III 傾向
4県を比較しながら、求められた県がどの選択肢にあたるかを調べる問題です。資料が2つもあるので難しく見えますが、順番に解いていけば必ず解答にたどり着くことができます。ある意味ではサービス問題といえるので、勘で解かないようにしましょう。
なお、この形式の問題は近年の東京都立高校入試の社会の問題のお決まりの形となりつつあります(最新の平成27年度入試でも、大問3〔問2〕で同形式で出題されました)。
IV 対策
それでは、この問題はどのように扱えばよいでしょうか。
この形式の場合には、必ず資料II(文章が書かれているもの)に注目してください。ヒントはこちらに書かれているからです。
今回の問題を見てみましょう。まず、一つ目の○から。「2005年における1事業所あたりの従業者数は全国平均の18.2人を下回り、規模の小さい工場においても、高度な技術を用いてさまざまな製品が生産されている」とありますね。「1事業所当たり」というのが癖ものです。一般的に、小学校の算数などで単位量当たりの計算をするときは割り算を使うと学習してきました。今回の場合は下の通りですね。
(1事業所当たりの従業者数)=(従業者数)÷(事業所数)
1事業所当たりの従業員数を調べるのではなく、事業所全体の従業員数の合計を求めるという発想の転換です。掛け算を使えばOKです。
(事業所全体の従業者数の合計)=(事業所数)×(従業者数)
というわけで、とりあえず事業所数に全国平均(18.2人)を掛けてみます。
ア: 44709×18.2 = 813703.8
イ: 6837×18.2 = 124433.4
ウ: 21195×18.2 = 385749
エ: 43556×18.2 = 792719.2
となります。
ここで、実際の人数と比較すると…
ア:
430466 (上の結果より少ない)
イ:
155026 (上の結果より多い)
ウ:
457922 (上の結果より多い)
エ:
563625 (上の結果より少ない)
問題文に戻れば、「全国平均の18.2人を下回り」とあるので、上の結果より少なければよいのですね。というわけで、アとエに限定できました。ちなみに、アもエも、従業者数が事業所数の10倍そこそこなので、わざわざ計算するほどではなかったんですけれどね。
それでは、2個目の○です。アとエだけで比較すればよいですね。「文化や情報の発信にかかわる製造品の出荷額の割合が高い」とあるので、「印刷・同関連業の出荷額等」が高いほうを選べばよいですね。どちらが高いですか? はい、アですね。