東京プレイボーイクラブ [DVD]/大森南朋,光石研,臼田あさ美
¥4,935
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舞台は東京。勝利は、地元での喧嘩が原因で、故郷を出て、東京の場末の繁華街に流れ着きます。行くあてのない彼は、昔の仲間、成吉が経営する寂れたサロン、"東京プレイボーイクラブ"に身を寄せます。一方、店のボーイ、貴弘は、同棲中のエリ子と倦怠期。浮気相手に妊娠中だと告げられ、出産費用にと店の金を持ち出してしまいます。ある日、成吉と飲みに行った勝利は、地元のチンピラと喧嘩をしてしまいますが...。


結局は、勝利が東京に来さえしなければ、みんな、それなりに平和に生活していけたのに...ってことでしょうか...。この勝利が、とんでもなくキレやすいのです。でも、ねぇ、そんなに若くはない様子の勝利です。これだけ血気盛んだったら、もうとっくに大きな事件を起こして刑務所なのではないかと...。彼が、何で、この年まで無事にシャバで過ごせたのか、よく分かりませんでした。懲りないタイプのようですし、何かやらかして捕まって刑期を終えて出所してもすぐ捕まって...という人生を歩むタイプですよね...。今回の地元での事件でも、それで捕まらないのもよく分かりませんでしたし...。捕まってしまったら、作品として成り立たないというのは分かりますが...。


三人兄弟のヤクザさんも、何だか家内工業的で今一つ迫力がありません。成吉の怖がり方に納得できないというか...。クライマックスでの銃の扱い方なんかを見ていると、怖がるほどでもないチンピラですよね...。成吉が性格的に弱い...ってことなのでしょうか...。でも、それなら、こんなところでこうした店を経営なんて難しいでしょうし...。


勝利を演じる大森南朋のキレっぷりは良かったですし、成吉役の光石研の頼りな気で人の良い感じを出しながら右往左往する辺りも味がありました。でも、作品全体の中でのそれぞれの存在感が、どこか中途半端でなんだかしっくりきませんでした。


何だか正体不明の"東京プレイボーイクラブ"の店の雰囲気は場末感に満ちていて良い味が出ていたのですが...。


ところどころ、センスの良さは光っていたのです。「ヤマトナデシコ七変化」とか「テントウムシのサンバ」とか、音楽の使われ方は面白かったですし...。


ちょっとバイオレンスで、ちょっとノワールで、ちょっとコミカルで、ちょっとアンダーグラウンドで、ちょっと切なくて、いろいろな要素を詰め込み、多方面に中途半端になってしまった感じが残念です。