◇ 「天国へのカウントダウン」 灰原さん ◇
今頃ですが、カウントダウンの感想続きです。
なぜ今頃かと言いますと
投稿したつもりの感想を投稿し忘れてたのに
今日気付いたから
す、すいませーーーーん
てことで、ラスト、灰原さんです。
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灰原さんは、登場時点から今までで、
一番変化が大きかったキャラクターなので
登場時の心情と、今の心境の違い、
そこにいたる変化とそのきっかけ
これを整理したいのですが、
難しい・・・
基本的に自分のことは話さない人だし、
彼女の素性を知っている、コナンと博士も
彼女自身のことを聞き出そうとしない。
なので、コナンや探偵団に見せる変化、
ちょっとした言い回しだったり、呼び方だったり
そういうのから類推することになるんですね。
「天国」は、そんな灰原さんの心境を
かなり突っ込んで描いていると思います。
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今改めて「天国」の灰原さんに思うのは、
この時点の彼女には、
「過去」しかなかったんだな、て。
それも、苦しみの過去です。
僅か十数秒の明美さんの声を聞きたい。
大切な姉の声を聞いて、
その瞬間だけでも幸せな気持ちになれるなら、良い。
今で言えば、
エレーナさんの遺したテープを聞く時
灰原さんはとても幸せで嬉しい気持ちに
なっている、と思います。
でも、この時の明美さんの声は
おそらくそうじゃないですよね。
メッセージを吹き込んだ姉は、もういない。
2人で過ごした時間は永遠に戻らない。
この人は死んで、自分は1人残された。
電話の度に、そんな悲しみと苦しみに
引きずり戻される。
それでも、
居場所のない「今」と
組織の恐怖に塗りつぶされた「未来」から
一時でも逃れるためには、
辛い過去にすがるしか、ない。
そんな心境だったんじゃないのかな。
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彼女の不幸は、コナンに
蘭ちゃんがいたことでしょうね。
「瞳の中の暗殺者」で、灰原さんが
自分だって辛い過去を忘れたい。
ただの小学生としてコナンとずっと一緒に・・・
と言っていたのは、やっぱり本音だろうな、と。
探偵団の子供たちと一緒に、ではなく、
1人で新しい人生を、でもなく、
コナンと一緒にいることが、彼女の望み。
この時点で灰原さん、
コナンに思いを寄せているし、
精神的な支えとしても必要としている。
コナンさえそばにいて、自分を見てくれたら。
でも、コナンがそれに応えることはない。
だから、コナンの隣に立つ「今」も
コナンと共に生きる「未来」も
彼女には、ない。
それでも、コナンは
実際の距離としては側にいて、
物理的な危険からは守ってくれる。
ある意味、生殺しだよな・・・と思います。
と、ここまでが開始時点の灰原さん。
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こっから、お話の感想です。
☆ コナンに弱音
「天国」で、おお踏み込んだ!と思ったのが
「私には席がない」とコナンに漏らしたこと。
こういう弱音をコナンに見せるって
明美さんのことで泣いた以降はなかったので
この場面はびっくりしました。
☆ 探偵団の子供達
さらにおおお!と思ったのが
探偵団の子供達の、素晴らしい返しです
今ここにある、だから、ある。
今ここに席があって、
誰も追い出さないなら
その席に居ればいい。
彼らが言ってることは、
ものすごく単純なんですよね。
でも、過去しか見てない自分は、
そんなことも判らなくなっていた。
居場所がないって悶々としている灰原さんが
子供達の行動に、何というか、
ちょっとあっけに取られているのが
すごく良いなと思います。
☆ 米粒一粒
終盤の脱出劇、
探偵団連係プレーは本当に良かった
あそこ、コナンが動けない、てのがミソですね。
そして、コナンが指示していないのに
元太くんが独断。光彦くんも頑張った
灰原さん、それまで探偵団に対して自分を
「部外者」って思ってたんじゃないかな、
と思うんです。
あれで灰原さん、彼らが自分を
友達・仲間=大事な存在
ってはっきり判って、
初めて「今」を見ることができたんじゃないかな。
コナンを通して、ではなく、自分自身の目で。
元太くんに「私はご飯粒と・・・」って言った灰原さん、
ああ彼女は一つ乗り越えたんだ、て
見ててすごく嬉しかったです
☆ 私許さないから
コナンに無理難題を笑顔で吹っ掛ける。
蘭ちゃんのことを知っているんですから
嫌がらせかよ!て思いますけど
コナンに対する自分自身の気持ちを
何て言うんだろう、叶わない、辛い、痛い、じゃなくて
それはそれ、て、ちょっと置いておけるように
なったのかな、て思います。
とにかく、全編通して
灰原さんがそれまでより前を向く
きっかけと理由になってくれた作品だな、と思います。
「天国へのカウントダウン」感想
その1 全体感想
その2 コナン&蘭ちゃん
その3 灰原さん