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平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。


8月1日から臨時国会が開かれる
が、自民党は、10議席も減らした
参院選を忘れたような驕りが目立
つ。中でも「改憲停滞なら(衆院
)議長交代」と発言した萩生田光
一幹事長代理の専横ぶりは突出し
ていた。「少なくとも議論すべき
だという国民の審判は下った」と
総括した安倍晋三首相の意を汲ん
だつもりだろうが一議員の分を超
えた振る舞いのエスカレートぶり
に驚く。「三権の長」の人事まで
に口を出す「安倍側近」に改めて
「何様か」と問いただしたくなる。



そもそも、国会の議長選出は与野
党合意で決まるはずだが、201
7年が任期だった大島理森議長再
選をごり押ししたのは政権与党だ
った。それが、今度は衆参両院の
憲法審査会が首相の思惑通りに進
まなかったことを、大島議長に責
任をかぶせ、交代させようとする
のは、専横極まれりと言うしかな
い。


一昨年以来の「モリカケ国会」で
首相出席の予算委員会を満足に開
かず、大島議長から「議論を尽く
すべき」と勧告された経緯がある
。それも首相が気にくわなかった
のかもしれない。萩生田幹事長代
理自身が、前任の官房副長官時代
、加計孝太郎氏が経営の加計学園
系の千葉科学大学から毎月報酬を
得ていながら、文科省の大学設置
審設置に口先介入した疑惑の中心
人物である。本来なら、謹慎すべ
き立場でありながら、安倍首相か
ら幹事長代理に抜擢され、ますま
す増長し始めた。


今年4月には10月の消費増税延期
の可能性をほのめかし。解散風を
あおった。当時、自らの総裁4選
に向けダブル選のタイミングを測
っていた安倍首相が萩生田氏に観
測球を上げさせたという見方が広
がったことがある。今度も改憲議
論を加速させたい安倍首相の願望
が込められているのは明らかだろ
う。


そんな大事な政局の節目に関わら
ず、メディアは相変わらず韓国叩
きと吉本興業のスキャンダル報道
に熱を上げている。今メディア、
特に免許を握られている放送会社
は政権からにらまれないように、
「政治の内実からいかに有権者の
関心をそらすか」だけに心を注い
でいるように見える。



8月は有権者の暮らしの先行きに
ついて、相次いで政治判断がされ
る重要な時である。安倍首相がト
ランプ米国大統領から参院選に先
送りしてもらった日米貿易交渉で
の譲歩の中身を明らかにしなけれ
ばならない。「老後年金2000
万円不足」論議の中、その前提に
なる5年に一度の年金財政検証の
公表も迫られている。政府がずっ
と出したくなかった名目成長率は
1%前後で推移していると見られ
将来最悪になりそうな給付率を追
及されるのは必至だ。現役世代の
平均手取り収入に対する、夫婦が
受け取る「所得代替率」はこの公
表によって、一挙に62%から20
44年には50%まで下落しそうで
、待ち構える消費増税と重なって
、強烈な政権批判がわきあがるの
は間違いない。


この夏、テレビ番組が報道すべき
は、そんあ生活直撃の関連ニュー
スであるべきだ。「吉本スキャン
ダル」を報じるなら、今春、吉本
新喜劇の舞台に立って選挙運動を
した安倍首相の異様な行動ぶりと
吉本興業幹部をつなぐ癒着と血税
約100億円が同社に流れるカラ
クリを検証すべきである。表面的
な報道だけでも「モリカケ」に匹
敵する「国家利権の私物化」の腐
臭が漂ってくるからである。


        【2019・7・29】


相変わらず朝から深夜まで吉本芸
人の言動ばかりをたれ流すテレビ
各局。48・80%という史上ワース
ト2の低投票率を招いたことに加
担した番組編成への反省も検証も
聞かれない。6年半にわたる安倍
政権の信を問うべき選挙なのに、
選挙報道を大幅に減らし、有権者
が政治を考える機会を奪ってしま
った。選挙翌朝は「与党勝利」と
画一的に伝えたが、その内実を凝
視すると、とても信任を得たと言
えない指標が数々浮かび上がる。
そして、既存野党への不信や叱咤
が聞こえてくるようだ。



