幕末高校生 DVD通常版/玉木宏,石原さとみ,柄本時生
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高校で日本史を教える未香子と教え子の雅也、恵理、慎太郎は、幕末の江戸にタイムスリップしてしまいます。1868年、江戸では新政府軍の幕府軍の戦いが始まろうとしていました。けれど、日本人同士の無益な戦いを避けたい勝海舟は、西郷隆盛に和平交渉に向けての文書を送っていました。そんな中、2014年からタイムスリップしてきた高校で日本史を教える未香子と教え子の雅也は、不審な装い、言動から江戸城に捕えられ、ひょんなことから勝海舟の元に引き取られます。江戸の街を覆う不穏な空気にも「和平交渉が行われるから、江戸で戦は起こらない」と言い切る未香子でしたが、既に、歴史は未香子たちが知るものとは違う方向に動き出していました。このまま歴史が変われば、未香子たちの未来はなくなってしまうかもしれません。一緒にタイムスリップしてきているはずの恵理と慎太郎を探しながら、自分たちの未来を護ろうとする未香子と雅也でしたが...。

幕末といえば、日本の歴史の中でも大きな転換期となった時期で、実にドラマチックな時代。小説、TVドラマ、教養番組、映画...、様々な形で描かれてきてもいます。様々な角度から切り取って面白いストーリーを組み立てられる時代ですし、日本の歴史の中でも戦国時代と並び、一番、面白い物語を描ける時代と言えるでしょう。

それなのに、どうして、こうなってしまったのか...。かなりしっかりした出演陣が揃えられ、それぞれ、きちんと演技しているのに、何だかあまりに残念な感じになってしまっていました。

現代の4人の幕末への馴染み方もあまりに安易というか何というか...。もっと違和感を感じながらあれやこれやを乗り越ていく部分があったほうが良かったし、受け入れる側も何だか妙にあっさりしすぎていて引っかかりました。

歴史が変わってしまうことへの危機感とか、元の時代に戻れるかどうかの不安とか、その辺りも、いまひとつきちんと描けていなかった感じがします。

タイムスリップした4人が持ち込んだ現代の物も、物語の中できちんと活かしきれていなかったし...。特に車の扱いはアッサリし過ぎだし...。"幕末高校生"のはずが、"幕末女教師と勝海舟"だし...。

勝海舟の人物造形が新しかったと言えば言えるのですが、それにしてもです。前半のダメ人間な勝海舟が、何故、陸軍総裁になれたのか...。それなりに能力が評価されているとか、何かと策士だとか、そういった部分がないとそこまでは出世できなかったのではないかと...。後半はしゃっきりしていたし、クライマックスの大立ち回りは一応は見せ場になっていたと思うのですが...。まぁ、あの殺陣も、キラキラさせ過ぎではありましたが...。それにあの時代背景であそこまでやったら、江戸城無血開城がどうこうと言っていられなくなるレベルの大きな戦いになってしまったのではないかと...。

徳川慶喜の言動にも違和感が残ります。もう大政奉還した後なのですから、既に、日本を徳川家が支配する時代は終わっているわけで...。今さら、徳川家が支配者であり続けることに拘るといのは不自然な気がします。徳川家が政権を握ることを重視するなら、"政権を護る"ためではなく、"政権を取り戻す"ための戦いになるワケで...。

伏線もいろいろ張られていた割にはきちんと回収されていないし、ドラマとして薄っぺらいし、チープな感じが漂うし...。だからと言って、コメディにも、ナンセンスなハチャメチャにもなり切れていないし...。

もっとずっと面白くできるはずの内容なのに、残念です。というより、この素材で、この出演陣で、ここまでツマラナク仕上げていることが奇跡...かもしれません。

とはいえ、この内容で、これだけきちんと演技している出演陣には、"プロ"を感じました。流石です。


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