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平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

 

衆参ダブル選挙の様相が一段と強
まってきた。改元フィーバーに便
乗した「令和解散」を目論む安倍
政権の思惑をメディアは検証もせ
ず、相変わらずその片棒を担ぐ。
「新天皇が植樹祭で11年ぶりにお
言葉」などと他愛もない言動を伝
え、有り難がる始末である。危惧
するのは、上皇夫妻に比べ、新天
皇の護憲意識は希薄ではないかと
思わせることだ。トランプ米国大
統領の国賓招待など次々改元イベ
ントを演出してきた最終的な狙い
はダブル選突入にあったのは間違
いない。内閣支持率は下がらず、
このままでは準備不足の野党に悲
惨な結末が待っているとしか思え
ない。


象徴天皇として、内外で戦没者慰
霊への旅を重ね、憲法遵守の思い
を伝えてきた上皇夫妻は改憲意欲
を露わにする安倍首相と不仲であ
ることが何度も伝わってきた。し
かし、今回の「即位後朝見の儀」
で、新天皇は「憲法を守り」とい
う言葉を使わず「憲法にのっとり
」と、より軽い印象を与える表現
にとどめたのは、それだけ護憲意
識が薄いためという見方もある。



確かに練り練ったはず言葉は、政
権と反目したくない側近らの助言
も受けて作成され、安倍政権の意
向が反映していると見るべきだろ
う。上皇のように、安倍首相と不
仲と見せないため、官邸筋を通し
てチェックが入っていた可能性が
高い。トランプ大統領の訪問時、
最大限歓迎行事に協力する新天皇
夫妻の姿が危うく見えて仕方なか
った。「スパーボールの100倍
すごいこと」と招待し、「忠犬ぽ
ち」のごとく付き随う安倍首相の
軽挙な振る舞いも数々目立った。



こんな空虚な改元騒ぎに関わらず
、内閣支持率はどの調査も40%台
を切らなかった。今月に下旬には
G20が大阪で開催され、「何かや
ってる感」の演出材料には事欠か
ない。このまま野党協力が進まな
い段階で、安倍首相が会期末解散
をしたくなるのは確かで先日、支
持者を前に「(解散)風はコント
ロールできない」と発言、野党を
揺さぶったのも心の内の表れだろ
う。


選挙地盤の山口の先達である伊藤
博文と首相在籍日数が並び、悦に
入っていたが、それだけ他に首相
候補を持てない自民党の情けない
党内事情をさらけ出しているとも
いえる。衆院予算委員会の開催に
応じないのは、解散まで少しも失
点をさせないという議員らの忖度
のせいだ。



しかし、G20ではまだ習近平中国
国家主席とトランプ大統領が貿易
交渉で合意できるか見通しは立っ
てない。いつも通りの中身のない
セレモニーで終わる可能性が高い
。宣言に盛り込まれるであろうプ
ラスチックごみによる海洋汚染防
止などはどれだけ実効力があるか
分からない。



ダブル選を7月下旬を想定するな
ら、あまり時間はない。衆参とも
与党優勢が伝えられる中、野党か
ら挽回する覚悟や戦術が依然伝わ
ってこない。このまま手を拱いて
いるだけなら惨敗は必至で、この
国の立憲政治は壊滅的危機を迎え
ることになる。


            【2019・6・6】


国会開会中というのに、衆院予算
委員会が90日も開かれない憲政史
上最悪の事態が進行中だ。事実上
「安倍独裁政権」が完結してしま
った。こんなこの国の閉塞感を打
ち破るのはメディアの覚醒しかな
いが、交わされた「日米密約」
を追及しようともしない体たらく
ぶりである。トランプ米国大統領

が記者会見で、貿易交渉・農業分

野の進展を認めたうえでの「8月

合意発表」をばらしたのである。そ

れでも安倍首相に突っ込んだ質

もできない記者ら。その映像を見な

がら、面罵したくなる気持ちが募っ

て仕方なかった。



共同記者会見で安倍首相の顔が一
瞬引きつったように見えたのは、
トランプ大統領が「私はTPPと
関係がない。アメリカは縛られて
いない」と言い捨てた時だ。「T
PP合意が最大限」としていた政
府の市場開放ラインがまったく尊
重されてないことを示し、参院後
の合意発表を決定事項のように言
われしまった。米国にはTPP基
準以下まで譲る密約が既に交わさ
れたとみるべきだろう。トランプ
発言を否定せず、安倍首相が「ウ
ィンウィンになる。交渉を加速さ
せる」と目が泳ぎながら発した言
葉の何と空虚だったことか。