特に異様だったのは、投票日前に
発生した京都アニメ放火事件と吉
本芸人のスキャンダルがどのニュ
ース番組もジャックするように報
じられた。作家の平野啓一郎氏は
毎日新聞で「NHKニュースをは
じめ、テレビ報道がひどすぎた。
この選挙の、意味、重大性を十分
報じなかった」と指弾した。政府
広報化したNHKは直前なのに、
メインのニュース番組でまったく
扱わない日もあり、一段と視聴者
の関心を選挙から遠ざけた。テレ
ビ番組調査会社の数字では前回参
院選より、選挙番組が3割も減っ
たという。


選挙番組排除の異常は内閣の平井
卓也IT相さえ「前半戦はジャニ
ー喜多川さんの訃報、中盤戦は日
本と韓国の問題、終盤は京都の火
災や吉本興業に取られてしまって
、テレビ報道が極端に少なかった
」と閣議後の記者会見で触れざる
を得なかったほどだ。会見では、
自分と同じ出身地の香川県が45%
とさらに低かったと紹介され、故
郷の惨状に暗然とさせられた。そ
して「投票率が50%を切った選挙
が有効と言えるのか」とまた声を
上げたくなった。


それでも、安倍晋三首相は与党幹
部は「勝利した。憲法改正への議
論を加速させたいという公約が認
められた」と誇らしげに述べた。
しかし、低投票率だけでなく、得
票率と獲得議席の関連をみると、
与党勝利なのか、実に怪しい。昨
日の東京新聞に注視すべき分析記
事が掲載された。


同紙が参院選選挙区74議席のうち
、最も多い38議席を分析したとこ
ろ、全有権者に占める得票割合を
示す「絶対得票率」は18・9%と
2割を切ることが分かったという
。これはたった2割に満たない支
持で5割を超える議席を獲得した
ことになる。


これが今回の選挙結果の内実を示
しているのではないか。記事はさ
らに、今回自民党は「絶対得票率
」を2%余りも減らしたのに、議
席占有率は前回より2%も上がり
、51・4%になったと伝えた。業
界、農村部の票が都市部より多く
議席が割り当てられている不公平
さが一段と浮かび上がらせた。低
投票率が議席の偏重ぶりさらに顕
著にあぶり出したのである。



1票のさらなる格差は「れいわ」
の躍進でもうかがえる。96万票も
取りながら、山本太郎氏は落選し
たが、選挙区ではわずか1万50
00票で当選した議員もおり、そ
のあまりの落差に絶句するほどだ


野党第1党の立憲民主は議席増に
安堵している時でない。枝野幸男
代表のかたくな独自路線が都市部
の退潮をもたらした。多様な価値
観の提示で新たな潮流を巻き起こ
した「れいわ」と好対照だった。
今後は安倍首相が早ければ秋に仕
掛けるかもしれない「衆院解散」
に向けた戦略の再構築がなければ
、国民民主と同様、じり貧・消滅
の道が待っている。


       【2019・7・24】


視界が広がるように、改めて確信
を抱いた。「我々は今、専制国家
の中にいる」。札幌市に続き、滋
賀県大津市でも参院選応援演説の
安倍晋三首相にヤジを飛ばした聴
衆が警官に排除された。メディア
がそれを深刻に受け止めず大きく
取り上げようとしないのは、基本
的人権と表現の自由を損ねている
と自ら受け取ることができないほ
ど鈍感になってしまっているから
だ。政治を揶揄することさえでき
ず、どうして民主主義国家といえ
ようか。市民生活の中でファシズ
ム(全体主義)の芽がグロテスク
に大きくなり始めた。それを示す
一つ一つのニュースの深部に目を
凝らさなければ、ますます破たん
の淵に追い込まれる。


札幌市でのヤジは男女数人が「安
倍辞めろ」と言っただけで、首相
演説が中断されることもなかった
という。それなのに、制服姿の警
官に取り囲まれもみあいになりな
がら会場から排除された。このう
ち女性も私服警官から手足をつか
まれ、移動させられた。毎日新聞
の記事写真には、男女7人もの警
官が一人の女性を拘束しようとし
ている様子がはっきり映っていた
。道警警備部は「聴衆とのトラブ
ルが懸念され、移動するよう声を
かけたが応じなかった」と説明し
ているが、自ら予備拘束を認めて
いるようなもので、過剰警備だっ
たのは明白だ。


自分が記憶する選挙風景の中で、
警察当局がこれほど威圧的な行動
をくり返した例を知らない。これ
が許されると、政府を批判するデ
モや集会も出来なくなってしまう
。今回の一連の過剰警備を伝えた
のは、朝日、毎日など一部の新聞
だけで、知る限り、テレビの報道
は皆無だった。


