真珠の首飾り

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パリで高価な真珠の首飾りを盗み出したマデリン。スペインの国境の検問所で所持品検査を受ける際、首飾りを見つけられることを恐れた彼女は、偶然、出会った旅行中のアメリカ人青年、トムのポケットに首飾りを隠し...。

 

首飾りを盗み出す手口が、なかなか面白かったです。精神科医の妻、宝石商の妻の2役を演じつつ、クールな表情で2人の男を手玉に取る様子がコントのようなちょっとコミカルな感じに描かれていて楽しかったです。騙された宝石商と精神科医との遣り取りも面白かったですし、この冒頭部分を物語のきっかけとしてのみ存在すると思わせておいて、最後に結び付ける辺りも良かったと思います。

 

そして、豪華な衣装と見事な宝石を身に纏うマレーネ・ディートリッヒは、やはり、見応えあります。

 

ラストにかけて、クールな悪女が、恋する乙女に変身するのですが、乙女よりも悪女なディートリッヒが魅力的でした。"美しさこそが正義"、そして、自分の美しさをよく自覚し、それを最大限に活かして男たちを騙すマデリンは、実に生き生きしていました。

 

そんな彼女だからこそ、真っ直ぐな正義漢で純粋なトムにほだされてしまうというのも分かるような気もしますが、でも、それで、本当にマデリンは幸せなのか、トムにとってもそれでよかったのか、心配にはなってしまいます。

 

美男美女の甘くハッピーエンドなラブロマンスに、宝石泥棒の危険な香りを加えたファンタジーといったところでしょうか。

 

犯罪を扱いながら、深刻な被害者が出ない形で纏められ、シリアスになり過ぎず、深刻にならず、程よい軽さを感じながら観られる心地よい作品だと思います。

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マリアンヌ

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1942年、諜報員のマックス(ブラッド・ピット)とフランス軍レジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)は、ドイツ大使暗殺の任務のためカサブランカで出会います。2人は、夫婦を装い暗殺の機会をうかがっていました。次第に惹かれあうようになり、その後、ロンドンで再会し結婚。娘も生まれ、幸せな日々を送っていましたが...。

 

スパイの物語とラブロマンス。よくある組み合わせではあります。協力し合って何かを成し遂げるという体験は、人と人を結び付けるもの。それが、スパイのように命がけの仕事となれば、より深いところで結ばれる可能性が高くなるのでしょう。本来、優秀なスパイであれば、こんなことで気持ちを動かしてはいけないのでしょうけれど、それでは、物語が始まりませんので、仕方のないところでしょう。無理矢理感がないわけではありせんが、結婚に至るまでの過程も、無難にまとめられていると思います。

 

カサブランカを舞台にしていることもあり、「カサブランカ」を連想させられるシーンも多く織り込まれています。

 

実際問題、こんな美男美女がスパイになっても、目立ってしまって仕事にならないでしょうし、そういう意味では、リアリティがないワケですが、細部までしっかりと作り込まれた映像が当時の雰囲気を感じさせてくれますし、巧みなストーリー運びに気持ちが惹き付けられますし、美男美女の悲恋の物語には心が揺さぶられるものがあります。それが、ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールの美貌だけでない確かな演技力に支えらえているのですから、鉄壁でしょう。

 

際立った傑作とまでは言えないと思いますが、大きな瑕疵のない心を動かされる作品となっていると思います。

 

観てよかったです。お勧め。

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ギフト 僕がきみに残せるもの

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難病、ALSであることを宣告された元アメリカンフットボールのスター選手、スティーヴ・グリーソンを描いたドキュメンタリー作品です。

 

アメリカンフットボールのスター選手だったスティーヴ・グリーソンは、引退後しばらくしたある日、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されます。同時期に、妻、ミシェルの妊娠も判明します。生まれてくる子を抱きしめることができるかどうかわからない中、スティーヴは子どもに残すビデオダイアリーを撮り始め...。

 

単なる難病ものの感動物語ではありません。病気に負けまいとする意志の強さと前向きに立ち向かう心意気を追いつつ、背負った運命の重さに苦悩する姿、家族や周囲への想い、進行する病状への苛立ち、行く先への不安...。ポジティブな面もネガティブな部分も丁寧に描き、ALSという病気との闘いとともに、"病者"である以外の面を映し出しています。

 