「8月合意発表」は密約隠しの姑
息な言い逃れに過ぎない。野党は
選挙前に大打撃を受ける農業団体
などとスクラムを組んで、密約公
表を迫るべきだろう。消費増税と
並んで、日本の国益を次々と売り
渡すような「対米ポチ外交」が大
争点化するのは、必至である。戦
略戦術に欠ける野党の足元をみた
安倍首相の驕りから、逆に次々と
ほころびが見え始めた。



相次ぐ経済指標の悪化が示すアベ
ノミクスの行き詰まり。対米だけ
でなく、懸命に「やってる感」を
有権者に示そうとするだけの日ロ
、日朝交渉……。どれも何一つ成
果がない情けない結末である。



「安倍失政」の材料は他にもいく
らでもある。森友学園をめぐる民
事裁判では一昨日、安倍首相の関
与をひたすら隠し続けてきた財務
省に対し大阪地裁が「国有地売却
金額非公表は違法」として敗訴判
決を言い渡した。しかし、依然8
億円値引きの根拠は示されていな
いことなど「権力私物化」の全容
は未解明のままだ。



安倍首相は昨日「風というのは気
まぐれで、コントロールできない
」と衆参同日選を示唆し、選挙準
備が整わない野党にブラフをかけ
ているが、これも解散権の露骨な
私物化の表れであろう。選挙モー
ド演出に対応して、衆参院共に野
党統一候補擁立を急ぐべきだろう


メディアの怠慢で政治になかなか
関心が向かわない。それでも無党
派の人々に安倍政権の政策の是非
を聞くとき、分かりやすい疑問を
投げかけてみたらどうだろうか。
「安倍首相になって、何か生活が
良くなりましたか」と聞くと、「
良くなった」と答える人はごく少
数にとどまるはずだ。特に消費増
税や防衛費の膨張ぶりには7割以
上の人が「反対」と手を挙げるだ
ろう。政権が強みと自負していた
経済政策の破たんが一層明白に

なってきた。劣勢に見える野党に

は、好機かもしれない。


     【2019・6・1】


卑屈な笑顔に、不機嫌そうに腕組
みしながらうなずく。東京・両国
国技館で大相撲夏場所を観戦した
安倍晋三首相とトランプ米国大統
領の表情は際立った違いを見せつ
けた。この「改元政治ショー」を
最大限に利用しようという安倍首
相の目論見が思惑通り進んでいな
いことを示している。参院選後ま
で日米貿易交渉の中身を発表しな
いという今回の合意は、既に農業
分野で妥協を強いられていること
を知られたくなく、トランプ大統
領の「お情け」で先延ばしにして
もらっただけだ。「接待漬け」で
どんなに取り入ろうとしても、い
つも取引上手の相手に常に要求だ
けをのまされる「抱きつき外交」
の醜態をこれ以上見たくない。


テレビ映像は一瞬にしてすべての
真実を映しだすのも確かだ。トラ
ンプ大統領のため土俵に近い升席
を椅子席に変え、相撲を中断して
まで入場させたが、大統領は終始
不機嫌そうに腕組みして、勝ち相
撲の力士にほとんど拍手もせず、
口をきつく結んだままだった。大
相撲ファンならずともその態度に
は腹立たしくなった。それを横で
見てひきつりそうになり、、わざ
と笑顔をつくり出そうとする安倍
首相に、自分で招いたといえ、憐
憫の情さえ覚えた。傍らの安倍昭
恵夫人のはしゃぎぶりも異様で、
「恥ずかし気もなく、こんな場に
よく顔を出せたもの」と言いたく
なった人も多かったのではないか


それだけ、トランプ大統領の振る
舞いは、長い大相撲の歴史に無知
で無礼でもあった。NHKは朝か
らまるで国家の大行事のように、
そんなトランプ大統領の一挙手一
投足を伝えた。安倍首相の「改元
政治ショー」にメディアが加担し
てしまっている自覚もない。安倍
トランプ会談は既に11回にのぼり
、ゴルフも5回目を数えるが、誇
るべき外交成果は何もなく、ひた
すら押されっぱなしで米の言い分
を聞く一方だけである。