政権への同調圧力が強まっている
とはいえ、メディア、特にテレビ
はもっと深刻に受け止め報道しな
ければ、視聴者から見向きもされ
なくなるだろう。選挙をまともに
報じようとせず、政治報道から逃
げて連日、吉本興行芸人の裏稼業
、ジャニー喜多川氏死去関連ニュ
ースばかりをたれ流す劣化ぶりに
大喝を入れたくなる。どの局も「
政治さえ扱わなければ、何でもあ
り」という放送会社幹部の本音を
忖度した番組ばかりだ。


米国の政治学者、ローレンス・ブ
リットはファシズムの初期兆候に
ついて14の項目を挙げている。


・強情なナショナリズム

・人権の軽視

・団結のための敵国づくり

・軍事優先

・性差別の横行

・マスメディアのコントロール

・国家の治安に対する執着

・企業の保護

・労働者の抑圧

・学問と芸術の軽視

・犯罪の厳罰化への執着

・身びいきの横行と腐敗

・不正な選挙


ほとんどが安倍政権の姿と重なる
。ここでは詳述は控えるが、ヤジ
排除は人権軽視に相当、中韓敵対
視、兵器爆買い、モリカケ疑獄な
どぴったり当てはまる。今回の参
院選はさまざま争点はあるが、全
体では、ファシシズムの兆候が顕
著になった「安倍専制国家」への
審判にしなければならない。


   【2019・7・19】


参院選最大の争点であるはずの消
費増税論議が盛り上がらない。政
府は「社会保障維持のために必要
」として増税見直し論議に応じよ
うとしない。しかし、野放図な防
衛予算に伴う過大な国民負担に批
判が高まれば、まだストップさせ
ることができる。その最大論拠に
なりえるのは、米国から爆買いす
るステルス戦闘機とミサイル防衛
システム「イージス・アショア」
を合わせ、1人当たり約4万円も
の巨額になることだ。消費増税に
よって1世帯あたり、年間4万円
支出が増えることと合わせ、納得
がいかない有権者が大半だろう。
明白に「ノー」という意思表明が
示されれば、さすがにごり押しで
きなくなるはずだ。


最もいぶかしく思うのは、「税収
が順調に伸びている」(安倍晋三
首相)と今後10年間は増税不要と
している点だ。税収が足りなくな
るからさらなる負担を求めている
のかと思ったら、あっさりそれを
否定してしまった。過去の消費増
税時のように、個人消費が伸びず
税収がダウンした時、どうするの
か判然としない。漠然と「社会保
障で必要」とアピールするだけで
は無責任極まりない。


有権者が増税論議以前に目を向け
なければならないのは、安倍首相
がトランプ米国大統領に約束した
ステルス戦闘機「F35A」の14
7機購入とイージス・アショア2
基の爆買いだ。F35Aは1機11
6億円で元高級自衛隊空将の尾上
定正氏によると、国民1人当たり
3万3千円になるという。201
7年当初1基800億円(小野寺
五典元防衛相国会答弁)としてい
たイージス・アショアはその後、
1千億単位で取得費がアップし、
2基総額2千億円もの巨費に膨れ
上がった。合計すると、国民1人
当たり4万円を軽く超えてしまう
のである。いずれも米国の言い値
ではないかと追及されると「軍事
機密」と明白な根拠を示さない。
それで納得する人の思考を疑う。


国民の血税を、まるで自分の財布
のように錯覚して相手の言いなり
になって渡す。税収がアップした
から余計いい気になっているとし
か思えない。社会保障で消費増税
が必要と言うが、前回の消費増税
以降、所得税の税収は富裕層への
税率を大きく低減、6兆円も減ら
した。さらに法人税も同じく6兆
円も軽減させた。実はこの富裕層
の負担を軽くした二つの税収の減
収分が、今回の消費増税によって
補われることになる。政府は増収
分は社会保障目的にしか使わない
と説明するが、にわかに信じられ
ない。


それはお金に色が付いておらず、
他の税収と合わせると、使途が追
跡できず、明確に検証できなくな
って不信感を高めた前例があるか
らだ。消費税は富める者にも貧し
い者にも等しく課税され逆累進性
が高い。貧しい者により負担が大
きくなる欠点がある。すでにこの
国では平均年収186万円の「ア
ンダークラス」と呼ばれる非正規
雇用者が928万もいる。病気、
リストラなどを克服する再チャレ
ンジ支援の手厚い施策が急がれる
。消費増税はさらなるダメージを
与えるのは必至で、愚策と言うし
かない。


