情報公開制度壊す野田総務相 | 平野幸夫のブログ

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ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。


また政権の権力私物化が発覚した
。こともあろうに、情報公開法を
所管する野田聖子総務相が金融庁
に圧力をかけた自らの疑惑に絡ん
で、朝日新聞が情報公開請求をし
ていたことを他の複数メディアに
漏らしていたのである。あからさ
まな取材妨害で、野田総務相が親
しい芸能人の関係する仮想通貨事
業に口利きした疑いも浮上した。
一連の安倍晋三首相による権力私
物化の毒が政権全体に及んでいる
ことを見せつけ、改めてこの政権
の専横ぶりに慄然とさせられる。


「民は知らしむべからず、よらし
むべし」


為政者は人民を施政に従えさせた
らよいのであり、その道理を理解
させる必要はないとした論語の言
葉である。明治以来、政府や官僚
が都合よく政治や法律を遂行する
ため好んで使われた。道を誤った
戦前の専制政治を否定する時によ
く使われる。2001年には欧米
からはるか遅れて施行された情報
公開法は市民が公権力の独断と暴
走を止める手段として期待された
。この論語の言葉も本来は死語に
なっていなければならないのに、
現政権はそれを復活させようよし
か思えない策謀があちこちから漏
れてくる。野田総務相の言動もそ
の一つではないか。


特定人物に依頼され、金融庁に口
利きなどあってはならないはずだ
。野田事務所が金融庁と打ち合わ
せして、具体的な説明を求めてい
れば、野田総務相の職務権限にか
らむあっせん利得罪が疑われる。
公開請求のあった文書を黒く塗り
つぶし「のり弁」にする小賢しさ
以上に倫理の欠片も感じさせない
無自覚さが際立つ。総裁選出馬な
ど吹き飛んだはずだ。この政権で
は既に下村博文元文科相、甘利明
元経財相らが辞任を強いられてお
り、とどまる所をしらない不祥事
の続出である。


野田総務相が懇談会で、情報開示
決定が出る前に朝日の情報公開請
求をもらした他の複数メディアは
漫然ときいていたのか。まともな
記者なら朝日への取材妨害にあた
ると、その場で野田総務相をたし
なめ、その意図をただすべきだっ
た。そして朝日の潜行取材を知っ
たなら、自らも後追い取材に動く
のが本来の記者活動だ。もし、聞
き捨てにしていたのなら、もう記
者ではなく、単なる取り巻きにす
ぎない。かつて芥川賞作家の辺見
庸氏は利権のまわりに群がり、お
こぼれにあずかろうとする記者を
「糞蝿記者」と口汚く罵った。も
し永田町にうろついているだけな
ら、そのネーミングこそ最もふさ
わしい。


金融庁の仮想通貨監督にからむ今
回の不祥事から森友・加計疑獄に
似た怪しい利権と権力私物化がほ
の見えてくる。野田総務相の秘書
が今回金融庁に説明を求めた仮想
通貨事業会社はタレントの「GA
KUT」が広告塔になり、野田総
務相自身も「GAKUT」と親し
いという。親類がこのコインで大
損したという情報もネット上に流
れており、早急な全容解明が求め
られる。


「森友・加計スクープ」を特報し
た朝日はジャーナリズム関連の賞
を数々受賞したように高く評価し
たいが、安倍政権は何事もなかっ
たように存続している。22日付け
の社説「安倍一強政治の果て」の
中で「説明せぬ政権の不実」と指
弾しているが、政権は何の痛痒も
感じないのではないだろうか。元
々誰もが納得する説明などできず
、説明する気などないのである。
「ファクト」を積み重ねて迫るし
かない。さらなる深掘りを期待し
たい。


他のメディアも含めてその前提で
政権に対峙しなければならない。
安倍首相と政権の暴走と腐敗を許
しているのは、有権者であり、野
党であり、メディア自身なのだ。
記者一人一人がその自覚を持てな
いなら、権力を監視する責務を付
託されたジャーナリズムを語る資
格などない。


   【2018・7・22】