな」と
思わせた。



元官僚らしい論点整理と切れ味

のある小川議員の質問だった。

しかし、その翌日の新聞各紙は

勤労統計不正ばかりに目を奪わ

れ、数行で片付けられていた。
「木を見て森を見ず」とはこのこ
とだ。メディアの堕落が隠蔽、捏
造、歪曲だらけの政権の延命を

手助けしている。


      【2019・2・8】




為政者がどんなに失態を重ねても
、変わらないこの国の悪政。たち
込めるそんな邪気を少しでも追い
払いたく、京都・吉田神社の節分
祭に出かけた。歌舞伎の三大演目
の一つ「菅原伝授手習鑑・車引」
の舞台でもあり、一日早い2日は
鬼である悪神を追い払い、人々の
不幸を除く「追儺(ついな)式」
が催されていた。3日間の期間中
、約50万人が参拝するといい、そ
れぞれに幸福と平和な日々を切実
に願う姿を見て、変革の志を新た
にした。






これまで節分の日当日の3日に参
拝したことはあったが、2日の追
儺式は初めてだった。吉田神社は
京都の表鬼門に位置し、平安時代
から宮中で執行されていた神事を
継承、鬼を追い払い追儺式は京の
都の鎮護を願い室町時代に始まっ
たとされる最古の儀式である。菅
原道真流罪事件を題材にした歌舞
伎の車引には、松王丸、梅王丸、
桜丸の三兄弟が登場、権勢を誇る
敵役藤原時平の参詣を襲う名場面
を思い出す。朱色と緑の塀が映え
、全国の神社の神職の任免権を持
ちすべての神々をまつる「大元宮
」に参拝する人の列が絶えない。







「大元宮}内の塀際にお国ごとに
神社のお札が並べられ、自分の故
郷「讃岐国」24社の前にお賽銭を
並べた。参拝を終えた人たちがま
た、それぞれのお国を探し、お札
の前で手を合わせる。ここでは、
天照大神も伊勢の国の神の一つに
すぎず、京の位意識の高さを見せ
つけているのが興味深かった。





鉄棒を持った赤、黄、青の鬼たち
は夜の追儺式を前に登場、歓声が
どっと上がり、子供たちもこわご
わ取り囲み、いつしか和やかな空
気が流れる。鬼にさわってもらう
と邪気が払われるといい、シニア
世代もかぶっていた帽子をとって
頭を下げる。鬼がゆっくり頭をな
でると、うれしそうにほほを緩め
る。





境内では、福豆やお札を買い求め
る人の列が絶えない。吉田神社の
福豆は一袋200円で豪華な景品
付が当たるくじ付き。車から日用
雑貨まで多彩で、節分が終わった
後の抽選も楽しみ。福豆の袋は梔
(くちなし)色の黄。梔色は古く
から魔よけの力があるとされ、何
か当たる気がするから不思議だ。
昨年までは、豆まきでまかれた豆
を拾うのに懸命だったが、福袋を
買うのも焦らず、景品の楽しみも
あって良い。


京都大学正門前から続く参詣道は
びっしり、露店が並び京大野球部
の選手が練習の合間にユニフォー
ム姿で綿菓子を食していたのがほ
ほえましかった。参詣の坂道の途
中に「菓祖神」という石柱が立っ
ていて、奥の祠にお参りする人も
多い。名だたる京の銘菓店が出店
を多く出店、誰もが知っている名
菓を食べ歩きする光景もなんとも
ぜいたくな気分にさせる。




きょう3日夜は午後11時から、参
拝者が持参した古い神社札に火を
点じて燃やす「火炉祭」が催され
る。神社札に宿っていた神霊が御
座に戻られたとして、浄火で焼き
納めるという神事で、これが終わ
ると、日が進み立春を迎える。




色々学ぶことが多く、「悪政退治
」を願い、少し邪気を追い払った
気分にしてくれた吉田神社の追儺
式だった。来年の節分までに、少
しは失政を覆させられることがあ
るか。自分ができることを地道に
心がけたい。