政府は全国の生活保護世帯への給
付まで減らそうとしている。百億
単位のステルス戦闘機購入を止め
るだけで給付を減らさなくなると
いう野党の主張の方が説得力ある
のは間違いない。


            【2019・7・14】


映画「新聞記者」へのネット攻撃
が止まらない。テレビでは安倍晋
三首相に鋭く切り込む質問をした
TBS「NEWS23」の小川彩佳
キャスターへを中傷する投稿が集
中した。大半が匿名で、表現内容
の真偽に触れることは少ない。そ
んな「ネトウヨ」らにかばわれる
安倍晋三首相は参院選の遊説先で
野党党首の党名をわざと何回も間
違えて演説し「党の名前がよく変
わるので分からなくなる」と小賢
しい演技を繰り返し、大きな笑い
が起きているという。首相や支持
者の卑しい心根が透けて見えるよ
うだ。有権者には、投票によって
そんな「嘲笑」がはびこる世界を
変える選択が求められている。


封切り早々サーバーがダウンして
しまった映画「新聞記者」のサイ
ト運営者は「特定のIPアドレス
から、システムを使用した集中的
なアクセスを受けている」と説明
している。映画はフィクションの
形式をとっているが、実体は現政
権の悪事をあぶり出し、戦慄さえ
覚えさせる。政権支持者には選挙
前に観客が増え続けることが不都
合であることは容易に推測できる
。もしかしたら、映画で描かれた
政府の関係機関が実際に関与して
いるのかとさえ思わせる。「気に
くわない内容」として表現の自由
を妨害する重大な犯罪行為であり
、看過できない。威力業務妨害容
疑の捜査を促したい。


政治の闇を衝いたタイムリーな映
画にもかかわらず、メディアのエ
ンターメントコーナーで取り上げ
られることがあまりに少なすぎる
。口コミで観客は増え続けている
が、もっと広く知られて良い映画
だろう。特にテレビの情報番組は
紹介を避けているようにさえ思え
る。


一方、「NEWS23」の小川彩佳
キャスターへの中傷投稿は番組内
での党首討論直後から集中した。
残念ながら、番組をオンタイムで
見られなかったのだが、調べたら
小川キャスターが自民党が選挙用
に配布した「野党攻撃のフェイク
本」を突きつけ質問したことと、
57・7%の人が「生活が苦しい」
と答えた調査を紹介したことに対
する攻撃が多かった。



安倍首相はその時「いちいち見て
ない」と言いながら、フェイク本
の記載通り民進党の枝野幸男代表
を「無責任」と責めたてたという
。「語るに落ちる」とはこのこと
だ。自分が了解を与え知っていな
がら、野党党首を下卑た顔で描き
中傷した内容に批判がおきると「
読んでない」と嘘をついた。それ
ががばれてしまった。ほかにも「
75%の人が生活に満足にしている
」などと都合の良い数字ばかりを
持ち出し、時間オーバーを何度も
注意されたといい、いつもの「幼
児的凶暴性」を丸出しにした。


低視聴率にあえぐ「NEWS23」
だが、ジャーナリズム精神を貫き
、鋭く切り込んだ小川キャスター
に、改めて拍手を送りたい。テレ
ビが全体に選挙報道を回避する傾
向が顕著な中、本来の責務を自覚
た番組作りであった。業界ではテ
レビ朝日がトップの意向で政権に
迎合してしまったのか凋落が目立
つ。政権の次のターゲットはTB
Sとの業界人の推測も漏れ伝わ

る。



最も危惧されるのは民主主義の根
幹になる表現や報道の自由がフェ
イク情報によって侵害され続けて
いることだ。今春出された「世界
報道の自由度ランキング」(国境
なき記者団調査)は67位で「多様
な報道が次第にしづらくなってい
る」と指摘された。


国連も先月、日本の言論と表現の
自由について「特定秘密保護法な
どで委縮している。法改正と放送
法4条廃止を求めた勧告を日本政
府がほとんど履行していない」(
デービッド・ケイ氏特別報告)と
強い調子で政府を批判した。メデ
ィアで働く人はこの数字と言葉の
意味を強くかみしめる時だろう。