テレビは番組を中断してまでも表
層的に「今ホテルを出た」「大統
領専用ヘリに乗った」など分刻み
で動向だけを伝えた。比較的まと
もなTBSの「サンデーモーニン
グ」が朝からゴルフ場に行くトラ
ンプ大統領の姿を番組コーナーを
何度も中断しながら伝えていた。
司会の関口宏氏がいら立って「も
ういいでしょう」とスタッフに自
制を促すほどだった。他の番組が
どうだったかは、もはや推して知
るべしだろう。



これでは視聴者や有権者が首相の
「やっている感外交」を刷り込ま
でしまっても不思議はない。いつ
の間にかジャーナリズムは消えう
せ、懐疑的思考を促す役割を放棄
しまっているように見える。



今後も来月の大阪でのG20などを
駆使し、「やってる感」を演出し
選挙になだれ込みたい安倍首相の
頭の中が見えるようだ。しかし、
それ以前にまだ国会開会中である
ことを忘れてはならない。「国会
の花形」とされる衆院予算員会は
実に3月1日以来、一度も開かれ
ていないのだ。



与党側が様々追及される姿を見せ
たくないという意図からだろうだ
が、憲政史上例のない異常事態だ
。既に国権の最高機関さえ骨抜き
にしてしまった「専制政治」にス
トップをかけなければ、この国は
もう民主主義国家を名乗る資格は
ない。「トランプ狂騒」の背後に
ある景色をしっかり凝視、それぞ
れの立場で声を上げる時である。


       【2019・5・27】





恥ずかしながら、今までその存在
をまったく知らなかった絵師に魅
了された。閉展間際の「没後13
0年 河鍋暁斎」展(兵庫県立美
術館、19日まで)を観覧、作品の
の数々に圧倒され今も余韻がさめ
ない。幕末から明治にかけての大
転換期に描いた絵はどれも写実的
でいながら「おかしみ」のあるユ
ーモアにあふれる。世界の画家に
多大な影響を与えた葛飾北斎、歌
川広重らの画業に勝るともとも劣
らない評価をもっと得られてよい
奇才ではなかろうか。「Kyos
ai」が放つ時代や社会を風刺す
る精神をズシッと受け止めたい。



ずっと浮世絵ファンで、この数十
年間、評判の展覧会に出かけ有名
浮世絵師の肉筆画に接してきたが
、暁斎が肉筆で描いた世界の豊饒
さや時代の精神性をこれほど感じ
たことはなかった。暁斎は幕末期
、茨城県古河市に生まれ明治前半
まで活躍した。若くして歌川国芳
に入門、自然、人間、社会のあら
ゆる対象を豊かな表現方法で描き
続けた。国芳の弟子だけあって、
作品にはどれも時代風刺がにじみ
出る。が膨大な作品群の中から、
今回はドイツのビーティヒハイム
・ビッシンゲン市立美術館が収蔵
していた「九相図」などの名作ば
かり200点を展示している。




中でも印象深かったのは「小よく
大を制す」を「蛇を捕まえる蛙」
の絵が精神性を表していた。小さ
な何匹もの蛙が凶暴な目をした蛇
を手分けして抑えつけて動けなく
させている図に見入った。少々う
がった見方かもしれないが、今の
政治の世界に重ねて観た。暴れ回
る蛇は現政権に例えられ、小さな
蛙は弱小野党や有権者ではないか
。現実はそんな妄想は通じない別
弱肉強食の世界だが、絵にはどこ
か「おかしみ」があって観る人を
心穏やかにさせる。




他の猫、虎、烏、鶏、鷹などの動
物の目はどれも鋭く、心の中まで
うかがえるような筆致で描かれる
。「北斎漫画」が今ブームでもあ
るが、「暁斎漫画」も負けず、ユ
ーモラスな世界に引き込んでくれ
る。特に発想の突飛さが抜きん出
て、明治中期に描いた「ロンドン
大宴会」は東海道中膝栗毛の弥次
さん喜多さんがイギリスで現地人
と酒盛りする図で、思わず吹き出
したるなる面白さがあった。