  【2019・2・3】



(写真は赤、青、黄の鬼を取り囲

む少女たち、追儺式にむかう参拝
者ら、福豆の景品陳列所、菓祖神
の石柱、大内宮の鳥居下、追儺式

を前にした鬼たち、大元宮参拝者の

列、歌舞伎の舞台模様になった塀

、くじ付きの福豆と袋、お国ごとの

お札)


2000万もの人が国から過少給
付されて、どうして怒りが高まら
ないのか。改ざん・隠蔽体質の「
安倍政治」に、政治への関心が看
過できないほど低下している。雇
用保険給付金の根拠となる勤労者
統計の不正、成果のない日ロ交渉
、消費増税の強行……。失態、偽
装続きなのに内閣支持率が6ポイ
ントもアップして53%を記録(日
経新聞世論調査)、ほかも2ポイ
ントアップの読売、3ポイント高
の朝日など、どの数字も目を疑う
数字ばかりである。統計不正の最
大の被害者は有権者であることを
十分に喚起せず、安倍首相の演

説をニュースでたれ流すだけのメ

ディア。国会か開会したというのに

、統計不正を検証するテレビの情

報番組は皆無に近い。まるで一緒

に罪を覆い隠す「共犯者」に映る。



昨日の施政方針演説で、「統計の
信頼回復に向け、徹底した検証を
行う」と謝罪して見せたが、具体
策は皆無だった。それどころか、
特別監察委員会の厚労省職員の聞
き取り調査に、同省官房長が同席
するなど隠蔽工作を疑われ、真相
解明に及び腰であることをさらけ
出した。演説の全文に目を通して
も、「全世代型社会保障」「安保
政策の再構築」「地球儀俯瞰外交
の再構築」などと題し、何も成果
を出してない空疎な言葉が並ぶ。



権力監視の機能を果たすべきメデ
ィアが、「フェイク」だらけの中
身を検証しようとしない。その典
型例が29日の毎日新聞3面の政治
記事だった。「国会、問われる監
視機能」との見出しを付け、一応
は「国会の論戦次第では、政治不
信がさらに増幅しかねない深刻な
状況にある」と書いていた。しか
し、国会は自公両党の議員が最多
数を占め、政権の大失態を与党が
真摯に検証するはずもなく、そん
な言葉に共感を抱き、うなずく読
者がいるとは思えない。有権者の
怒りを想像も出来ず、実態を究明
するべきメディアの責務を国会に
転嫁する無責任な記事だった。思
わず「問われているのはメディア
ではないか」との声を投げかけた
くなった。


統計不正を「大した問題ではない
」と居直った自民党の森山裕国対
委員長の言葉も、記事で指弾する
こともなく、釈明に追い込まれた
経過を紹介するだけだった。政権
与党の驕りを象徴する大暴言であ
り、昔の自民党なら更迭まで検討
したかもしれない。新聞、放送を
問わず、メディア全体の甘い追及
が有権者の政治意識低下に手を貸
している自覚もない。



記事の見出しには、そんなスタン
スが表れる。同じ紙面にあった「
選挙控え首相守り」「影落とす統
計不正」……。一見、客観記事を
装っているが政権側からみた単な
る説明に過ぎない。読者や視聴者
が求めるのは、問題の暗部に肉迫
する記事だ。その意識がない記者
は、単なるレポーターにすぎず、
政府広報と呼ばれてもおかしくな
い。


距離感をもって政権をただすべき
大事なこの時期、安倍首相とメデ
ィア各社の官邸キャップとの懇親
食事会がまた東京・赤坂飯店であ
った。もう恒例行事のように催さ
れているが、ふだん一緒に食事を
共にする相手の批判記事など書け
るはずもない。高級な中華料理が
並ぶ円卓のまわりは談笑が絶えな
かったという。その光景を想像し
て、また背中に悪寒が走った。



そんなメディアの堕落ぶりに警告
を発し続ける米国の言語学者、ノ
ーム・チョムスキーは著書「メデ
ィアコントロール」でこう述べて
いる。


「日本の人たちが今しなければな
らないことは、東京をみること、
鏡をのぞいてみることです。そう
なると、それほど安閑としておれ
ないのではないですか」


   【2019・1・29】

 


