ネットフリックスで放映されているジョアンさんのドキュメンタリー番組をご覧になり、こちらのブログを探してこられた方が増えてきたようです。

 

 そうした方々のためにも、このシリーズではジョンオブゴッドことジョアンさん(João Teixeira da Faria:ジョアン・テイシェイラ・ダ・ファリア氏)の事件についてなるべくわかりやすく、スピリチュアルな内容には極力触れずに書いてみたいと思います。

 

 ジョン・オブ・ゴッドは本名をJoão Teixeira da Faria(ジョアン・テイシェイラ・ダ・ファリア)といい、現在、生存しているもっともパワフルな「ヒーラー」の1人です。

 

 彼のことをインチキ霊媒師だとか偽物ヒーラーだとか言う前に(笑)、そもそもヒーラーとは何か、チャネラーとは何かということについて、最初に少しだけお伝えしてみたいと思います。

 

 世間一般で言います「ヒーラー」「チャネラー」とは、あくまでも本人の意識がはっきりした状態で神々のエネルギーを降ろしてクライアントに流す仕事(ヒーラー)だったり、そうしたエネルギーを人間の言葉に翻訳する仕事(チャネラー)だったりします。

 

 ところが ジョアンさんの場合は完全に本人の意識はなくなり、エンチダージと呼ばれる存在に完全に身体を明け渡して治療をしたり言葉を発したりするのです。

 

 こうした特殊な体質のことをフルトランス・ミディアム(Full-Trance Medium)というのですが、そうした人は世界中で数えるほどしかいません。その中でも何十体もの異なったエンチダージが入れ代わり立ち代わり身体に入ってくるミディアムというのは古今東西ジョアンさんしかいないといわれています。

 

 ですので、一般に「ヒーラー」や「チャネラー」と聞いてイメージする姿とジョアンさんの在り方は全く違うのです。

 

 多くの人はヒーラーやチャネラーに、その高尚な仕事をするに相応しい品性、人格といったものを求めるかもしれません。でもジョアンさんは仕事とプライベートでは完全に人格が違い、普段はいたって普通の人です。

 

 このシリーズでは「ヒーラー・ジョンオブゴッド」から離れた生身のジョアンさんの姿に少しづつ迫ってみたいと思います。

 

 

 毎週水曜から金曜まで朝と午後の二回、セッション中のジョアンさんは本人の意識を失い「エンチダージ」と呼ばれる聖霊、神々、天使などの目に見えない存在達に身体を明け渡した状態となります。ですので、セッション中にジョアンさんがすることは全てエンチダージが行っていることなのです。

 

 誰もが皆、この状態の彼のことをジョアンさんとは呼ばずに「エンチダージ」と呼びます。そしてセッション後にジョアンさんの身体からエンチダージが去ると、ジョアンさんには全くそれまでの記憶が残っていません。今奇跡を起こしたはずのクライアントからお礼を言われても、ジョアンさんには全く何のことだかわからないのです。(もう何十年もやってますので、そういうことには慣れていますけれどもね。)

 

 その代わりエンチダージが入ったジョアンさんはその人の過去現在未来を何でも全てお見通しであり、1000万人以上とも言われるクライアントのことを全て覚えています。それこそ一回提出された写真に目を通しただけのクライアントでさえも完璧に把握しています。

 

 そうして過去に一度でもセッションを受けた人であれば、(セッションと言ってもほんの数秒謁見するだけというのがほとんどなのですが)その後はいつエンチダージが入った状態のジョアンさんに会おうとも、その時的確なアドバイス、適切な指示を頂けるのです。そしてもちろんエンチダージはセッション後にジョアンさんの身体から離れた今この瞬間も、全てのクライアントを見守り続けています。

 

 カーサでジョンオブゴッドのセッションを受けるとはどういう意味であるか、少しはおわかり頂けたでしょうか?? カーサでの奇跡を語るにはジョンオブゴッドと呼ばれる人間「ジョアンさん」が主役なのではなく、あくまでもエンチダージと呼ばれる目に見えない存在達を主役に考えなければ説明がつかないのです。

 

 だから「ジョアンさんがどうのこうの・・・」という具合にジョアンさんを主語にして何か語ろうとすると、まるっきりわけのわからないものとなってしまいます。彼は実際に「何もしていない」からです。