他にも見どころ満載で、とても半
日ぐらいで絵をじっくり観覧する
のは無理だった。もっと暁斎の作
品にふれたく、今度は埼玉県蕨市
にある「河鍋暁斎記念美術館」(
048・441・9780)を訪
れたくなった。関西在住の人には
必見と思われる残り2日間での観
覧をお薦めしたい。


   【2019・5・18】


(次回は都合により、27日に掲載
します。写真は河鍋暁斎展のポス
ターから)


「(健康を)願っていません」。
こともあろうに万人注視の天皇退

位の儀で、天皇に向かい読み間違
いをした安倍晋三首相は、訂正も
謝罪もせず、官邸の公式動画を削
除してしまった。首相支持勢力の
右翼団体からも「不敬だ」と抗議
されるほど無知で姑息な人柄をま
たさらけ出したが、内閣支持率は
逆に55%と昨年の自民党総裁選直
後以来の高い数字になった(日経
新聞調査)。こんな首相の大失態
を十分に伝えないメディアの怠慢
もあって、改元の政治利用が目論
み通りの効果をもたらしている。
ずっと国会も開かれないこの国は
専制国家の道にひたすら逆戻りし
ている。


同じ日経調査で、安倍内閣不支持
率が7ポイントも下がったことを
野党は存亡の危機と受け止めるべ
きだろう。国民民主と自由党の合
流などまったく関心が高まってい
ない。約二か月後に迫った参院選
に向けて、どの野党からも展望も
戦略も見いだせない。立憲民主も
自分たちのだけの勢力維持だけを
考え、野党共闘を組まないのなら
、頼りの無党派層からどんどん見
放されるだろう。


維新が大阪で勢力を伸ばし、国家
観を共有する安倍内閣の補完勢力
になるのは必至だ。大阪の公明が
「ゲタの雪」になって擦り寄って
も、政権と創価学会員双方から見
放される可能性もある。もう目に
見えないところで、自民・維新に
よる改憲の動きが加速していると
見るべきだろう。


与党の驕りと戦略に欠ける野党の
せいで、国会は事実上閉会状態で
ある。わずかに立憲民主の長妻昭
代表代行が「予算員会が70日間も
開かれていない」と声を上げた。
その通り、議会制民主主義がまっ
たく機能していない。しかし、統
計不正、首相地元の公共事業私物
化などをただす決定打を打ち出せ
ない自らの力不足も認識しなけれ
ばならない。改憲の賛否を問う国
民投票のCM規制も与党ペースで
進み、広告欲しさの民放連は「量
的規制はしない」と決めた。これ
では資金量の多い自民など改憲勢
力が有利になるのは論を待たない
。政治的意見が分かれるCMを公
平に流すのはメディアの務めであ
るはずだ。



与党は早くも憲法審査会での十分
な議論抜きで改憲への一歩となる
国民投票関連法の議決を迫ってい
る。どの野党にも改憲を阻止する
覚悟が問われる事態が直前に迫っ
ている。



「改元ボケ」したテレビの情報番
組は、大事なな動きを一切伝えず
連日、宮中の宗教行事をまるで国
家行事のように伝える。秋の「大
嘗祭」は宗教色の強く、違憲訴訟
まで起きているのに、その大嘗祭
に使う米を選定する13日の「斎田
点定の儀」を、JNN系情報番組
はパネルまで使って報じた。解説
したのは安倍首相支持で皇室に縁
のある竹田恒泰氏だった。偏向的
なコメントを連発する人物の起用
は番組作りの劣化を示す。皇室賛
美一色の番組は天皇制礼賛の思考
を生みやすい。特に身内を先の戦
争で失った人々のうちでは、天皇
の責任に複雑な思いを抱く視聴者
も多いはずだが、そんな配慮がう
かがえない。



日経調査では「皇室に親しみを持
っている」と答えた人が78%にの
ぼった。まるで刷り込まれるよう
に連日皇室一家賛美が続くと、そ
うなるだろう。しかし、今のメデ
ィアが罪深いのは、天皇一家の動
向と天皇制の歴史や政治利用を区
別せず、「国民主権」の意識を持
たず報じていることだ。