官僚のデータ捏造・隠蔽がとどま
ることをしらない。昨年、裁量労
働制をめぐる調査データの隠蔽を
した厚生労働省が今度は勤労者統
計の対象事業者数を不正に絞り込
み、雇用保険支給を本来より低く
支給していたことが発覚した。そ
の追加給付総額は約800億円も
の巨額にのぼり、被害者は200

万人ととてつもない数字になる。

安倍政権ではまだ未解明の「森友・
加計学園疑獄」以来、政官ぐるみ
で国民の知らぬ間に富を収奪し、

棄損する不祥事が絶えない。いず

れも政治責任はほおかぶりされた

ままだ。今回も歴代の厚労相らは

「聞いていなかった」と監督責任に

無視を決め込む。被害者は本来
受け取るべき額を減らされた国民
であるのに、なぜ怒りの声がもっ
と上がらないのか。「民を収奪す
る国家」に鈍感でそれに飼い馴ら
された結末としたら、あまりに悲
しい。


一連の官僚によるデータ・公文書
隠蔽が見逃された背景には、大き
く行政府の長である安倍晋三首相
が自らの不祥事も政治責任をとら
ず、不正をただすべき司法が機能
していないことが背景にある。か
つて世界に冠たる優秀な官僚らの
政権への従属と劣化が想像以上に
進行しているという疑念が高まる


そんな思いを強めた不祥事が身近
で発覚した。いじめで自殺した神
戸市立中学の女子生徒の同級生の
聞き取りメモを、市教委の主席指
導主事が隠ぺいしていた不正工作
が判明して批判が高まっている。
そのメモにはいじめを示す証言が
複数寄せられていたのに、指導主
事らは「破棄した」と報告してい
たという。毎日新聞の記事でこの
不正を知った時、事案は違っても
「モリ・カケ」と同じ動機ではな
いか。当事者が自らの責任を問わ
れないように、「あったことを、
なかったことにする」工作に手を
そめてしまったのが、共通する。
権力を行使する組織の長やその部
下に重い責任がありながら、言い
逃れして責任をとらない。そんな
風潮が国全体にはびこっている表
れである。


最近まで厚労相だった加藤勝信自
民党総務会長は裁量労働制のデー
タ捏造問題で、いわゆる「ご飯論
法」で答弁をごまかしてきたが、
勤労統計の捏造でも、在任中に総
務省の委員会から疑いを指摘され
ていたという。担当の参事官(課
長級)が指示文書を出し、総務省
には「全数検査を継続する」と虚
偽説明をしていたことも判明した
のに、加藤総務会長は今回も「報
告を受けていなかった」と責任を
回避する発言を繰り返している。
せめて「監督責任が果たせず申し
訳なかった」と謝罪すべきである
。「安倍後継」に名を連ね、自ら
の経歴に傷をつけたくない意識が
働いているとしか言いようがない


いよいよ通常国会が28日に召集さ
れる。会期末に安倍首相がダブル
選挙を狙っているという観測が流
れているが、野党が政権を追及す
べき材料は山ほどある。沖縄・辺
野古の基地建設で安倍首相は埋め
立て予定地の海域について「サン
ゴは移している」とNHKの討論
番組で虚偽答弁をした。わずかな
サンプルをまるですべてのサンゴ
を移したたように思わせる誇張・
歪曲発言である。米国のトランプ
大統領に劣らない「フェイク発言
」であり、メディアは問題視して
もっと大きく報じるべきだった。
国会では厳しく問いたださなけれ
ばならない。


併せて、辺野古埋め立ての是非を
問う県民投票が、自民党議員の呼
びかけで一部できなくなったいる
事態についても憲法が保障する「
参政権」を奪う行為として見解を
ただすべきである。


枝野幸男立憲民主党代表はようや
く参院選の野党統一候補擁立に向
け他の野党党首らと話し合うとい
う。あまりに、動きが鈍くて遅い
。「暴走する国家」を止める自覚
と戦略を強く促がしたい。