最後まで病気と闘うというのも、相当の経済力があったからこそできて選択だということも確かです。自分のそんな立場を意識していたからこそ、ALSの患者のための活動に力を尽くしてきたのでしょう。

 

それにしても、ミシェルが素晴らしいです。ミシェルとの結婚は、スティーヴの人生最良の選択だったと言うべきかもしれません。スティーヴの介護と子育てに追われるミシェルが「悪魔にはなりたくないが、成人にもなりたくない。」と語るシーンが印象的でした。

 

いつ自分が重い病気になるかも、病気や障害を持った家族を介護する側になるかも分かりません。どちらの立場についても、バランスよく視線が配られていて、その点も良かったと思います。
 

病気であっても健康であっても、生まれてきた以上、人はいつか必ず死ぬものです。問題は生きる時間ではなく、健康かどうかでもなく、その短いか長いか分からない時間をどう生きるかなのだと改めて感じさせられました。

 

基金の宣伝的な面がやや目につく感じもしないではありませんでしたが、それでもなお、人間の可能性や希望を感じさせてくれる作品となっていて胸に沁みるものがありました。
 

自分の生き方を見直すためにも、一度は観ておきたい作品だと思います。

 

 

公式サイト

http://transformer.co.jp/m/gift/

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王様のためのホログラム

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デイヴ・エガーズの著書を映画化した作品。原作は未読です。

 

大手自転車メーカーの取締役を解任されたアラン・クレイは、何とかIT企業に再就職します。早速、サウジアラビアのジッダに出張を命じられ、国王に最新鋭のテレビ会議システムである「3Dホログラム」を売り込もうとしますが...。

 

娘の教育資金を稼ぐため何とか再就職したお父さんが、慣れない異国の地で全く価値観が異なる人々に振り回され、状況が分からない本国の上司との板挟みに悩みながら、頑張るという物語が一応主軸となっているようです。けれど、タイトルにもある"王様"も"ホログラム"もほとんど絡んできません。別に売るものがホログラムでなくても何の問題もなく、王様の存在感もありません。そして、アランの営業活動のあれこれはあまり描かれず、王様もホログラムもどうでもよくなり、アランが新しい人生を見つける物語に突入していきます。

 

そして、そのアランの"恋物語"も物語の中に馴染んでいません。サウジアラビアで、たとえ外国人だとしても、男性が女性の医師の診察を受けたりするものなのでしょうか?まぁ、ラブの要素が欲しかったのかもしれませんが、無理矢理感、取って付けた感が満載でした。

 

取り敢えず、「あまり外部の人間が立ち入ることができないサウジアラビアの風景を撮ってきました」といったところでしょうか。

 

そして、中国に追い抜かされようとしているアメリカの悲哀...かもしれません。かつてアメリカの経済を牽引していた自動車産業の凋落、中国マネーの躍進...。アメリカにとっての"コブ"ということでしょうか?王様がどうとか、ホログラムがどうとか、リストラされた中年男性がどうとかということでなく、そういうことなのかもしれません。

 

いずれにしても、映画作品として面白いとは思えませんでした。

 

 

1862年、南北戦争の時代のアメリカ。南軍の兵士として戦うニュートン・ナイトは14歳で徴兵されてきて戦死した甥の遺体を家族に届けようと戦線を離れます。故郷で仲間の農民たちから農作物を奪う南軍と衝突したニュートンは、追われる身となって湿原に身を隠します。そこで出会った、黒人の逃亡奴隷たちと友情を築いたニュートンは、南軍、北軍のどちらにも組みせず、1864年、黒人、貧農、脱走兵たちと、ジョーンズ自由州を宣言し...。

 

「金持ちのための戦争を貧乏人が戦う。」本作の物語からは、白人の有色人種への差別という問題だけではなく、貧富の差の問題が見えてきます。南部にとっては、奴隷制度を守るための戦いであったはずの"南北戦争"なのに、奴隷を20人以上所有する農園主の長男は兵役免除で、奴隷の所有など考えられない貧乏人は子どもであっても徴兵され、怪我をしても治療は将校の後。自分が奴隷を所有することなどできないのに、奴隷制度を守るための戦いに駆り出され、怪我をし、命を落とす。戦場に行かされなくても、"徴税"と称して、収穫された食料も家財道具も奪われる。

 

