パラアーチェリー選手の誹謗中傷問題 | 日置研究室 HIOKI’S OFFICE

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作家の日置俊次(ひおきしゅんじ)が、小説や短歌について語ります。
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  パラアーチェリー選手の誹謗中傷問題

 

 パラアーチェリー選手の誹謗中傷問題を追ってきています。

 パラアーチェリー選手の小野寺朝子さんを誹謗中傷するコメントをSNSで書いたことで、パリパラリンピックの代表選手となっていた重定知佳さんが、出場を辞退しました。

 この誹謗中傷事件で、重定知佳さんはとても強気で、控訴しています。裁判の判決に対して、まったく反省の色はありませんでした。協会は重定知佳さん擁護の方向で動いていたようです。急にパラリンピック出場をやめるという変化は、世論の力によるものでしょう。かなり世論の批判が大きくなっていたと感じます。

 メディアの報道では、忖度があるのか圧力があるのか、しっかり検証ができていないのですが、いまも私にはわからないところがあります。

 中傷の内容ですが、次のようなものです。

 

「いい加減もう東京パラも無理だし代表入りも無理なの気づきませんか?悪あがきもほどほどにした方がいいですよ」

「ルール違反してない?してるから言ってるんですけど。車いすに乗って競技してはいけないのに車いすに乗ってますよ」

 

 完全にいじめというか、嫌がらせというか、嘲笑というか、ひどい中傷であると思います。重定知佳さんはその点に反論などできないでしょう。ただこの中で、「車いすに乗って競技してはいけないのに車いすに乗ってます」というくだりがあり、それはルール違反だというのですが、これは何なのでしょうか。まず、当然ですが、車いすに乗ることはルール違反ではありません。重定知佳さんは、車いすに乗って競技しています。

 

 可能性としては、障害が軽いSTクラスは車いすではなく、椅子に座ったり、立ったりすることになっていますので、おまえは、STクラスに行けといっているのでしょう。

 しかし競技運営委員会が小野寺さんをW2クラスとして認定していますので、W2クラスの人が車いすに乗って競技することは当たり前です。つまりルール違反は存在しないということです。

 また椅子に座るか車いすで競技するかで、有利とか不利ということもさほどないように思います。慣れの問題があるでしょうが、アーチェリーはアーチェリーです。

 また、障害というものも体調に波があって、立てるようになったり、もっとひどい状態になって車いすにも乗れなくなったり、いつも一定とは限らないわけで、クラス認定には細かい配慮が必要だという面はあるでしょう。しかしそれはここでは問題ではありません。

 とにかくルール違反ではないのにルール違反だといわれると、濡れ衣であって、とてもいやな気持になるでしょう。裁判所も、重定知佳さんの書き込みの内容を、すべて事実無根だと認めました。

 それをよくわかっていて、重定知佳さんが匿名で誹謗中傷をしたわけですから、悪意があるということです。卑怯であり、かなりひどい書き込みということになります。そうやってライバルを蹴落としていくという発想がもともとあったとすれば、これまで、ほかのライバルにも同じことをしているかもしれません。今回は裁判になったので、問題が公開されてしまったという可能性もあるでしょう。

 報道から引用します。

 

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重定知佳がパリパラリンピックの代表辞退 ライバルへの誹謗中傷で賠償命令

8/23(金) 18:06配信 東スポWEB

 

 日本パラスポーツ協会と日本パラリンピック委員会(JPC)は22日にアーチェリー女子の重定知佳(林テレンプ)がパリパラリンピックの代表を辞退したと、23日に発表した。

 JPCは6日、東京地方裁判所にて、日本身体障害者アーチェリー連盟に登録する選手が重定に対して提起した名誉毀損に基づく損害賠償請求を認容する判決が出されたことを受け、同連盟に重定の日本代表選手派遣推薦に関する有効性を再確認することを指示した。

 

【写真】アーチェリーをする重定知佳

 

 18日に同連盟から「8月13日に臨時理事会を開催し、重定選手が第1審で敗訴し控訴予定であること及び本件に関する内容を適切に説明した上で、重定選手の代表選手選考の手続きの有効性を再確認した」「臨時理事会において、賛成多数により手続きは有効であると決議した」との報告を受けたいう。

 

 同報告を受け、JPC内であらためて事実確認及び審議を行った結果、今回の重定の行為は「国際総合競技大会派遣規程」(以下、派遣規程)に違反する可能性があると判断。派遣規程に基づき、重定の処分について検討するためのJPC調査パネルを設置した。

 

 事実確認、審議を行ったところ、21日に重定に対し代理人弁護士が同席する形で弁明の機会を付与した。JPCにおいても外部の弁護士を含む2人の弁護士からも意見を求め、JPC調査パネルにおいて検討を進めていた中で、22日に重定からJPCに対して代表辞退の申し出があったため、JPCは申し出を受理した。

 

 JPCの森和之会長は「この度は、皆様方には多大なご心配、ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。今回の事案は大変残念であります。名誉毀損や誹謗中傷はいかなる場面においても断じて許されるものではありません。今後、JPCは再発防止に向け、より一層スポーツインテグリティを高める取り組みを実施してまいります。8月28日に開幕するパリ2024パラリンピック競技大会において、選手たちが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、温かいご声援を宜しくお願い申し上げます(原文ママ)」とコメントした。

 

 

天天快樂、萬事如意

みなさまにすばらしい幸運や喜びがやってきますように。

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