退職

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大学新卒で就職し、結婚しても、出産しても、ずっと勤務し続けていた職場でしたが、今日で最後の出勤となりました。勤続30年近くなります。就職した頃は、まだ昭和。しばらくしてバブル期に突入し、けれど、あまり景気が関係しない業界でほとんど恩恵はなく、バブルがはじけた後は、徐々に影響を受け、何かと厳しい状況が続き、まだ景気回復の有難みを感じる場面はなく...。

仕事自体には魅力を感じますし、遣り甲斐もあります。けれど、異動の多い職場、それも、特急や新幹線を使った遠距離通勤や単身赴任が当たり前な状況がある中で、これ以上、継続するのは厳しいかと...。正直、年齢とともに遠距離通勤でのフルタイム勤務は辛くなってきましたし、けれど、単身赴任までは思い切れず...。

振り返って見れば、様々な想い出が甦り、その時々の嬉しさ、悔しさなどが思い起こされてきます。色々ありましたが、多くの人と出会うことができ、沢山の経験をし、多くのことを学べましたし、そこからの収入で生活を支えてもらいました。この仕事をして良かったと思います。

最終日となった今日、通勤途中で、よく富士山が見えるポイントでは綺麗な富士山を見ることができました。何度見ても、綺麗に見えるとテンションが上がります。先輩、同僚や後輩から、メッセージやメールもいただき、温かい言葉に胸が熱くなったり...といったこともありましたが、思いの外普通の一日を過ごし、ほぼいつも通り帰宅しました。

この先のことは、全くの白紙。少し充電期間を設けてから次を考えたいと思います。


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おもひでぽろぽろ

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おもひでぽろぽろ [DVD]/出演者不明
¥5,076
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岡本蛍原作、刀根夕子画による同名コミックを映画化した作品。

1982年の夏。東京で一人暮らしをする27歳のOL、岡島タエ子は、休暇を取り、姉、ナナ子の夫の親類の家を訪れます。タエ子は、山形へ向かう寝台特急"あけぼの3号"の車中で田舎を持つことに憧れた小学5年生当時の自分を想い出します。そして滞在先の家の息子、トシオらと交流を持つ内に、トシオと惹かれ合うようになっていき...。

女性にとって、27歳というのは、微妙な年齢だと思います。自分の子どもを産むことについてのタイムリミットが近づき、結婚するかどうか、子どもを産むかどうか、その先の生き方についての大きな選択を迫られる時期です。で、一方、釣り合う年齢の男たちは"今は仕事だけで手いっぱい"とか、"結婚を考えるのは妻子を養えるようになってから"とかほざいていたりして...。

そんな"瀬戸際のオンナ"が巧く表現されていると思います。凄い大事件が起こるというわけではありません。タエ子とトシオの関係もラストで進展を示唆しながらも、明確にはせず、どちらにも解釈できる終わり方をしていて、微妙だし...。けれど、淡々とした日常の中で、自分を見つめ直していく姿が心に染みました。

そして、27歳と対比させられるのが小学校5年生というのも上手い設定だと思います。作中でも学校で女子が集められて生理について教えられるシーンがありますが、この辺りも女子たちの成長を考える上での大きなポイント。

こうした自分自身の逃れようのない変化に対する不安や、その変化に注がれる男たちの視線に対する嫌悪を感じながら女の子たちは大人の女性になっていくのでしょう。

1982年に27歳ですから、タエ子は1954年か1955年の生まれで、1965年か1966年に小学校5年生の夏を迎えることになります。私よりも少し上ということになるのですが、重なる部分もあり、懐かしく観ることができました。そういう意味では、本作に対する評価は甘めになってしまうのかもしれません。タエ子と同年代の人にとっては懐かしさが感じられる作品だと思います。(それよりもグッと若い人が観たらどうなのでしょう。つまらなく感じるのかもしれません。)

背景や人の動き、表情がやけにリアルな"今"とパステル調でファンタジックな描写の"過去"。こうした描き方は、アニメならでは。アニメという手法を巧く活かした表現になっていると思います。

主題歌はアマンダ・マクブルーム作詞作曲し、ベット・ミドラーが歌ってヒットした"The Rose"を日本語に訳し、都はるみが歌った"愛は花、君はその種子"。高畑監督が歌詞を翻訳しているのですが、元の歌詞の雰囲気を残しながら日本語の歌詞として魅力的な内容になっていて素敵な訳だと思います。以前、ここに感想を書いた"ホーホケキョとなりの山田くん"の時にも思ったのですが、高畑監督、歌詞の翻訳の才能もある方のようで...。


