今日の日曜はベルギーの9月初旬としては、久々に晴天でかなり暖かめの最高気温24℃。近所の公園で開催の大人気のグルメイベント eat! BRUSSELS, drink! BORDEAUX (ブリュッセル市内の洗練されたレストランのシェフが腕を振るった料理を、ボルドーワインと共に味わう、というイベント)をゆっくり楽しみました。このイベントには、多くの在住日本人の方々の姿をお見掛けしたので、その様子はグルメな皆さまがご報告されることと思います。

 

ですので、僕は予想以上のご好評をいただいているアートイベント、トリエンナーレ ブルージュ 2018 のレポート第5弾として引き続きお届けしようと思います。 今日は建築から離れアート作品を。

NY在住の彫刻家 ジョン・パワーズ John Powers Lanchals という作品。高さ15メートルの鉄の塔です。

 

 

作品のタイトル Lanchals ランカルス というのは、時は15世紀、ブルゴーニュ公国の内フランダース領がオーストリア・ハプスブルク家に継承される頃、ブルージュの役人であった ピーター・ランカルス Pieter Lanchals という人物の名前に因んでいます。

 

市民に圧倒的な人気のあったブルゴーニュ公女マリーがハプスブルク家のマクシミリアン皇帝と結婚。しかし、その後マリーが落馬による事故でこの世を去ってしまい、ここで、マクシミリアンがフランダース領を継承することに。

しかし、よそ者マクシミリアンはブルージュ市民には人気がなく、更にはハプスブルク家の戦争のために、フランダース各都市に重税を課していきます。この措置に市民は次第に不満を募らせ、遂には蜂起し皇帝を捕らえ、マルクト広場に面したクラーネンブルクの館に幽閉してしまいます。更には皇帝の側近達も捕らえてしまい、その中に忠実な臣下であった徴税官ピーター・ランカルスも含まれていましたのでした。

 

怒りに駆られた市民たちは、それらの側近らを斬首の刑に処してしまいます。そして、皇帝マクシミリアンにその惨い処刑の様子を幽閉先の館から見せることにしたのでした。

 

のちに、権力の座を取り戻したマクシミリアンは、ブルージュなどの諸都市からさまざまな特権を取り上げ、巨額の賠償金を支払わせることになります。

 

それと共に、ブルージュ市民に対する罰として、彼らが冒した罪を永遠に忘れさせないようにと、臣下ランカルトの家紋であった白鳥を湖にたくさん(52頭)放ったというのです。こうして、今でもブルージュの街には白鳥が泳いでいるのだ、という伝説が生まれました。

 

だいぶ、前置きが長くなりましたが、このブルージュの歴史上の伝説から着想した彫刻家ジョン・パワーズ、Sカーブを描くエレガントな白鳥の「長首」をイメージして制作したのでした。

 

そして、作者が街を歩き回り、ブルージュが「塔の街」であることも感じ、それで15メートルもの高さのオブシェを制作するに至ったということです。
 
実際、このオブジェの背後にも教会の塔がそびえています。
 
 
ブルージュの街を象徴する白鳥と塔、その二つを融合させ、新しい抽象的なモニュメントが出現。
 
 
サビ加工を施すことで、レンガ色の街並みにもうまく溶け込んでいます。
 
 
この街の語り部のような存在となったランカルスのオブジェ、トリエンナーレ終了後もその伝説を語り継ぐ役目を担ったように、是非とも残してもらいたいな、と思うのですが、どうでしょうかね?
 

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