         【2019・7・9】


テレビ画像は瞬時にして発言者の
人品骨柄を映すから怖い。参院選
公示前の党首討論(日本記者クラ
ブ主催)の最後に、安倍晋三首相
は「印象操作はやめた方がいいで
すよ」と逆切れしながら、答えを
拒否した。自分にとって不都合な
ことでも真摯に応えるのが出席者
の責務であるのに、質問者に敵意
を露わにする。驕りきった卑しさ
がにじみ出ていた。そんな人物が
率いる政権が相次いで、責任を転
嫁し「忠臣」たちに詰め腹を切ら
している。専横ぶりと非情さ。ま
るで戦国時代の暗愚の殿様を見る
ようだ。



霞ケ関の官僚らが震えあがる人事
が一昨日断行された。一連の統計
不正で政権を傷つけまいと奔走し
た厚労省官房長の定塚由美子氏が
格下の人材開発統括官に更迭され
た。不正に関わった担当官への事
情聴取に立ち会って中立性が損な
われたと野党から指弾された官僚
だが、官邸と良好な関係にあると
される鈴木俊彦事務次官は留任が
許された。国会の質疑を振り返る
と、確かに定塚氏の答弁は著しく
中立性に欠け、政権擁護が露骨だ
った。しかし、それは、現政権の
「統計不正はなかった」との抗弁
に沿った言動に過ぎなかった。そ
んな「忠臣」をも切り捨てる非情
さの方が際立つ人事だった。俳人
松尾芭蕉の句にに「おもしろうて
やがて悲しき鵜舟哉」という文言
があるが、有権者に背く言動をし
て使い捨てられた官僚の末路に重
なる。


ほかにも「年金不足2000万円
」報告を提出した金融庁の三井秀
範企画市場局長が勇退させられた
。ところが上司にあたる同年の遠
藤俊英長官は続投となった。遠藤
長官は麻生太郎財務相の覚え目出
たい人物とされ、あからさまな「
えこひいき」人事と取り沙汰され
ている。国会審議も許さない「安
倍・麻生コンビ」の専横政治が収
まる気配はない。



異様な人事はまだある。安倍首相
子飼いのフリーライター、山口敬
之氏による伊藤詩織さんレイプ事
件で、裁判所が認めた山口氏の逮
捕状をもみ消した当時の警視庁刑
事部長、中村格氏はその後警察庁
ナンバー3の官房長に栄転してい
たが、次期長官人事で次長に就任
する。次長職は長官職が約束され
ている出世コースの頂点に近い。
レイプ事件もみ消した警察官僚が
全国の警察組織のトップに座ると
いうおぞましい人事がまかり通ろ
うとしている。こんな国に住んで
いると思うと、憤怒が収まらない


改めて党首討論である。読売新聞
の橋本五郎編集委員の改憲前提の
議論誘導が際立った。憲法審査会
の審議に否定的な野党攻撃が露骨
で、読売の社是に合わせた質問な
ど他のメディアが看過してはなら
なかったはずだ。日本新聞協会会
長人事が2期連続で読売出身者に
なったのも、改憲論議を促進させ
ようとする「橋本質問」の背景に
なっている。司会者も読売系の小
栗泉日本テレビ政治部長。国会の
予算員会と違って、緩い質問ばか
りで与党を利する運営ぶりが目立
った。最後の場面以外、安倍首相
に余裕が垣間見えた。安倍政権の
「メディア分断」が奏功した結末
でもある。枚挙にいとまがないほ
どの首相の「フェイク答弁」を問
いただす気構えに欠ける記者ばか
りでは、政権の罪状はふたをされ
たままだ。


       【2019・7・4】




フィクションなのに、今起きてい
る現実を照らし権力犯罪が個人の

人格を壊す怖さとそれへの怒りで

身を震えさせる。昨日から全国上映
されている映画「新聞記者」は国
家権力を私物化する安倍政権の正
体をリアルに描く。主役の女性記
者に扮したシム・ウンギョンと内
閣府に出向中の外務官僚役の松坂
桃李が国家権力の非情さに打ち負
かされそうになりながらも、果敢
に立ち向かう姿が共感を呼ぶ。参
院選前、安倍政権の正体を知るた
めにも必見の映画である。


欧米の「記者もの」と呼ばれる映
画はほとんど見てきたつもりで、
若い人に「大統領の陰謀」など数
々の名作を紹介しているが、正直
元記者だった立場から無条件で見
てほしい日本映画はなかった。そ
れが、この「新聞記者」はなお未
解明の森友・加計疑獄をベースに
し、既視感を覚える中、誰もが知
るシーンやセリフを丁寧に積み重
ね同時代性があり、ためらいなく
推薦できる。