   【2019・5・13】


空虚な改元フィーバーに浮かれる
最中、総務省がこの20年で非正規
雇用者が2倍の2117万人に増
えた統計数字を出した。実に就業
者の3人に1人が非正規である。
このうち928万人は平均個人年
収186万円のいわゆるアンダー
クラスで、格差社会研究の専門家
はこのまま放置すれば、貧困から
抜け出せず、社会崩壊を招くと警
告する。そんな時、1機140億
円もする航空自衛隊の米国製戦闘
機F35Aが墜落、原因も不明のま
まだ。政府は同機を147機も「
爆買い」しており、見直す気配も
ない。連休明けの後半国会では、
足元の貧困社会深刻化と米国のい
いなりになって数兆円もの武器調
達をする政府の姿勢が厳しく追及
されるべきだろう。


F35Aが墜落して1カ月が過ぎて
も、原因は不明のままで調査は米
軍がチャーターした潜水作業支援
船に任されたまま。軍事機密が絡
んでいることを理由に、空自独自
の究明は進んでいない。機体の不
具合なのか、日本での組み立てミ
スなのか分からないのに、政府は
1兆2000億円にも達する調達
計画の見直しを表明していない。
今年2月の衆院予算員会では、F
35の未解決の欠陥が966件指摘
されていた(米国会計検査院)こ
とが明らかにされていたのに、ほ
とんどこれを無視するように「爆
買い」に突っ走っていたのだ。


操縦士は3200時間の飛行経験
があり、操縦ミスは考えにくく、
機体に不具合が生じたとみる専門
家もいる。そうであれば、機種選
定の選考過程が厳しく正さなけれ
ばならないはずだ。安倍政権は米
国の言いなりの高額な兵器を相次
いで購入している。迎撃効果に疑
問があるミサイルシステム「イー
ジス・アショア」を始め、オスプ
レイ、無人偵察機グローバルフォ
ークなどで、防衛予算をはるかに
超える高額で、支払い延期を要請
する異常事態である。


トランプ米国政権の庇護を受け続
けたいという一政権の打算で国民
の血税が米国の兵器産業にたれ流
され続けるという構図を変えなけ
ればならない。夏の参院選は消費
増税と米国への属国化が争点とし
て問われなければならない。


いずれも安倍政権がずっと成果の
ように勝ち誇ってきたアベノミク
スの破たんが背景にある。どんな
に統計数字を糊塗しても隠しよう
もなく減り続ける実質賃金。所得
が国民の平均値の半分に満たない
人の割合を示す「相対的貧困率」
は16・1%と先進国のトップクラ
スに陥った。実に全体の7人に1
人が貧困に悩み、母子家庭の半数
が苦しんでいるのが実態だ。


こんなに貧しい人が増えているの
に、政権批判が高まらないのは、
現実を直視しない有権者が増え続
けていることが挙げられるが、そ
れをもたらすのはメディアの怠慢
も大きい。連休明けのテレビの情
報番組は相変わらず、天気、料理
、生活情報を中心に組まれている
。大転換期とも言うべき今、取り
上げるべきテーマは多く深刻だ。
この国では、もうまともな情報・
報道番組は消えつつあると認識す
べきだろう。


    【2019・5・8】


皇帝が時間と空間を支配する意図
を込めて中国で始まった元号が無
思考のまま、今も使われ続ける違
和感がぬぐえない。メディアは天
皇一家の動向ばかりに焦点をあて
、慶祝ムードをあおり、天皇制の
検証もしようとしない。それだけ
でなく、改元で何かいいことでも
起きるかのような空気を醸成し罪
深い。この間、当初は案になかっ
た「令和」を安倍晋三首相が気に
入り、主導した経過も明らかにな
った。どんなに「令和」礼讃の声
が上がろうが、時と空間は自分た
ちのもので、元号は昔日の遺物に
すぎない。その元号まで私物化す
る人物が決めた典拠偽装の「令和
」を、自らけっして進んで口に出す
まい。


「案の定新元号に指示を出し」



こんな句が2日付けの朝日川柳に
掲載されたように、元号制定の背
後にあった薄汚れた目論見はもう
見抜かれている。しかし、その選
考過程を十分批判しないまま、新
聞、放送はこの数日間、天皇退位
・即位の行事を仰々しく伝えるだ
けであった。見出しの大きさや番
組構成だけをみれば、戦前・戦中
の皇室報道と見間違うほどで、横
並びの時代錯誤ぶりをさらけ出し
た。戦前の天皇制賛美に組しない
という戦後メディアの報道倫理は
どこに行ったのか。1日は働く人
の祭典メーデーだったが、その記
事ですら探すのが難しいくらいで
、「主権在民」が消し飛ぶような
バランスを欠く翼賛報道の復活だ
った。