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メトロポリス

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メトロポリス / Metropolis CCP-315 [DVD]/アルフレート・アーベル,ブリギッテ・ヘルム,グスタフ・フレーリッヒ
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1926年制作、1927年公開のモノクロサイレント映画。

2026年、ゴシック調の摩天楼がそびえ立ちメトロポリスと呼ばれる未来都市。そこでは、高度な文明によって平和と繁栄がもたらされているように見えましたが、実態は摩天楼の上層階に住む限られた知識指導者階級と、地下で過酷な労働に耐える労働者階級に二極分化した徹底的な階級社会でした。ある日、支配的権力者の息子、フレーダーは労働者階級の娘マリアと出逢い、初めて抑圧された地下社会の実態を知り...。

オリジナルは約3時間半の長い作品だそうです。けれど、完成後すぐアメリカのパラマウント社に持ち込まれ、興行的な理由と「共産主義的な傾向を本質的に持っている字幕があった」という政治的な理由により、監督であるラングの許諾無しに徹底的にカットされ、コンパクトなアメリカン・バージョンとして公開されます。 1927年にオリジナルをプレミア公開したドイツのウーファ社も、上映回数を増やすためアメリカン・バージョンに追従。それでも莫大な制作費を回収することができず、倒産。そうした混乱のため、様々な上映時間のバージョンが存在したそうです。その後、オリジナルフィルムは世界各地に散らばってしまいます。1984年には、ジョルジオ・モロダーのプロデュースによる再編集版が公開され、2002年には、新たに発見されたフィルムを再編集した123分バージョンの作品が発表されました。2008年7月、ブエノスアイレスの映画博物館"Museo del Cine"にて、それまで失われたとされていたフッテージが発見され、その後、発見された映像を加えた、150分バージョンが発表されています。

で、今回観たのは、83分バージョン。やけに説明不足だったり、唐突感のある展開があったりしたのは、本来あるべきシーンが派手に削られたからなのしょう。

本作の時代設定は2026年。制作の100年後で、"今"から10年後です。貧富の差の拡大については、その通り的中...というか、人類の歴史の中で、富む者の貧しき者からの搾取と格差の拡大、行き過ぎた格差の是正を繰り返されていて、今もその問題を解決できていないといったところでしょう。いつの時代にも共通する問題なのかもしれません。

さすがに90年も前の作品なので、物語自体はありふれたもののように思えてしまいますし、ラストの希望を持たせる纏め方も安易な印象を受けてしまいます。勿論、設定や造形に時代が感じられる部分もありますが、労働者たちの置かれた過酷な状況の描写は切実だし、アンドロイドのマリアの造形や人間化される工程の描写などは素晴らしく、今観ても、興味深く観られる色褪せない作品です。

私たちは、本作で描かれるような社会を造ってきてしまいましたが、果たして、本作のあるような希望に向かう道を見出すことができるのか...。少なくとも、産業構造が変化し、直接、人を相手にする仕事が増えている今、労働者が不幸なままに社会全体が幸せにはなれないのだろうと思うのですが...。

アンドロイドの機械っぽさと本物の人間らしい動きと、美しい心と邪悪な心と、両方を見事に演じ分けたメリア役のブリギッテ・ヘルムの演技が光っています。

長いバージョンも観てみたいものです。


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十番稲荷神社の桜

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先日、大江戸線、麻布十番駅近くにある十番稲荷神社に行ってきました。場所は、大江戸線の7番出口のすぐそば。鳥居があり、石段を上がると地下鉄開通に伴い平成9年に新築された社殿があります。その前に、箱があり、桜の苗がいくつか置かれていました。見ると、小さいもので300円で頒布中とのこと。

何でも、桜は鉢植えでも育てられるのだそう。それならと、育ててみることにしました。社務所で、神社の肌守と持ち帰り用の袋を付けていただけるとのことで、小さなものから一つ選んでいただいてきました。桜は鉢植えでも育てられるのだそうで、育て方が書かれた紙もつけてくださいました。