何より現在進行形のこの国の政治
の裏側を遠慮なく描いていること
に大きな意味がある。映画では「
東都新聞」に名を変えているが、
実際は菅義偉官房長官とのバトル
で注目された東京新聞社会部の望
月衣塑子記者をモデルにしている


実は相手が正直に応対するまで何
度も同じ質問を繰り返すやり方を
、手放しで賞賛しようとは思って
いなかった。不正や腐敗をただす
なら、相手が言い逃れできない新
事実を紙面で掲載することしか局
面を変えることはできないと自ら
言い聞かせていたからだ。それで

も、彼女の不正に果敢に対峙して

いる姿勢には、ずっと拍手を送っ

ていた。



映画は望月記者や前川喜平元文科
事務次官らのニュース映像が画面
のバックに流され、進行するスト
ーリーが現実の一断面であると思
わせる。随所で「こんな映画をよ
く作ったな」と思わせる骨太さは
、この数年間の安倍政権がまき散
らす害毒の元凶である官邸中枢の
人物の暗躍ぶりを見事に照射して
いるからだろう。


松坂桃李扮する若手官僚は出向先
の内閣府の参事官から政権に敵対
する人物を中傷する情報の拡散を
命じられ苦悩する。ラスト場面で
危機の淵に立たされた松坂の演技
に、思わず「死ぬな」と心で叫ん
だ。それ以前に自殺してしまった
かつての上司が森友事件で自ら命
を絶った近畿財務局職員と重なっ
たからでもある。


政権の腐敗を覆い隠そうとする非
情な参事官を田中哲司が見事に演
じる。安倍政権の多くの罪悪はモ
ラルや矜持を失った官邸中枢の「
官邸ポリス」と呼ばれる幹部の立
ち振る舞いによってもたらされて
いる。



劇中の参事官は安倍首相の「お抱
えジャーナリスト」山口敬之氏に
よる伊藤詩織さんレイプ事件もみ
消しに関わり「官邸のアイヒマン
」とよばれる北村滋内閣情報室長
や前川次官の失副長官脚情報拡散
に関与した杉田和博官房副長官ら
とダブって見える。映画「万引き
家族」でカンヌ映画祭パルム・ド
ール賞を受賞した是枝裕和監督は
「保身を超えて持つべき矜持につ
いての映画」と評した。それは堕
落した官僚たちだけでなく、権力
を監視する気概を失ったメディア
にも向けられている。


   【2019・6・29】 


(写真は映画のパンフレットから)






事前の予想通り、党首討論はまと
もに質問に答えない安倍晋三首相
のせいで、空疎な時間ばかりが過
ぎて行った。本来開くべき予算委
員会の代わりと安易に妥協した野
党の責任は大きい。ただ一つだけ
収穫があった。それは「年金20
00万円不足」とした金融庁の報
告書を財務省が受け取らないと判
断したのが、安倍首相自身だった
のが分かったことだ。その後も安
倍官邸が不都合な文書を隠蔽して
いたことが次々判明している。来
月の選挙は不都合なことを「何で
も消し去る官邸」が総括として問
われるべきだろう。



各社の世論調査では「年金200
0万円不足報告書」を受け取らな
かった麻生太郎財務相に70%以上
が不適切と答えている。しかし、
この報告書に激怒した安倍首相が
「金融庁は大ばか者だな。こんな
ことを書いて」と叱責し、菅義偉
官房長官が財務省にその意向を伝
えた結果だったことが、朝日新聞
の特報で明らかになった。



党首討論で玉木雄一郎国民民主代
表に経過を聞かれ「自分は激怒し
ない人間」と答えただけで、「大
ばか者」発言は否定しなかった。
いつも野党議員にキレまくる首相
がよく言ったものだが、首相の「
大ばか者発言を聞いた周辺人物が
複数おり、さすがに「言ってない
」とは答えられず、発言が事実だ
ったことを逆に裏付けてしまった
。不都合なことを「なかったこと
にする」のは、この政権の「得意
技」であるのは多くの有権者が承
知しており、「やっぱり」と納得
したのではないか。