私たちが"アメリカの奴隷制と有色人種への差別"として知る歴史のなかではなかなか日の当たらない面が描かれていて興味をひかれました。

 

そして、制度的には自由になったはずの元奴隷たちが、結局は、実質的に奴隷と変わらない状態に置かれ続けた現実。

 

ニュートンの物語に挟み込まれるように、彼がジョーンズ自由州を宣言した84年後の1948年の彼の曽孫デイヴィス・ナイトと白人女性との結婚を巡る裁判の様子が描かれます。

 

ニュートンと黒人女性の間に生まれた子どもの孫であるデイヴィスには、黒人の血が入っているから有色人種であり、有色人種が白人と結婚することを禁じている州法に違反しているということで、有罪判決を受けます。人種差別の問題がその後も長く続いていることが伝わってきます。

 

ニュートンは南軍に敵とされたのですから、北軍からは味方と捉えてもらえるかと思ったらさに非ず。この辺りも複雑なところで、北軍としても南部の人間に、ある意味、自分たちよりも"進歩的"な者が存在するというのは"不都合"なのでしょう。

 

そして、何にしても、銃こそが最終的な問題解決の手段となっているということを実感させられます。そこにも、現在まで続くアメリカの歴史の一面が現れているように思われました。

 

題材はとても良かったと思いますし、私たちが知っておくべき歴史が描かれ、価値ある作品だと思います。けれど、描き方が、全体として淡々として、盛り上がりに欠けたのは残念でした。観ていて、気持ちの持って行き場に困るようなところがあります。

 

まぁ、感動を求めすぎるのもよくないのかもしれませんが、どこか、もっと気持ちを揺さぶられたり、グイッと掴まれたりしたいところがあったりして...。

 

とはいえ、観てよかったと思います。一度は観ておくべき作品だと思います。

新宿マッド

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アングラ演劇をしていた青年が内ゲバで殺害されます。上京してきた郵便配達夫の父親は息子を殺した人物を探し新宿の街を歩き回ります。やがて、息子を殺したのは"新宿マッド"と呼ばれる男だということが分かり...。

 

元々は"ピンク映画"として作られ、「新宿フーテン娘 乱行パーティー」というタイトルで公開された作品だったそうです。公開当時、"ピンク映画"を観るつもりで本作を観させられた人々はさぞかしガッカリしたのではないかと思います。全裸の女性も登場しますし、濡れ場もあるのですが、ホンの添え物レベルでしかありません。

 

息子が世の情勢を憂い、理想のために殺されたというストーリーは、実直に生きてきた父親が息子の死という酷い現実を受け止めるための拠り所だったのかもしれません。

 

けれど、どうやら、そんな美しいものではなく、しかも、息子を殺したという"新宿マッド"にも正義も理想もなかったようで、そのことは、息子の死そのものと同じように父の心を痛め付けたことでしょう。

 

理想も正義もなく革命家を気取っているだけの"新宿マッド"は、しっかりと地に足付けた生活を継続してきた父親に完敗します。父親にとっては苦い"勝利"だったことでしょう。"新宿マッド"に父親がひれふせざるを得ないような高邁な理想があれば、息子の死にそれなりの意味を感じることができたのかもしれませんが、それもできなかったワケですから。

 

ラストの何とも言えない寂しそうな父親の表情が印象的です。けれど、基本的に、人は、いつの時代にも、若い世代を情けなく頼りなく感じるもののようで、若者がどうしようもなく見えるようになるのは歳を重ねた証拠ということなのかもしれません。

 

新宿という街を巧く撮っていると思います。今でも、ビジネス街あり、ショッピング街あり、歓楽街あり、色街あり、ゲイの方々御用達のエリアありと、様々な顔を持つ新宿ですが、今以上に、エネルギーに溢れていた当時の新宿の息吹が伝わってくるようです。この新宿の風景が見られるということだけでも価値がある作品と言えるでしょう。

 

レンタルで観たのですが、DVD買っちゃうかもです。

島々清しゃ

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那覇市の西方約40㎞にある慶良間諸島。耳が良すぎて、少しでも音のズレを感じると頭痛がしてしまう小学生のうみは、三線の名手であるおじいと二人で暮らしていました。ある夏の日、島で開催されるコンサートのためにヴァイオリニストの祐子がやってきます。変わり者扱いされ、母親や友だちとの関係に悩むうみは、祐子との出会いをきっかけに、フルートを練習し吹奏楽部に参加し...。