植木鉢は、家にあるもので何とかなりそうなので、帰り道に腐葉土を購入。帰ってから植え替えました。

神社でいただいた苗ですから、枯らしてしまったら罰が当たりそうで怖いのですが、上手く育てられるかどうか...。何とか、頑張っても見たいと思います。いつか花が咲く日を夢見て...。

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の・ようなもの

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の・ようなもの [DVD]/秋吉久美子,伊藤克信,尾藤イサオ
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なかなか古典落語がうまくならない二つ目の落語家、志ん魚(しんとと)は、誕生祝として仲間にカンパしてもらい、初のソープランドへ。そこで出会ったソープ嬢、エリザベスと付き合うようになります。一方で指導役を引き受けた高校の落研で出会った由美とも付き合い始めます。しかし由美の父親から落語を酷評され...。

志ん魚とエリザベスが初めての行為の後に並んで腰かけている時のタオルの配色とか、団地で楽太郎が住民たちに呼びかけるシーンとか、志ん魚が終電を逃して歩いて帰るシーンとか、ちょっと目を引くような、印象に残るような場面もあって、一つ一つのパーツを見れば、良いところもあったと思いますが、作品としてのまとまりには欠けてしまったと思います。

落語家の"のようなもの"な志ん魚が出演し、恋の"ようなもの"をしながら仲間たちと過ごす何気ない日常"のようなもの"を描く映画"のようなもの"といったところでしょうか。ところどころに効果音として銃声が使われたり、変なクイズ大会のヘンに力が入れられていたり、シュールな雰囲気なのですが、それを無理して出そうとしている感じは気になりました。デビュー作ならではの"若さ"なのかもしれませんが、色々と狙い過ぎて外してしまった感がありました。落語を題材にした作品なのに、落語の魅力も今一つ伝わってきませんし...。

エリザベスを演じた秋吉久美子が存在感を出しています。美しい恋人であり、温かく包み込み癒してくれる母であり、優しく導いてくれる姉であり、セクシーな"セフレ"であり...ある種、"都合のイイ女"ですが、そのエリザベスが実にカッコよく感じられます。志ん魚の落語ははっきりと下手だし、志ん魚を演じる伊藤克信は、それも含めて演技なのかもしれませんが、棒読み感たっぷりの下手さでした。確かに、落語が下手な二つ目という役ですが、それにしてもな印象を受けました。そんな志ん魚でも、エリザベスとのシーンは雰囲気が出るのは、やはり秋吉久美子あってのことなのでしょう。

師匠の出船亭扇橋役で、入船亭扇橋が出演していたり、有名落語家として春風亭柳朝が登場したり、小堺一樹とラビット関根(関根勤)がオカマのコンビで笑わせてくれたり、当時の三遊亭楽太郎が短いシーンで印象を残していたり、エド・はるみが女子高生の中にいたり、今見ると、なかなかの顔ぶれだったりします。師匠の出船亭扇橋役で、入船亭扇橋が出演していたり、有名落語家として春風亭柳朝が登場したり、小堺一樹とラビット関根(関根勤)がオカマのコンビで笑わせてくれたり、当時の三遊亭楽太郎が短いシーンで印象を残していたり、由美の父親役が将棋の芹沢九段で志ん魚の前に将棋盤を持ちだして来たり、エド・はるみが女子高生の中にいたり、今見ると、なかなかの顔ぶれだったりします。

師匠のいかにも落語家っぽい和の雰囲気の家とか、今とは違うソープランドの名称、吾妻橋のアサヒビールの工場、ボードの野球ゲーム懐かしい昭和の香りに溢れています。由美がスクーターで志ん魚を追いかけた時にヘルメットをしていないのも、当時は着用が義務付けられていなかったからだし...。

昭和の空気を味わうため、秋吉久美子を見るためには、悪くない作品だと思います。まぁ、それだけですが...。


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ジャイアンツ

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ジャイアンツ(2枚組) [DVD]/エリザベス・テーラー,ロック・ハドソン,ジェームス・ディーン
¥1,543
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エドナ・ファーバーの小説を映画化した作品。原作は未読です。