同じ川柳欄にこんな句があって目
を引いた。



「改元に酔う若者に隙が見え」



大阪・道頓堀川に飛び込んだり、
東京・渋谷のスクランブル交差点
でのカウントダウンに声を上げる
若い人の姿を憂いたい気持ちがよ
く分かる。きょうは憲法記念日。
改憲勢力に組み込まれる若い人の
政治意識が危うい。朝日の郵送世
論調査によれば、ネット限定層の
内閣支持率は実に60%にのぼり、
全体の43%をはるかに上回ってい
る。そして憲法を変える必要があ
ると答えた若い人は実に68%にも
なった。全体はまだ38%にとどま
っており、若者に「隙が見え」と
表現した句の投稿者は歴史に無知
な時代の実相を言い当てている。



改元を政治ショー化し、改憲に結
び付けたい安倍政権は、これから
なりふり構わず、うごめき出す予
感がする。その兆候はもう到る所
で表れている。ベトナム・ハノイ
に出向いた岩屋毅防衛相が南シナ
海の領有権問題に関与しようと、
自衛艦空母「いずも」を30日、神
奈川・横須賀基地から出航させた
のもその一つだ。ベトナムとの共
同訓練などを通じて、中国を刺激
しようとしている。中国の南シナ
海進出は国際ルールを無視してい
るのは確かだが、専守防衛である
べき自衛隊が、なぜはるか、きな
臭い南シナ海に空母まで巡回させ
る必要があるのか。実質は日米軍
事同盟強化目的の安保法制による
出動の既成事実化だろう。


そこには、米軍の対中攻勢に付き
随え、覚え目出度くしたい意図が
垣間見える。一歩間違えれば、戦
争に巻き込まれる恐れさえある。
メディアの責務はその危険性を喚
起することではないか。


先日、萩生田光一自民幹事長代行
が9条改憲に向け「ワイルドに憲
法審査を進めたい」と発言したよ
うに、なりふり構わず改憲への動
きを加速するのは必至である。改
めて改元の政治ショー化による奉
祝ムード演出は、改憲への序章で
あり、一体の動きであるという危
機感を高めたい。


            【2019・5・3】


また世界に恥をさらすフェイクニ
ュースを流した。新天皇即位を「
スーパーボウルの100倍大きな
行事」とトランプ米大統領に説明
したと報じられた安倍晋三首相の
ことである。自国の改元を訪問先
のスポーツ行事と比べる次元の低
さと誇張は改めてその知性の欠落
ぶりを示す。自分で「令和」を最
終決定した自慢からだろうが、そ
の的外れぶりを批判できないメデ
ィアも同レベルだ。せめて押し付
けられたような10連休の間、箍(
たが)が外れた国の言論の行く末
を憂い、どう処すべきか考えたい


最近、この国を「どんどん箍が外
れているのではないか」という思
いを強くしたことがあった。JR
西日本の電車の中吊り広告に目を
向けた時だった。どの車両もヘイ
ト記事満載の雑誌「月刊Hanada
」の広告が席捲していた。ほぼす
べての「令和」礼讃記事の執筆者
は櫻井よしこ、竹田恒泰、青山繁
晴氏ら安倍首相支持者ばかり。こ
の雑誌はいつも中国、韓国、朝日
新聞への憎悪をむき出しにした記
事が売り物で、あまりの偏向から
これまで中吊り広告が電車の車両
を占めるようなことはなかった。





一体、JR西日本の広告掲載倫理
基準はどうなっているのか。既に
JR東海系の雑誌「ウェッジ」が
原発再稼働支持を求める記事など
を多く掲載、新幹線やキヨスクに
並び、広告も出ていたが、今回の
「「月刊Hanada」ほど目立つこ

とはなかった。


JR東海の葛西敬之名誉会長が熱
心な安倍首相支持者で、よく食事
を共にすることは知られている。
それで目に余る「ウェッジ」広告
は出せないという自制はうかがえ
た。これに比べ、JR西日本の度
が過ぎた広告は一歩も二歩も掲載
基準の制限ラインを超えている。
それでも表立って大きな抗議の声
が出ないのは、知らず知らずのう
ちに乗客の思考が、中韓や朝日を
攻撃するヘイト思考に染まり、右
翼的な論調に馴らされてきたせい
だろう。