   【2019・1・17】

(次回は都合で29日に掲載します)





年が改まって、どんなに時が過ぎ
ても不変の価値がある事物を求め
る気持ちが高まった。正月休みに
イギリスの陶芸家、バーナード・
リーチの生涯を描いた美術小説「
リーチ先生」(原田マハ著)を読
み、無性に彼の作品を鑑賞したく
なって、約30年ぶりに岡山県倉敷
市の「大原美術館」を訪れた。西
洋と東洋と西洋の美が溶けあった
器や壺の数々は約100年過ぎて
も、存在感があり、なお斬新さを
放っていた。作品は転変の激しい
今だからこそ、一層虚実を見分け
る目の重要さを教えてくれるよう
でもあった。






白壁が続く倉敷の美観地区には外
国人観光客が多く、堀の屋形船か
ら様々な言葉が混じった歓声が上
っていた。その中心にギリシャ風
建築の大原美術館のコリント風の
柱石がそびえていた。ロダンの名
作「カレー市民」が玄関にすっく
と立つ。まるでどこかヨーロッパ
の由緒ある美術館を訪れた気分に
なる。本館玄関を入ると、戦前フ
ランスで活躍した画家で、名品の
コレクション収集に尽力した児島
虎次郎の油絵が掲げられ、その功
績を讃えている。それに続く名画
の数々はキラ星のごとしである。
エル・グレコの「受胎告知」、セ
ザンヌの「水浴」、モネの「睡蓮
」、「積みわら」は児島が直接モ
ネから買い付けた作品だ。ルソー
ルノワール、ドガ、ゴーギャン、
ピサロ、モジリアーニ……。書き
切れないほど垂涎の作品ばかりで
ある。民間の美術館として「フラ
ンス人が愛する日本の美術館」と
いう本でトップにランクされるぐ
らい世界的評価が高いのが、よく
分かる。絵画で最も印象深かった
のはピカソの「頭蓋骨のある風景
」だ。戦争の時代に平和を希求す
るピカソの心情が白い花に込めら
れ胸を打つ。あの大作「ゲルニカ
」に負けないくらい反戦への強い
気持ちがひしひしと伝わってきた
。同じピカソ作品「鳥籠」は原田
マハさんが小説「楽園のキャンパ
ス」で描いているといい、読みた
くなった。






名画に触れた興奮を抑えながら、
今回の目的の工芸・東洋館に向か
う。民藝の濱田庄司に続いてリー
チ作品が並ぶ部屋がある。まず「
楽焼走兎大皿」が目を引く。イギ
リス人画家だったリーチが香港、
シンガポールなどを経て、陶芸に
たどりついた軌跡がにじみでるよ
うな作品だ。水差し、壺、長皿な
どどれも日々の生活に使う「用の
美」が意識されている。民藝運動
を広めた柳宗悦、河井寛治郎、浜
田らとの交遊ぶりが「リーチ先生
」に書かれ、その場面が目に浮か
ぶようであった。今度は以前取材
で訪れた大分県日田市の小鹿田焼
の里を再訪、リーチの足跡をたど
りたくなった。





神戸への帰途、JR日生線を経由
して瀬戸内海に面した日生駅に降
り立った。この地は牡蠣の養殖で
知られ、この季節に以前食した「
カキオコ」(牡蠣入りお好み焼き
の略称)を味わいたくなったから
だ。町には約20件のお好み焼き店
があり、今回は4種の味が楽しめ
ると人気がある「もりした」に入
った。76歳の主人が大ぶりの牡蠣
を生地の上にのせ丁寧に焼いてく
れた。主人は「まず醤油で味付け
した半分を二つに分け、その一つ
に山椒をふりかけて。ソースをか
けた残り半分も二にして、一つに
は七味をかけて食べてな」と説明
。その通りにすると、舌に違った
4種の味に変化、随分得した気分
になった。店を出るとき、10人近
い行列ができていたのが納得でき
た。すっかり気持ちも体も温まっ
ていた。