テキサスに59万エーカーもの広大な土地を持つ牧場主、ジョーダン・ベネディクト2世は、メリーランドの名門の娘、レズリーと結婚します。初めてテキサスを訪れたレズリーは、東部とはあまりにも異なる人々の気質と生活習慣に戸惑い、義姉、ラズの冷たい視線にも苦しめられながらも、持ち前の粘り強い性格でそれを乗り越えていきます。ラズは、ジョーダンから疎まれている若い牧童、ジェット・リンクの唯一の理解者でしたが、落馬事故で亡くなります。ジェットは、ラズから、遺産として土地の一部を譲られます。彼は油田ブームの到来を知り、自分の土地でも石油が出ると信じ、土地を抵当に石油の採掘を行い、やがて、油田を掘り当て、ジョーダンを遥かにしのぐ大金持ちになり...。

ベネディクト一家の30年間に、アメリカの歴史が重ねられるのですが、そこに、親子の葛藤、親の思うようにならない子どもたちといった民族や文化を超えて普遍的な問題も取り入れられ、さらに、人種差別や女性の人権といった社会的な問題も添えられ、一大叙事詩となっています。色々と盛り込み過ぎて、整理し切れていない感じはしました。

牧畜の時代から、石油の時代へ。大牧場主のジョーダンと石油王、ジェット、それぞれが新旧の時代を象徴しています。その両方から愛される美女、レズリーは、そんな男たちの夢であり、何としても得たい"獲物"なのかもしれません。富を得て、社会的にも成功したジェットは、事業を次々の拡大していきます。先見の明があり、努力もし、アメリカンドリームを体現したジェットですが、何よりも欲しかったたった一つのものは手に入れることができません。泥酔し、誰もいなくなった宴会場で、独白する場面は心に沁みます。このシーンのジェームズ・ディーンが、ジェットの報われぬ想い、遣る瀬無さ、悔しさ、哀しさを伝えていて、とても印象的です。

頑固で昔ながらの生き方に拘ったがために時代に取り残された感じのジョーダンも、思うに任せぬ妻、子どもたち、成り上がっていくジェットへの嫉妬や反感...、負の感情に捕われ、酒に溺れ、レズリーとの関係もギクシャクしていきますが、一番大切なものを取り戻します。今、"お金が正義"になってしまった感がある中、それ以外のところに価値を見出す生き方は魅力的に思えます。まぁ、成功を収めても"成金"でしかなかった背景には、差別意識があるわけで、それはそれでどうかとも思うのですが...。

30年という年月を追いかけているせいか、200分という長さの割には、薄い感じもします。レズリーが自分の立場を勝ち取っていく過程とか、ジェットが成り上がる過程とか、親と子の葛藤とか、人種差別とか、欲張り過ぎて居るのかもしれません。どこかに焦点を絞って、一点だけでももっとじっくり描いていれば、メリハリが出たのではないかと思うのですが...。映画よりは、大河ドラマ向きの内容だったのかもしれません。

ジョーダンを演じたロック・ハドソン、レズリー役のエリザベス・テイラー、本作の撮影直後に亡くなり、これが遺作となったジェット役のジェームズ・ディーン、いずれも存在感を出していたし、アメリカの歴史を感じさせてくれる物語になっていただけに残念です。


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ボクは坊さん。

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ボクは坊さん。DVD/伊藤淳史,山本美月,溝端淳平
¥4,104
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ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で2001年12月から2008年7月まで231回にわたり「坊さん。 57番札所24歳住職7転8起の日々。」のタイトルで連載され、2010年1月29日に単行本「ボクは坊さん。」として出版された実在の住職、白川密成氏が実体験を綴ったエッセイを映画化した作品。(ただ、映画のストーリーは、ほぼ日の連載の内容とは直接関係ないようです。)

愛媛県今冶市にある四国八十八ヶ所霊場第57番札所の栄福寺に生まれ育った白方進はお坊さんとしての資格"阿闍梨(あじゃり)"の位を得て、実家の寺に帰って来ました。けれど、位を得たものの、地元の本屋で書店員として働き始めます。幼馴染の京子と真治は、進がお坊さんになることを期待してか、真のことをずっと"和尚"と呼んでいましたが、肝心の進は、未だにその決心がつかずにいました。そんなある日のこと、栄福寺の住職である進の祖父、瑞円のガンが見つかり、余命が僅かであることが分かり、進は寺を継ぐことを決意。書店員の仕事を辞め、白方光円として、24歳で栄福寺の住職となりますが...。

