そして、ひと粒のひかり

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コロンビアの田舎町に住むマリアは、17歳にして、家族の経済を担う貴重な働き手。しかし、家族との衝突が絶えず、恋人との関係にも満足できず、職場でも上司と上手くいかず、不満を抱えた生活をしています。ある日、愛情を持てずにいる彼氏との子を妊娠していることに気付きます。上司との衝突から仕事を辞めたマリアは、出稼ぎをしようと街へ向かいますが、その道中で知り合ったフランクリンに麻薬の運び屋の仕事を勧められます。


麻薬を運ぶ方法は、ゴムの袋にヘロインをつめたものを大量に飲み込んで体内に入れて運ぶというもの。万が一、袋が体内で破れてヘロインが漏れたら死んでしまうという大きなリスクを背負う方法です。マリアは、一旦は躊躇するものの、結局、報酬の大きさのために、この仕事を引き受けることになります。


コロンビアでのマリアの生活は、子どもが高熱を出しても医者に診せる費用に苦労していますが、しかし、決して、日々の食べ物にも困るほどの貧困に見舞われているわけではありません。けれど、産業はあまりなく、仕事探しには苦労があり、なかなか明るい将来を見出せない環境ではあり、そこから這い上がるために危険な仕事に手を出す人々が絶えないというのは、現実におきていることなわけです。


この作品の中でも、コロンビアからアメリカに移住して出産しようとしている女性が「コロンビアでは子どもを生み育てることができない」というセリフを口にします。アメリカとメキシコとの国境を越え、アメリカで出産し、子どもにアメリカの市民権を与えようとする妊婦が多いと聞いたことがありますが、これも、南米の国々の現実なのでしょう。


大きなリスクを背負い、危険な目にあいながら、成長していくマリアの姿がすがすがしく描かれています。ラスト、しっかりと強い意志を持った表情が凛々しく、印象的でした。様々な不満の中に日々を送っていた少女が、苦難を超え、自分自身の人生を切り開く力を持った瞬間が見事に表現されていたような気がします。


原題は「MARIA FULL OF GRACE」。それが、何故、「そして、ひと粒のひかり」なのかは、よくわかりませんが、最後のマリアの表情は、まさに「FULL OF GRACE」という表現がぴったりだったと思います。


人は、自らの力で生まれ育った環境を超えて生きていくことができる、そんな力強いメッセージが伝わってきました。




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そして、ひと粒のひかり@映画生活