米大統領選挙は、大方の予想を覆し激戦を制したドナルド・トランプ氏が勝利を収めました。これまではトランプ氏の過激な発言ばかりがクローズアップされてきましたが、実業家としては苦難を乗り越えて成功した稀有な人物です。政治経験はないものの、組織を率いてリーダーシップを発揮できるタイプであることは間違いありません。周辺スタッフを充実させれば、柔軟な対応や現実的な決断によって職務を全うされるのではないかと期待します。

先日、来日され、自民党のIT戦略特命委員会でサイバーセキュリティーの講演をしていただいた、トランプ氏の側近といわれるマイケル・フリン氏(元国防情報局長)もそのような期待感を持っておられました。日米間の信頼を強固なものにするためには、私もあらゆるチャンネル、コミュニケーション手段を活用するつもりです。いずれにせよ、トランプ新大統領に祝意を表するとともに、今後の手腕に期待したいと思います。

確かに、今国会の最大のテーマでもあるTPPについては、トランプ氏の勝利により先行きが不透明になったことは事実でしょう。しかし、資源に恵まれず人口減少局面を迎える我が国にとって、アジア太平洋において、自由で公正で開かれた市場を創出することは経済を発展させるための生命線です。また、基本的価値観を共有する国々との経済関係を強化することは地域の安定、安全保障の観点からも重要です。むしろ、日本の確固たるスタンスを示すためにも、国会承認の重要度は高まったといえるのではないでしょうか。

グローバル化やデジタル化の波は不可逆で加速し続けています。日本の農業のみならず、産業全体が様々な変化を余儀なくされているのが現状です。今はその変化をむしろチャンスと捉えて、前向きに取り組むという姿勢が重要な局面です。その先駆けとして、私が提出を予定している「官民データ活用推進基本法」は何としても今国会で成立させなければなりません。また、予算や税制に関する議論も活発化していくので、一層の緊張感を持って終盤国会に臨みたいと思います。

11月に入り、朝夕はめっきりと冷え込む日もあり、体調管理が難しい季節となりましたが、皆さんも風邪などひかないようご自愛ください。また、国政報告会で皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。