友人に、お寺に生まれ育ち、大学は仏教とは関係のないところに進学したものの、卒業後、お寺の宗派の大学院に進み、お坊さんとしての資格を取得し、お寺を継いで住職となった男性がいて、お寺の跡継ぎは、基本、その宗派の大学に行って資格を取るものだという話や、お坊さんのアレコレを聞いたことはあったのですが、本作と重なる部分もあり、成程と思わされました。

一人の未熟な青年が、アレコレ壁にぶつかりながら、周囲に厳しく叱責されたり、温かく導かれたり、助けられたりしながら成長していく物語で、清々しく観終えることができました。基本、悪人のいない世界で、甘すぎる感じもしないではありませんが、心地よく作品の世界に浸ることができました。

ただ、"ごく普通の青年が、突然、お坊さんになったら"というシチュエーションを重視しようとし過ぎて、"普通の人間"という面が強く出過ぎている感じがしました。少なくとも、その道の大学を出て、資格を得ているわけで、住職の経験ありませんが、全くの素人ではありません。なので、あまり普通を強調されると違和感があります。まぁ、イマドキ、お坊さんだからといって人間ができているとは限らないというのは分かりますが...。

"病気設定"も唐突感がありますし、安易にお涙頂戴な方向に引っ張ろうとし過ぎた感じがしました。もっと、普通にお葬式をしたり、巡礼の人々への対応をする中で、色々な人生に出会ったり、思いがけない形で人に関わったり、様々な問題に直面したり、苦悩したりということがあるはずなわけで...。そんなお寺の日常を題材にした方が、自然な感じで観られたのではないかと思うのですが...。

題材は良かったと思いますし、特に主演の伊藤淳史、長老役のイッセー尾形が力のある演技で、説得力を持たせていて印象的でした。伊藤淳史の頭の形も良かったです。読経も雰囲気でていました。原作のエッセイも面白かったですし、物語の作り方、バランスの取り方、トリビア的要素の挟み込み方をもっと工夫すれば、かなりな傑作になっただろうと思われるだけに残念です。


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リオ、アイラブユー

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リオ、アイラブユー [DVD]/ハーヴェイ・カイテル,ヴァンサン・カッセル,ヴァネッサ・パラディ
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パリ、ジュテーム」、「ニューヨーク、アイラブユー」に続く"都市の愛"シリーズ第三弾。

11の短編により構成されるオムニバス映画です。

結構、ダークな物語が多いのに、どこか陽気なのは、リオデジャネイロが舞台だからでしょうか。吸血鬼だって楽しくサンバを踊るのですから、このくらい危なくても問題ないってことなのかもしれません。犯罪の多い、治安の悪い都市のようですし、様々な危険の中で、人々は明るく逞しく生きているということかもしれません。

ただ、個々のエピソードが、どうも、あまり面白くありません。そんな中で、神様からの電話を待つ少年のエピソードは、少年の純粋さ、一途さと、一筋縄ではいかない逞しさが微笑ましく描かれて、光っていたと思うのですが、それ以外は、正直、微妙でした。交通事故で片腕を失ったボクサーと下半身が動かなくなった妻のエピソードも物語としては悪くなかったのですが、ちょっとアッサリしすぎた感じがします。もっとずしんと響くような形にすれば、作品全体の中でアクセントになったのではないかと思うのですが...。

1つのエピソードを概ね10分という制約の中で纏めなければならないのですから、難しいところはあるのでしょうけれど、これまでの2作と較べても小粒な感じは否めません。

リオデジャネイロの風景を捉えた映像は綺麗でした。けれど、それだけのために本作を観るべきという程のことでもないでしょう。

このシリーズ、まだ、続くのでしょうか。続けるのなら、構成の仕方とか、舞台の選び方とか、工夫が必要でしょうね。


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ラヴソング

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ラヴソング [DVD]/レオン・ライ,マギー・チャン,エリック・ツァン
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天津出身のシウクワンは、恋人を残し、一人で、中国大陸から香港へと移り住みます。初めての給料を手にして"夢"だったマクドナルドに入った彼は、そこでアルバイトをするレイキウに出会います。マクドナルドで働きたいと思ったシウクワンですが、レイキウに、そのためには英語を話せないといけないと、英会話学校を紹介され、それがきっかけで2人は付き合うようになりますが...。

2人が出会うのが1986年で1995年までが描かれます。香港が中国に返還されたのが1997年、本作の制作が1996年ですから、返還前の香港の姿を残す作品ということになります。香港返還という時代背景を巧みに捉え、物語の中に生かしています。自由な雰囲気、欧米的な価値観が入り込みながらも、中国的な空気感もタップリで、猥雑さの中に活気が感じられます。