 

 ネットフリックスでのドキュメンタリー番組は明らかにジョアンさんを貶め、カーサを閉鎖に追い込もうとして作られたものですが、私にはその目的は充分に果たされない中途半端な番組に思えました。それは制作側にジョアンさんがフルトランスミディアムであるということに対する充分な理解がなく制作計画を練ったためだと思われます。

 

 エンチダージの入っていない素のジョアンさんにお目にかかることはカーサのスタッフでも稀なことです。

 

 目の前のジョアンさんがなぜ「ジョアンさんではない」とわかるかというと、まず見た目です。中にどんなエンチダージが入っているかによってジョアンさんの見た目は完全に変わるのですが、その特徴によってどのエンチダージが入っているのかがわかります。

 

 でも逮捕前の数年はセッションを希望する人の数が極端に増えたために、対応するエンチダージが複数、ジョアンさんの身体の中で同時に待機しているような状態だったそうです。鋭い眼差しはアルメイダ医師、丸いお腹はヴァルディビーノ医師、話す口調はクルズ医師・・・といったように、その頃セッション中のジョアンさんは様々なエンチダージの特徴を一度に兼ね揃えていたそうです。それは次から次へと訪れるクライアントに対応して瞬時にその方に相応しいエンチダージが対応できるようにするためでした。

 

 また、セッション中のエンチダージが入った状態のジョアンさんは、面白いことに「ジョアンさん」のことを話題に出すことがあるのです。

 

 例えば、ある巡礼者がエンチダージの入ったジョアンさんに向かって「今度ウチのレストランに食事にいらしてください」と申し出たとします。そうすると「そういうことはジョアンに言ってくれ」と返したりするのです。

 

 またある時は「これ、ジョアンに飲んでもらって。もうこうして36時間も連続で彼の身体を借りてるからね。」といって差し入れのオレンジジュースをスタッフに託したりすることもあったそうです。

 

 笑い話のようですが、エンチダージはセッションの間だけでなく、いつでもそうやってジョアンさんの身体を自由自在に使って困っている人を助けようとするのです。例えば、ジョアンさんが道端で悩んでいる人とすれ違っただけで瞬間的にエンチダージがジョアンさんの身体に入り、その人に必要なメッセージを届ける、などというようなこともあります。あるいは、エンチダージがジョアンさんの身体に入り、助けを必要としている人の元に連れていかれる、といったこともあります。

 

 ですので、実はジョアンさん自身が自分の交友関係を知らないのです。ジョアンさんが本当にジョアンさんである時間はとても短く、記憶は分断され、これまで人並みの人生経験を積むことはできませんでした。これはなかなか我々普通の人間には想像もつかないことかと思います。

 

 ジョアンさんは来年で80才にもなりますが、中身はまだまだ20代の青年であるといわれる所以はそこにあります。これまでの人生のほとんどの時間をエンチダージに差し出してこられたからです。

 

 「36時間連続」とはジョアンさんが気の毒に思えるかもしれませんが、その間ジョアンさん自身は眠ったような状態であるため、全く疲れていないのだそうです。むしろ長時間そうしてエンチダージに身体を貸したあとはなかなか眠りにつけないといったことがあるようで、深夜に身内の目を盗んで街中を徘徊するジョアンさんの姿が大勢の人に目撃されています。

 

 私も一度だけ、エンチダージの入っていない完全に素の状態のジョアンさんに会ったことがあります。それはセッション前にカーサに出勤(というのでしょうか?)してきたジョアンさんの姿でした。ジョアンさんは「今日はどんな人が来ているのかな」といった表情で辺りをキョロキョロとしながらメインホール脇の控室に入って行こうとしていたのですが、控室への通路にはセッションを待つ黒山の人だかりがありました。私はその中の一人でしたけれども、ジョアンさんはまるで選挙活動をする立候補者のように一人一人に握手をして行かれました。

 

 その握手の仕方は普段私達が目にする「エンチダージが入っているときのジョアンさん」の握手とは全く違うものでした。エンチダージが入っているときのジョアンさんは決して相手の目を見ません。まるで目の焦点が合わない人形のようで不気味に感じることもあります。ですが、この時のジョアンさんはしっかりと一人一人相手の目を見ておられたのです。

 

(続く)