JR線の車窓から赤穂の町が見え
始めた。ふと「リーチ先生」の一
節にあったイギリスの詩人、ウィ
リアム・ブレイクの言葉が頭に浮
かんだ。


「欲望が、創造を生む」


確かに「やってみたい」と欲する
心こそが、想像に向かわせる原動
力になるだろう。今年のモットー
にしよう。


   【2019・1・12】



(写真は白壁が続く美観地区と堀
、大原美術館の正面、リーチの作
品、日生のお好み焼店「もりした
」と焼けた「カキオコ」の順)

年末年始に「平成最後の……」と
いうフレーズを何度聞いたことか
。繰り返されるその言葉によって
、時代が転換する祝賀気分が醸

成されている。しかし、改元されて
も、西暦が定着した日常生活に何
の影響がないことは言うまでもな
い。なぜこれほど大仰に取り扱わ
れるのか、心して向かい合わなけ
ればならない。知らず知らずのう
ちに、天皇賛美の「皇国史観」が
刷り込まれてしまう危うさがある
からである。節度なき改元報道や
歓迎ムードは、戦争を知らない世
代をやがて戦前の「天皇制賛美」
の価値観に逆戻りさせてしまいか
ねない。本来なら警鐘を鳴らすべ
きメディアの無思考な報道ぶりに
、年初から懸念が募るばかりであ
る。


昨年に改元が決まっておきながら
、なぜ新年号が決まっていないの
かをまず考えておきたい。安倍晋
三首相の支持母体「日本会議」の
メンバーが、新天皇の即位前の新
年号制定に強く反対をしたからで
ある。市民生活に影響は少ないと
は言え、経済活動をスムースに行
うためにも年初の制定を求める声
が強かったのは当然であろう。し
かし、そうならなかったのは、5
月1日の即位後の制定を主張する
首相を取り巻く保守派学者らに引
っ張られてたからだ。


天皇を象徴ではなく、戦前の元首
扱いにもどそうとする保守派は、
天皇の権威をより高めようと、即
位前の事前公表に強く反対してい
た。天皇退位を実現する特例法が
昨年夏に成立、その付帯決議に「
国民生活に支障がないように」と
の文言があったのにかかわらず、
それが守られなかったのである。


このこと一つ見てみても、改元を
契機に改めて「皇国史観」を国民
の意識に植え付けようという目論
見がはっきりみえる。しかし、事
前公表なき改元は混乱をもたらす
という声がさらに高まっていた。
首相側近は、折衷案として直前の
4月10日に予定されていた天皇即
位30周年記念式翌日の公表を提案
した。しかし、これも7日と14日
の統一地方選の間になるため、降
ろさざるを得なかった。


半年以上にわたるこうした改元を
めぐる混乱とそれに振り回された
メディアの改元報道は、安倍首相
の改憲内容と表裏一体を成すと見
るべきだ。首相は当面、自衛隊明
記など4項目の改憲を掲げている
が、首相が主導した自民党の改憲
草案には天皇を象徴でなく元首と
位置付け「天皇制国家」の復活が
本音である。安保法制、特定秘密
保護法、共謀罪など首相自ら現憲
法を遵守していないにもかかわら
ず、自民党の目指す新憲法の遵守
を国民に求めている。


米国第3代大統領、ジェファーソ
ンは「憲法を制定するのは、政府
への猜疑に基づいているからだ」
とし、政府が悪さをしないよう、
憲法で縛っておくという考えを述
べた。こうした立憲主義の精神は
憲法を政府を縛る道具で、不都合
なことをさせないためにあると位
置付ける。これに対し、自民党案
は国民を縛ることをあからさまに
明記している。国民主権から国家
権力による統制への逆戻りだ。