憧れの都会に出てきた田舎者のワクワク感と鬱屈も、シウクワンとレイキウの言動に反映され、多くの田舎者を抱える大都会の人間模様を浮かび上がらせます。

そして、シウクワンの天津に残してきた恋人との関係。往年のヒット曲"木綿のハンカチーフ"的な展開は、使い古された感じがありますが、2人の心情が丁寧に繊細に描写され、特にレイキウ役のマギー・チャンのちょっとした表情の変化でその時々の心情を伝える演技が素晴らしく、惹き込まれました。

テレサ・テンの歌も本作の物語の味わいを深めています。作品自体に、テレサ・テンへのオマージュという要素が強く感じられ、改めて、テレサ・テンの活動について考えさせられます。アジアを代表する歌姫と女優の共演ということになるのでしょう。

10年という年月に亘る恋愛を何気ない日常の積み重ねを通して描きながら、中だるみせず、最初から最後までしっかりと見せてくれます。香港という舞台、返還という時代背景、テレサ・テンの歌と人生、マギー・チャンの演技といった要素をそれぞれ巧く活かしていると思います。シウクワンが、天津の恋人からレイキウに乗り換えてしまった過程は、安易だったと思いますが、それでも、しっとりと心に染み入る良い作品でした。

お勧めです。


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ギャンブラー

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ギャンブラー [DVD]/ウォーレン・ベイティ,ジュリー・クリスティ
¥2,700
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19世紀末、カナダとの国境近くにあるワシントン州の小さな町にジョン・マッケイブという男が流れてきます。三流のトランプ賭博師である彼は、ギャンブル好きの鉱夫たちから言葉たくみに金を巻き上げて儲け、ついには賭博場を建てます。そんなある日、男勝りのコンスタンス・ミラーがこの町にやってきて、マッケイブに売春宿を作るための資金援助を頼み、共同経営する契約を成立させます。コンスタンスのおかげで、売春宿は大繁盛。さびれていた町にも少しずつ活気が出てきます。そこへ、大きな不動産会社に属するシアーズという男がやってきて、酒場や売春宿の経営権をマッケイブの手から買い取ろうとします。コンスタンスは売るべきだと主張しますが、マッケイブは反対します。マッケイブを相手にしても埒が明かないと見たシアーズは手を引きます。マッケイブは、売る気になりますが、時すでに遅く、不動産会社側はマッケイブを殺して全てを手に入れるため殺し屋を送り...。

アメリカの開拓時代のお話ですが、いわゆる"西部劇"というのとは、ひと味違います。マッケイブは、ガンマンではないし、ギャンブラーとしても妖し気だし、カッコよくも、強くもありません。詐欺チックに鉱夫たちからお金を巻き上げて賭博場...までは、頑張ったわけで、ちょっとした才覚があったことは確かなのでしょう。けれど、売春宿の成功は、マッケイブのちからというより、ミラーの手腕。そこを勘違いして、自身の力を実際よりも大きく受け止めてしまったところにマッケイブの愚かさがあり、それ故に身を滅ぼしたということなのでしょう。

マッケイブにも、不動産会社にも、"正義"はなく、それぞれが欲のために戦い、身を滅ぼしていきます。そして、闘いの果てに勝者は残りません。(それでも、生き残ったミラーは、どこかで新たな成功を手にするのかもしれませんが...。)

ミラーの美しさと経営者としての見事な手腕、状況を読み取る力が光ります。物語の展開は、少々、まどっこしい感じもしますが、登場人物たちの生活がきめ細やかに描写され、それぞれのキャラクターに深みが加えられています。

身の丈を超える成功に自分を見失い、さらには、千載一遇のチャンスを逃してしまうマッケイブは、最後までヘタレです。西部劇の華であるはずのクライマックスでのガンファイトは、グダグダで、おまけに、教会の火事騒動に焦点が移り、周縁に追いやられてしまいます。

物語を導いていくような静かでありながら独特の艶が感じられ深く心に染み入るレナード・コーエンの歌が印象的です。そして、物語の進行とともに深くなっていく雪が悲劇に向かう物語に悲しみを添えています。

全体に盛り上がりに欠けて、物足りなさもありますが、印象に残る作品です。


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