電車の車内を見れば、乗客の6、
7割がスマホの画面に見入ってい
る。その多くがヤフー、スマート
ニュース、ドコモニュースなどの
の画面を開いている。このネット
ニュースにも、取材に基づかない
ヘイトコラムやニュースが多くな
ってきた。「ヤフーニュース」の
ラインナップは発信元が一目で分
からないように変えた。ヘイト記
事や安倍政権支持の論調を帯びた
記事が目に入るようになってきた


そんな時、主によく引用されてい
るのが、産経、読売の政治記事で
ある。「スマートニュース」には
堂々と夕刊フジのサイトニュース
「zakzak」やネトウヨの総本山と
言われる「アゴラ言論プラットフ
ォーム」の安倍政権支持の記事が
目立ってきた。東洋経済オンライ
ンニュースやプレジデントオンラ
インも要注意だ。取材に基づかな
い野党攻撃や一部のメディアを攻
撃する記事が多い。特に橋下徹氏
の記事は頻繁で、まるで「橋下機
関紙」を印象付ける。安倍政権を
補完している立場も読み取れるの
は皮肉な効用かもしれない。



バランスを著しく欠く記事や放送
がこれだけはびこっているのは、
多くの有権者が新聞を読まなくな
ったのも一因ではないだろうか。
自分にとって不都合なニュースで
も、それを知ることで世界が広が
り、思考も深まる。新聞、放送な
どの既存のメディアが再生するに
は、ヘイト本やネット記事を圧倒
的に凌駕する深みのある記事を増
やし調査報道の質を高めるしかな
い。


    【2019・4・28】


欧米ならシニア世代の暴動が起き
てもおかしくない年金政策の変更
である。政府・与党が高齢者の就
労を促すため厚生年金在職老齢年
金制度廃止の検討を始めた。実現
すると、約90万人いる対象者の年
金がカットされ、フルタイムで働
く60歳代の男性が約14万人増える
見通しも公表された。既に公的年
金の支給開始を70歳以上に誘導し
ようと、先送りにさらなる増額を
する方針で、「老骨にムチ打つ」
政策が相次いで繰り出された。実
質賃金を減らされ続け、またさら
なる打撃を強いられる高齢者はも
っと背景にあるアベノミクスの破
たんに怒りの声を高める時ではな
いか。


政府は70歳代への支給先送りの場
合、年間84万円が増額になり、月
当たり7万円増えるとの日本年金
保険機構の試算を公表、高齢者雇
用の促進をアピールしている。し
かし、65歳定年の延長も実現しな
い現状のまま、カットされても生
活を維持できる高齢者がどれだけ
いるか。


失業保険の支給額もごまかした一
連の統計不正が審議されたこの国
会で、政府は野党が要求し続けた
実質賃金データを依然未提出のま
まだ。その見通しさえ明らかにし
ていない。調査対象の半数を変更
して数字を操作していたため、も
う隠し続けるしかなく、もう公表
できないのである。


日本の格差社会の実体を数字で裏
付けて評価の高い橋本健二早大教
授の「新・日本の階級社会」(講
談社現代新書)によると、日本に
はパート主婦らを除いた非正規労
働者を指すアンダークラスの人が
926万人もおり、平均個人年収
は186万円である。このクラス
の人たちは安心して家庭も持てな
いため未婚率も高い。正社員とし
て働いた期間も短いかゼロの人も
多い。高齢者年金の受給もままな
らない。


そんな生活困窮者の激増に目を向
けず、富める者により厚い手当を
支給しようとするのが、今の政府
だ。「在職老齢年金廃止」は一方
で、65歳から年金をもらわなくて
も生活できる富裕層が先送りした
場合、さらに優遇される制度にな
る。「富める者はより豊かに、生
活困窮者はより貧しく」が今の賃
金政策である。


橋本教授は、アンダークラスの人
について「あなた自身やあなたの
子供がそうなったらどうしますか
。突き放すのではなく共通の視点
で解決の道筋を考えることが重要
だと考えます」(毎日新聞3日夕
刊)と指摘し、最低賃金を大卒初
任給並みになる時給1500円に
するよう提言している。