 

安藤サクラはさすがの演技力で見せてくれてはいるのですが、どうも、その力が作品の中で生かし切れていない感じがして残念でした。

 

プロでない役者さんたちが多かったこともあるのかもしれませんが、それ以上に、セリフ自体がこなれておらず、"演じている"不自然さが出てしまった感じがします。

 

島の風景や海は美しいことは美しいのですが、それも、もう一つ。島の魅力が十分に伝わってきている感じはしませんでした。

 

けれど、音楽が本作を救っています。特におじいの三線の音色が印象的でした。ただ、子どもたちで合奏する場面でのアレンジは、野暮ったい感じで、曲の魅力を損ねてしまっているようで残念。

 

素材もテーマも良いと思うのですが、個々の要素の良さがきちんと活かされていなかったのだと思います。残念です。

白い家の少女

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人里離れた一軒家に暮らす13歳の少女、リン。詩人の父親と一緒に暮らしているという彼女ですが、父親は閉じ籠りきりで、誰もその姿を見たことがありません。不審に思った家主がその家を訪ね、リンを問い詰めますが...。

 

リンは、父と一緒に生活していると言いますが、父が姿を見せることはありません。かなり早い段階で、父の不在が推察されます。1人だと分かってしまえば、施設に入れられることになるワケで、リンの父親は、それを避けるために策を練り、リンに1人で生きていく道を示したのでしょう。

 

幼くして保護者を失ったリンには、何度も危機が迫ります。変質者であるフランク、その母親で大家のハレット夫人。一方、彼女の側に立つ者として、マリオが登場します。

 

ハレット夫人の問題は偶然とリン自身が、フランクの問題はリン自身が解決し、マリオが、彼女を大人に成長させる手助けをし...。

 

リンの父親の件が周囲に明らかになるかどうか、リンが彼女の生活を守れるのかどうか、彼女の置かれた状況がどう変化していくのかに興味がそそられます。サスペンスタッチな物語の中に、少女の成長物語が織り込まれていきます。

 

リンを演じたジョディ・フォスターは、当時、14歳とのこと。まだまだ子どもな年齢ですが、1人の女優として見事な存在感を出しています。リンが13歳とは思えない大人だったように、ジョディ・フォスターも"子役"というレベルを越えています。特にラストの表情は秀逸。

 

子どもらしい可愛らしさを見せる場面と悪女の冷酷さを見せる場面のバランスが見事で印象的でした。

 

観ておいて損はない作品だと思います。

天使にショパンの歌声を

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1960年代、カナダのケベックの寄宿学校。音楽コンクールの優勝者を輩出したこともある名門校ですが、修道院による運営が見直され閉鎖の可能性が出てきました。校長のオーギュスティーヌは音楽の力で世論を動かし、学校を存続させようと考えていました。そんな中、オーギュスティーヌの姪、アリスが転校してきます。アリスはピアノの才能に恵まれながら、誰にも心を開かず問題ばかり起こして...。

 

ある人物が情熱を注いだ対象が、力を持つ誰かの嫉妬など、理不尽な理由で潰されそうになり、それにどう対抗するかという物語。そして、つらい経験の中でちょっと捻じれてしまったけれど、光るものを持っている子どもが成長していく物語。割とよく見られるこの2つの物語が重ねられています。

 

オーギュスティーヌの情熱は分かるのですが、"学校を守るために何をするか"ということについては、あまり工夫が感じられません。総長との闘いになるのであれば、総長を説得できる人物に訴えるとか、もっと、あの手この手を使う戦略が必要ではなかったかと...。

 

それに、学校自体の魅力とか、これまで果たしてきた役割とか、そういったものも十分に描けておらず、観る者が、学校を惜しむ気持ちに共感しにくかったような...。

 

ヒロインたちの屈折したりぶつかり合ったりする気持ちについても、描写が弱く、ラストに気持ちが盛り上がりません。

 

本作の物語では、ヒロインたちが打ち込む対象が音楽で、名曲が登場し、音楽の力は感じましたが、それが物語の中で活かせているかと言うと、その点でも弱かったです。

 

よくあるテーマではあるのですが、本来、もっと心を揺さぶられるような物語になり得た素材だと思います。残念です。