「積極的平和主義」という言葉のまやかしが、パリ・
シャンゼリゼ通りをかっ歩いているようで、複雑な気
持ちが入り混じった。専制君主から市民が自由を勝
ち取ったフランス革命(1789年)を祝う14日のパリ
祭で、戦後初めて自衛隊員が日の丸を掲げて軍事
パレードに参加した。メディアではあまり大きく取り
上げられなかったが、憲法が禁じている集団的使行
使に向け暴走する政府が、国際社会に向け「海外派
兵する国になった」と宣言したような象徴的なシーン
と受け止めた。
この2日間国会論議をじっくり、聞いた。安倍首相は
戦闘行為を目的とした海外での武力行使を否定しな
がら、中東ペルシャ湾での機雷封は武力行使にあた
るのに、経済に与える打撃によっては、集団的自衛
権を行使する可能性に言及したことが際立って印象
的だった。
まさに衣の下から鎧が見えた。今後、自衛の名の
下なら、地球の裏側でも行って武力行使するという
疑念が高まる。フランス革命の13年前のアメリカの
独立革命後に独立宣言を起草したジェファーソン(
第三代大統領)の言葉を今だからこそかみしめたい
。
「自由な政治は猜疑にもとづいて建設される。われ
われが権力を託さなければならない人々を、制約的
な憲法によって拘束するのは信頼、猜疑に由来する
。(略)それゆえ、憲法の鎖によって、非行をおこなわ
ないように拘束する必要がある」
権力の濫用を防ぐための立憲主義の重要さを教え
て、意義深い。政府は憲法という自らを縛る鎖を強引
に外そうとしている最後の局面に見える。13日の滋賀
県知事選挙は、まさに県民がもう一度ふり払われ落ち
た鎖を拾い、縛り直そうという意思ではなったか。国政
選挙は16年の参議院選挙までないが、できることは、
自治体選挙でも、住民が一つ一「戦争をしない国」を守
る意思を政権に突き続けることだろう。
【2014・7・15】