スタージョンの法則【従六位上 治部少丞】 | ひむかのブログ

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スタージョンの法則というものがあります。「何事も99%はクズである」というものです。これ、正確ではありません。だって、量産品の99%がクズ、すなわち歩留まり1%なら商売にならないじゃないですか。正しくは「アイデアの99%はクズである」ですね。もともとはアイデア勝負のSFについて出てきた言葉ですから。

 

これ、現場の技術者にはピンとくるものがあると思います。逆に経営者や投資家にはこれを理解してない人が多いように見えます。なぜなら、技術開発の場合はアイデアが経営者や投資家レベルに提示される前にだいぶクズが間引かれているからです。だから「選択と集中」などというバカなことが平気で言えてしまう。なぜバカかというとアイデアは出した段階ではどれがいいか見当がつかないんですよ。100個のアイデアを出していろいろコストをかけて検討したからこそ明らかなクズが間引かれ「選択と集中」ができる情報を添えられたアイデアがお出しできる。このコストをケチるとクズに膨大な投資をしてしまう。スタージョンの法則を理解してないと「選択と集中」とか言ってその必要なコストを削ってしまい膨大な損を出してしまう。

 

技術品ならいいんです。そもそもクズなアイデアでは試作品ができないから自然と間引かれる。コストを書けないと経営者や投資家の前にアイデアを出すことすらできない。ところがこれがアイデア勝負のエンターテイメントになるとになると話が違ってくる。紙と鉛筆で書く(現代的にはワープロでファイルを作るか)だけだからどんなクズでも提示されてしまう。そして何が受けるかはやってみないとわからないから世に出してみないとクズかそうでないかはわからない。ある経営者か投資家が「こんなものが受けるはずがない」と思ったものが別のルートで世に出たら世界的大ヒットなんてよくある話。しかし「99%はクズ」なのですからエンターテイメントへの投資は99%は失敗します。

 

ならば、エンターテイメントのアイデアはできる限り安い投資でたくさん世に出したい。それに役に立っているシステムが「小説家になろう」じゃないかと思います。なろう系というととかく馬鹿にされますが、そりゃそうです。99%がクズなんですから。でもだからこそ1%の宝石を取りこぼすことがない。これが成立するのって大量のアイデアを出せる多様な人間がいるからこそなんですよね。その人間とは、、、私やあなたです。多くの人がどこかに「黒歴史」という名の自作小説抱えてるんじゃないですか? これだけの母数が今の日本のエンタメの隆盛を支えているといっても過言じゃないでしょう。まあ、その反面日本人は99%のクズも読まされるわけなんですけど。

 

そしてさらにそれを支えるのが底辺の教育レベルの高さです。(上級層のレベルが諸外国に比べて高いとは言ってない)まあ、日本語で書いても伝わるわけはないですけど各国の指導者は真剣に底辺の底上げを考えた方がお得ですよ。自分自身へのメリットは少ないから底辺自身の自助努力では絶対に上がるものではないですから、これは完全に国の仕事です。