まもなく10連休に入る。メディア
は政府の「改元ムードづくり」
のプロパガンダに乘って、祝祭気
分を高めるが、本来目を凝らすべ
きは、休みたくても休めず、賃金
を目減りされる人たちの困窮ぶり
ではないか。「令和」が国書由来
というフェイクニュース(原典は
中国の詩文集・文選にある)には
もううんざりである。衆院補選の
2連敗から逃げるように、今朝欧
米に外遊した安倍晋三首相。随行
したメディアがそのパーフォーマ
ンスをたれ流す以前に、質問すべ
きことは山ほどあるはずだ。


        【2019・4・23】


背広姿の安倍晋三首相が5年半ぶ
りに視察したり、トラブル続きの
中、見通しのないまま核燃料の取
り出しを始めるなど政府があから
さまに福島原発事故の収束ぶりを
アピールしている。しかし、まだ
熔融した燃料デブリの状況さえも
つかめず、汚染水の最終処理方法
も決まっていない。改元と五輪準
備に合わせた過剰な演出としか思
えない。世界貿易機関(WTO)
は韓国の水産物輸入禁止措置を正
当とみなす判断を下した。いくら
深刻な事実を隠しても、世界から
は理解されない。最重要なことは
、現地の過酷さに真正面から向き
合うことではないのか。


「アンダーコントロール」という
安倍首相の五輪招致時の言葉以来
、それに合わせるかのように、政
府発表に欺瞞性が強まっている。
15日から始まった3号機の核燃料
4体の移動を東京電力はあたかも
全体の燃料棒取り出しのスタート
のようにアピールした。しかし、
この燃料棒は原子炉建屋の上部の
使用済み燃料プールにあった一部
にすぎない。1、2号機と合わせ
原子炉本体の熔融した燃料デブリ
はその状態をつかめていないのが
現状だ。


それなのに、安倍首相は前日、作
業チームに「内閣総理大臣感謝状
」を授与、多大な功績があったか
のように演出した。予定より4年
4カ月も遅れ、先行きも見通せな
い状況がありながら、あたかも区
切りがついたように見せかける表
彰は偽善としか言いようがない。
むしろ収束できない東京電力幹部
にペナルティーを与えるべき事態
なのである。1、2号機の取り出
しが2年後になるという釈明が改
めて深刻さを想像させる。何年先
になるか分からない肝心の燃料デ
ブリ取り出しが始まってようやく
廃炉に向けた作業がスタートと見
るべきだろう。しかし、これも何
十年先になるか分からないのが現
実だ。


作業員の健康状態も心配だ。とい
うのは、ずっと健康な人の年間許
容線量が1ミリシーベルトで、原
発作業員は20ミリシーベルトだっ
たのに、作業員は100ミリシー
ベルトにひきあげられ、今はなん
と250ミリシーベルトにされて
いるからである。そうしないと、
作業員が確保できないからである
。一人の作業時間は30分が限界と
いい、緩めた基準のままでは今後
健康被害が出ることは避けらてな
いと多くの専門家が指摘している
。健康障害が伴うかもしれない感
謝状など受け取りたくないのでは
ないか。背広姿で安全性を強調し
た首相の視察は欺瞞というより犯
罪的ですらある。


福島県では甲状腺がんの子供が増
えているという報告も出ている。
甲状腺検査サポート事業によると
、既に273人もの小児患者が出
ている。毎日新聞によると、福島
県外の子供30人についても、より
重症化しているとNPO法人の報
告した。


政府は韓国の水産物禁輸の不当性
を訴えるが。WTOの最終審は日
本の主張を認めなかった。韓国だ
けでなく他の22カ国も輸入制限を
続けている。それだけ安全性が十
分確保できる具体的データがない
からだ。日本の消費者も何でも「
風評被害」とみなすだけでなく、
個別の食品ごとに見極める必要が
ある。拡散した放射線の半減期を
考えると、短期間に消失するとは
考えにくい。きちんとした測定デ
ータの裏付けが必要だ。


政府と東京電力が取り組むべきこ
とは、被害補償の縮減ではない。
改めて事故の全容を明らかにし、
苦悩する被災地の住民の声を聞き
、最優先に対策を練ることしかな
い。「復興五輪」は実体のない空

虚な言葉にしか響かない。


     【2019・4・18】