黄表紙 金々先生栄花夢 | そろって浄土に弥次喜多道中膝栗毛

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残り少ない人生、死ぬのは苦しいものか、どうも痴呆老人になって死んでいくようだ。お寺の坊さんに頼んでいるが。
残りの人生、東海道中膝栗毛の弥次喜多道中のように気楽に行けないものか。

黄表紙 金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)

先週 黄表紙 鼻下長物語 やっと読了しました 往生しましたよ 早口ことばの妙味を楽しむということでしょうが これがなかなか

これに懲りずに 今回 またもや 黄表紙 「金々先生栄花夢」に 懲りずに 挑戦 これは楽しめるお話かな

作者は 恋川春町画・作とあります 本作は 黄表紙時代の幕開けを告げる作とか 元州駿河小島藩の家臣倉橋格の作画とあります

お話しの筋は 「江戸で一旗揚げようと 金村屋金兵衛なる人物 目黒不動の名物粟餅屋で しばしまどろむ夢の中 さる富豪の養子に迎えられ 金々先生ともてはやされ 遊蕩の果てに勘当





                 (金兵衛 餅屋でちょっと一休み)


されて途方にくれる自らの夢をみる 杵の音で夢から醒めた金兵衛 人間一生の栄華のはかなさを悟り そのまま 生まれ故郷に帰る」(p229)なるお話し 

真面目な いいお話しではありませんか 謡曲「邯鄲」の構想を得ているとか 邯鄲とはなんでしたけ 厭になりますよ 

昔々 ある片田舎に 金村屋金兵衛なる心優しき男ありける 心優しきなれば 金も貯まらず その日暮らしの貧乏暮らし しかるに その氏姓は 金村金兵衛とはこれいかに 



                    (節分 福は内 鬼は外 )


                   「俳画に誘う」 小野 華優著 翔雲社 参考
 

金兵衛 これではならぬ とばかり 心機一転 男と生まれしからは この世の楽しみを尽くさんとても まず先立つものは金 金儲せずんばとて 花のお江戸に向かいたる

途中にあの有名な目黒不動あれば 金の貯まるように ついでに 参らんとて 軽くお詣りすれば はや 夕暮れ時 空腹なればと 傍の名代の餅屋に立ち寄りける 目黒餅花といいし また

目黒粟餅なる有名なる名物あり
ここで 目黒不動尊のご紹介あれど 霊験あらたか これは 寺社の故事来歴は まあ



                           (鬼は外)


さらっと 勉強しましょうか 痔核ではありませんよ 慈覚大師が御作りになった有名なお寺とか 
「江戸の三富」と呼ばれた「富くじ」が行われた(他は湯島天満宮 谷中感応寺)とあります お寺

さんで 宝くじとは どうせ ろくな寺ではありませんなあ
金兵衛 大きく夢を抱きます 江戸にでれば どこぞの 大店の番頭でもなって 「そろばんの玉

はずれお(を) しこため山とでかけて おごりきわめましやう」(p18)と 算盤勘定をうまくやって 役得の金を懐に 簡単に言えば 店の金を騙くらかして 小金を貯めこみ 贅沢三昧といきたい

                        (節分の豆撒き)


ものだ と 見果てぬ夢を抱きます いつか ぼーと 夢のような世界に
しかし 我に帰りて 金兵衛 もう何時でしょうかな 一膳頼みますと 店の者に 尋ねれば 大方

昼過ぎでしょうに まあ 奥のほうに進まれませと 勧められたのであった
まずは 幕開け 主役の金兵衛登場 田舎者なれど青雲の志を抱いて 江戸に向かうところから

本書によれば 「きんきんとは 当時の流行語で スマートな立派な身なりの形容である」(p229)とありますが 田舎者の金兵衛が 次第に金持ちになり 出世し ひとかどの通人となるというよな筋立てかしら

今後の話しの展開が楽しみであります
新編古典文学全集 「黄表紙 川柳 狂歌」 棚橋 正博他 注解 小学館 参考