昨日所属委員会の委員として審議させて頂き、【反対】の立場を取りました。
審議内容の詳細と所見は改めて別の機会に報告させて頂きます。
会派を代表して、討論(=最後のまとめの意見)をしましたので、その全文をここに記す事で、まずは私の所見のご報告とさせて頂きます。
【討論全文】
『長崎市の旧公会堂の解体中止と再使用に関する住民投票条例請求』
について、会派を代表し反対の立場から何点か意見申し上げます。
まず、請求人が主張されておられる『旧公会堂の都市遺産的・文化機能的価値』
についてでありますが、
『都市遺産的又は歴史的価値』において、世界からの寄付金により建設され原爆復興のシンボルでもあるとの主張をなされております。
旧公会堂は「長崎国際文化センター建設計画」の一環の中で、
水族館・図書館・プール・体育館・美術博物館とともに、総事業費約9億1600万円中、約2億5500万円で建設された建物です。
この総事業費約9億1600万円の中、約250万円が世界の方々からの寄付であり、
よって、公会堂建設費約2億5500万円の中には約8.7万円の寄附が入っている計算になります。
この好意については大変有り難く感謝申し上げるところではありますが、
あたかも世界からの浄財によって建てられたかの如く主張されておられる事に対しては、金額的に違和感を禁じ得ません。
『文化機能的価値』においても、長崎の文化団体の代表者が集われて検討された
【公会堂等文化施設あり方検討委員会】においても、
「不足する機能を確保する為に、老朽化した公会堂に代わる新しい文化施設を建設する必要がある。」
との提言がなされている通り、文化機能的価値については、
残念ながら現在ないものと判断しているところです。
そして要求である恒久的な使用においては、仮に残し続けていくとしても、
その維持には、多額のお金がかかる事は明らかであり、
『新築するより改修した方が安価な費用で済むのは明白であります。』
との主張は、市民の皆様に対し誤った情報提供であり、そのような情報提供の中、
住民投票を実施するわけにはいきません。
また今回の公会堂解体は、『市庁舎建設』、『県庁舎跡地活用』、『市庁舎跡地活用』と、
長崎の今後の街づくりの根幹を構築していく流れの中での計画であり、
単純に公会堂のみの存続を持ってして議論できる話ではありません。
住民投票は1つの事に対して、シンプルに賛成か反対かを問うべきものであり、
またその情報提供においてもシンプルかつわかりやすい情報が必要であり、
あらゆる角度からの検証、そして方向性を考える必要がある事に対して、
ある角度からの意見を持ってして、住民投票にかけて図るというのはなじまない事と考えます。
市長をはじめ市当局に対しては、『公会堂の建て替え・新築』問題は、公会堂の存続のみで議論できる類のものではなく、市役所建て替え、県庁跡地活用、市役所跡地活用など、今後の長崎のまち作りの根幹をなすインフラの配置とその中身・質をどうしていくのか?
そのビジョンを示していく話であるにもかかわらず、いずれも案は示しているものの、決定事項は何1つなく、公会堂廃止決定後そのまま二年も放置したまま、明確に示せない状況が、このように何度も市民を巻き込みながらの住民投票請求が上がってくる事態を招いている大きな原因であります。
その事を真摯に受け止め、より明確に、強く、将来のビジョンを示して頂く事を求めます。
最後に、住民の請求を住民の代表である議員が反対するという判断に対し、
批判を受ける事は承知しています。
すんなり認める方がいかに楽で簡単な事か。
しかしそれは、与えられた役割の中で無責任な事であるとも思います。
財政にゆとりがない長崎市において、1億円もの費用を掛けて住民投票を実施しなくとも、40人の議員が各々において、『多くの市民の声に耳を傾け、声を拾う。』事で、
住民の意思を確認できる事であると共に、その努力、その使命を果たす事こそ私達議員の役割であると思います。
その役割を果たす事をお誓い申し上げて、『住民投票条例の制定に反対』の討論とさせて頂きます。