実在の服役囚の半生を描いたノンフィクションに基づく映画作品。


少年の頃、実の両親と信じていた父母の養子だったことを知って以来、「立派な人間」になるべく必死になりってきたスティーブン。家庭を持ち、よき夫、よき父となっていましたが、事故で死にかけた時、「正直に生きる」ことを決意。自分がゲイであることをカミングアウトします。恋人との生活を充実させるため、詐欺で大金を稼ぎ逮捕されたスティーブンでしたが、獄中でフィリップと恋に落ちます。釈放後、一緒に暮すようになりますが、フィリップとの新生活のため、またも、詐欺行為を重ね...。


これが、実話というのだからスゴイ。まぁ、多少はというか、相当部分、脚色されて...いないのでしょうか。実話そのものとは信じられないようなハナシです。まぁ、少数の人間が頭をひねって生み出すフィクションなど、人為の及ばないところに生まれるリアルに比べれば、タカが知れているということなのでしょう。


それにしても、スティーブンはやり過ぎ。「あの時点で止めておけば、その後も長く2人の生活を楽しめたかもしれない」と思われるポイントはあったわけです。もっとも、それは、第三者が後から振り返るから言えることで、渦中にあっては難しいことなのでしょう。何にしても、始めることより終わらせることが難しいものなのでしょう。


"本当の自分"をカミングアウトしたとたん、"嘘で塗り固めた行為"に手を染めたスティーブン。本物の自分を守るためだったはずの行為が嘘で支えられる皮肉。何が嘘で、何が真実か。これほどまでに極端ではなくても、多かれ少なかれ、人の日常には嘘と本当が入り混じるものではありますが...。


虚実が入り混じるスティーブンの人生。フィリップが指摘したとおり、何が本当の自分なのか、スティーブン自身にすら分からなくなっていたのでしょう。そして、嘘ばかりの自分の人生の中に見出した、ただひとつの真実。切ないような可笑しいような...。


ところどころ、笑いが散りばめられ、見事に一途な人生と切ない想いに彩られた作品にアクセントを効かせています。


比較的、コンパクトにまとめられていて、展開にスピード感もあり、最初から最後まで作品の世界を楽しめました。一見の価値ありです。



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フィリップ、きみを愛してる!@ぴあ映画生活