隠蔽、改ざんを常とする「安倍官
邸」の本性が今朝の毎日新聞1面
トップ記事でまた明らかになった
。毎日はずっと国家戦略特区指定
にあたって特定の人物が有利にな
るよう規制緩和のワーキンググル
ープ(WG)による非公開のヒア
リングが開催されていたことを示
す調査報道で特報、他紙も後追い
報道をしている。今朝のスクープ
は「加計学園獣医学部新設」につ
いても認可直前、原英史WG座長
代理が文科、農林各省からヒアリ
ングしていた事実を暴露した。京
都産業大が除外され内閣府の藤原
豊審議官の指示で加計学園1校に
絞られたことを示し、疑惑の核心
を衝いた。別報によれば、原座長
代理による一連の「隠蔽審査」に
内閣府から謝礼まで払われていた
ことも分かった。金額は黒塗りに
されているが、表向きにできなか
った秘密の会合にいわば「黒いカ
ネ」が動いていたことになる。


森友学園の関連でも、財務省が情
報公開請求に対し「不開示」とし
た決定に今月17日、総務省の情報
公開・個人情報保護審査会が「違
法で取り消すべき」と答申した。
政府内部から財務省、官邸ぐるみ
の隠蔽が厳しく指弾された格好だ


次々判明する新たな事実と第三者
の判断によって「モリカケ」は国
会で再審議されなければならない
。野党も一部新聞のスクープを後
追いするだけでなく、独自に政権
を追い詰める事実を究明する責任
がある。解散など恐れている場合
ではない。座したままで。汗もか
かない野党議員は不要だ。


  【2019・6・21】

(都合により、次回は29日に掲載
します)


「老後資金2000万円不足」報
告書の取り扱いで自壊し始めた安
倍政権。だが、その延命に野党が
手を貸しているように見えて歯が
ゆい。与党が4カ月近くも開催を
拒否し続けている衆院予算委員会
の審議を要求していたはずなのに
、19日に党首討論を開くだけで妥
協してしまった。自分の年金受給
も知らないと居直る麻生太郎財務
相の一連の振る舞いによって、参
院選必敗の様相を強める安倍政権
をたった1時間足らずのやり取り
だけで見逃そうとしている。これ
まで攻撃口調むき出しにして実の
ある議論をするつもりもなかった
安倍首相が年金の将来不安に真摯
に応えるはずもない。野党の戦術
ミスは明白で、きっと安倍首相や
麻生財務相はほくそ笑んでいるこ
とだろう。


思わず比べたくなるのは、香港の
「逃亡犯条例」の審議を延期させ
た有権者や若者の怒りである。人
権や表現の自由が守られる社会の
危機を感じ、103万人もの人が
立ち上がって当局の強硬姿勢を変
えさせた。これに比べ、年金不安
を感じている人の怒りを結集しよ
うとしない野党。4年前の安保法
制審議時のように、国会内外で大
がかりなデモ、集会などを展開し
ようせず、怒りの塊が作れず、政
府与党に政策変更を求めるパワー
が生まれていない。このまま参院
選に突入しても、与党の議席減は
わずかで、秋の消費増税が実施さ
れると、賃金収入のない高齢者を
さらに生活不安が高まるのは必至
だ。


国民の怒りの結集は国会の質疑を
可視化させることによって可能に
なる。その一例は、14日の衆院財
務金融委員会での麻生財務相の答
弁である。公的年金の役割を聞か
れて「モーゼじゃありませんけど
、120であろうと、老後生活を
支える柱」と開き直り、自分の年
金の受給を聞かれて「秘書に任せ
ているので知らない」など驕りを
隠せない答弁を繰り返した。



安倍首相も14日の参院決算委で、
「マクロ経済スライドで100年
安心という年金制度ができている
」と今や厚労省職員も年金財政の
破たんで使わなくなった言葉で批
判をかわそうとした。そんな姑息
な本性は国会の審議を通してこそ
浮かび上がるのである。十分な質
疑時間を確保できない党首討論は
、いつも双方の言い放しになりが
ちである。枝野代表も昨年「もう
歴史的使命を終えた」と総括して
いたではないか。なぜ妥協してし
まったのか分からない。19日の党
首討論ではいつもの「幼児的凶暴
性」を発揮しながら相手を攻撃す
るのは間違いない。討論後、野党
党首が胸をはって「政権を追及で
きた」と答えられるとはとうてい
思えない。


安倍首相は、イラン訪問などで外
交得点を挙げようとしたが、訪問
中に日本のタンカーがホルムズ海
峡で攻撃されるなど、むしろ事態
を混乱させてしまった。米国のメ
ディアが「初心者のやり方で、効
果なかった」と言われる始末だっ
た。