天皇の元首制国家は皇室行事を大
仰に飾り立て、国民主権の意識を
希薄にさせながら復活する。あの
朝日新聞の正月紙面は昭和天皇が
和歌を推敲したメモの発見を1面
スクープで扱い、続報も連発して
いる。先の戦争を「あゝ悲し」と
記した下りを紹介、「人間天皇」
の慨嘆ぶりを浮かび上がらせた。
しかし、そこには大元帥としての
「天皇の戦争責任」に踏み込んだ
解説はなく、この時期の大スクー
プ扱いに強い違和感を覚えた。改
元に続く改憲が眼前に迫ろうとい
うこの時期の時代錯誤的な紙面づ
くりに、多くの読者もあきれてい
ることだろう。


その証左に他の新聞はほとんど後
追いしていない。他のメディアに
は、担当記者の自己満足と大局観
を失った無批判な編集ぶりを他山
の石にしてほしい。そして改元に
向けて高まる世の中の祝賀ムード
の裏でほくそ笑む人々により警戒
心を高めたい。


          【2019・1・7】


今年の十大ニュースが語られる時
期になった。年の瀬になって、検
察の長期拘留の妥当性を含めて「
ゴーン日産前会長捜査」の報道一
色になっているが、今年最大のニ
ュースは間違いなく「森友文書改
ざんと財務省幹部大量処分」だろ
う。先日、在京社会部長会がこち
らを第1位に選んだのは当然だろ
う。検察がその機能を果たさず、
自ら不信を高めた年として、改め
て記憶に刻まなくてはならない。



「ゴーン捜査」の一貫性のなさは
、「森友捜査の汚名」返上を狙っ
た結果、まるでダボハゼのように
日産内部からの告発に食いついた
捜査着手が背景にある。「忖度捜
査」で財務省担当者を誰一人、刑
事責任を問わなかった「森友捜査
」の結果、検察OBらからさえ、
特捜部解体論まで出ていたくらい
だ。そもそも「ゴーン捜査」は独
自捜査で積み上げた罪状ではなく
、司法取引によって有価証券不実
記載という形式犯的容疑を仕立て
上げ、まるで花火のように派手に
打ち上げたのである。



まだ実害が出ておらず、重なる拘
留延長が国内外から「人質司法」
という批判をよんで、東京地裁も
ついに拘留請求を却下した。そし
て今度は時効停止期間をカウント
するという綱渡り捜査で再逮捕し
た。仮に容疑事実通りであれば、
ゴーン前会長の強欲ぶりにはあき
れるばかりで、その責めを問われ
るのは当然だろう。しかし、詳細
な詰めを要する特別背任の立証が
確固とは思われず、検察の思惑通
り進むとは限らない。



一方、森友学園の籠池泰典前理事
長夫妻は約10カ月も長期拘留され
たことを忘れてはならない。起訴
された補助金詐欺容疑はすでに逮
捕前から物証も証言も出そろって
いた。強制捜査に踏み切る案件で
はなかったのである。「首相案件
」への関心を別の方向に向けさせ
、個人犯罪に矮小化させてしまっ
たのである。その論功行賞によっ
て大阪地検の女性特捜部長は函館
地検検事正という異例の栄転を遂
げた。



この間、籠池夫妻の長期拘留には
司法界内部から疑問視する声が高
まっていたが、検察も裁判所も政
権の圧力に負けて保身を図り、人
権侵害にあたる拘留決定をし続け
た。籠池氏が保釈後、「国策捜査
だと認識しており、妻に関しては
まったくの冤罪だ。民主主義国家
の日本では考えられない」と語っ
ていたのを思い出す。この時、籠
池氏は不正受給を「松井一郎大阪
府知事の政治的カムフラージュの
ために示し合わせたもので国民を
欺いている」と嘆いたのも、うな
ずける部分が多かった。



「足るを知る」という人の欲を戒
める禅の言葉がよく頭に浮かぶ。
それと真逆の強欲ぶりを裏付けよ
うとする「ゴーン捜査」だが、け
っして喝采は送れない。それは「
森友捜査」の失態を糊塗しようと
する検察の邪悪な意図が背後に透
けてみえるからである。性急さば
かりが際立つドタバタ捜査はその
ことを露呈している。


         【2018・12・22】


(今年もご愛読ありがとうござい
ました。年内はこれで終わりとし
、年明けは1月7日から再開しま
す)