やることなすことすべて裏目に出
て、国益を損なっている。さらに
毎日新聞の調査報道によってこの
間、安倍首相に近い国家戦略特区
ワーキンググループの原英史座長
代理が隠れて規制緩和のためのヒ
アリングを開催していたことが発
覚、また権力を私物化していた実
態がまた明るみになった。もし国
会の予算員会が開かれていれば、
「モリカケ」以上に問題化してい
たはずだ。参院選までもう残り少
なくなったが、メディアや野党は
歴代でも類を見ないほどのこの政
権の腐敗を追及、その実態を明ら
かにする義務がある。


    【2019・6・16】

 


まさにメガトン級の破壊力である
。自らの延命のため衆参同日選挙
を渇望していた安倍晋三首相が一
夜にしてあきらめざるを得なくな
てしまった。国会の最大争点に浮
上した金融庁の「老後は2000
万円必要」とした報告書は多くの
有権者に猛烈な怒りを呼び起こし
た。久しぶりに国会の質疑に応じ
た安倍首相は相変わらず終始、詭
弁とごまかしに満ちた答弁を繰り
返していた。テレビ画像は正直に
その人間性を映しだす。弱い立場
の人たちに目を向けない政治は、
たとえ参院選単独になっても厳し
い審判を免れられないのではない
か。


首相が久しぶりに答弁に立つ国会
の与野党攻防を見ると、改めて議
会制民主主義の大切さが分かる。
そしてそんな当たり前の光景さえ
見られなくなったこの国の異様さ
を改めて思う。皮肉にもそんな事
態を招いたのは、政権を内から支
える内部で官僚たちだった。年金
生活の65歳夫婦が30年間生活する
には毎月5万円が不足、2000
万円足りないとした金融庁報告書
は、ある意味、正直に高齢者の家
計の現状を前提にしていた。本来
は貯蓄や投資を促すためリスクを
喚起するのが目的の報告書だった
が、なぜこれだけ各層からの反発
を招いたのか。それは老後不安を
解消し、先細りする年金制度をど
う改めて、弱い立場の受給者をど
う救済するかという政策が皆無だ
ったからだ。それどころか「足り
ないところは自助で」と突き放し
てしまった。安倍首相や麻生太郎
財務相がいくら「不正確な表現だ
った」と釈明しても、説得性はゼ
ロである。



自分に都合が悪くなると、聞かれ
ていないことを持ち出し、語気を
強めて反撃するのが性癖の安倍首
相は今回もその性分を見せつけた
。蓮舫立憲民主副代表に「100
年安心は嘘だったことを認めたら
どうか」と追及されると、「平均
余命に応じて年金支給を調整する
「マクロ経済スライド」の仕組み
を持ち出し、制度維持が担保され
ていると応じた。


そして「4年ぶりに、0・1%増
のプラス改定ができた」と首相は
誇らしげに反論したが、その数字
は物価の伸び率にまったく追いつ
いかず実質賃金がダウンしている
ことを反映してない数字だったこ
とが暴露されてしまった。「5万
円不足」は誤解で「より豊かな生
活を営むための数字」と弁明した
が、では「より豊かな生活が何か
」内訳が説明できず、逆に普通の
家計維持に足りない数字であるこ
とを浮き彫りにしてしまった。


さらに、年金給付水準の長期的見
通しを示す5年に一度の「財政検
証」が公表されていないこともた
だされたが、「作業中」と公表時
期も明らかにしなかった。野党ヒ
アリングでは「データはそろって
いる」という厚労官僚の釈明も暴
露されてしまった。森友・加計疑
獄、統計不正に続き、不都合な文
書は出さないという政権の隠蔽体
質がここでも明らかになった。参
院選後に先送りにして負担増を強
いる姑息さが見え隠れする。



折しも、内閣支持率が依然40~50
%台を維持しているというNHK
なぞの世論調査が報じられた。衆
参同日選に突入すると、年金問題
が最大争点になるのは必至だ。参
議院で少し議席が減っても、衆議
院の数を大きく減らすよりましで
、このままほぼ現状維持のまま消
費増税に突き進むのが得策と判断
したと見られる。



しかし、一人一人の有権者の生活
と将来不安をそんな利己的な思惑
から軽く見てはならない。かつて
第一次安倍内閣は「消えた年金問
題」の対応を誤り、政権が瓦解し
た。今回その再来も予想できない
ことはない。それは、安倍首相、
麻生財務相らが野党議員の質問に
真剣に向き合わず、相変わらず驕
りきった表情を見せつけているか
らだ。そこが野党の最大攻めどこ
ろである。追及する姿勢にどれだ
け本気度があり、共感を得られる
か、正念場である。


    【2019・6・11】