川柳 貸雪隠屋なる面白きお噺 | そろって浄土に弥次喜多道中膝栗毛

そろって浄土に弥次喜多道中膝栗毛

残り少ない人生、死ぬのは苦しいものか、どうも痴呆老人になって死んでいくようだ。お寺の坊さんに頼んでいるが。
残りの人生、東海道中膝栗毛の弥次喜多道中のように気楽に行けないものか。

すこし川柳、小噺を読んで 楽しきなること請け合い 「江戸厠百姿」花咲 一男著 三樹書房から

まずは 借り雪隠なるお噺 
やんごとなき大家の奥方、あるいはお嬢様 忍びの散歩なれど 急に便意をもようせし如何なら

む 供の女中右往左往 もう少し 我慢なされましと宥めるに こればかりはどうもならず


            春の野に 厠尋ねる 女中づれ


                       (觽七易難)



            厠尋に 走る 奥附

                      (近道18オ)
                                  (「同上」から)

適当な屋敷などあればよきものをと 右往左往すれどむなし
ああ もうだめ 漏れそう  どうかしあれと 絹を裂きし如き悲鳴の流るれば もう一大事


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           ああ もうだめ 漏れそう しかし 用をたせばあとはすっきり


綺麗な着物にも 漏れれば一大事 恥ずかしきものなりと 自害されることもありき
供の女中 ここで覚悟を決めたりしか 供のもの手をつなぎて輪を作り その中で奥方、お嬢様

をお隠いもうし 急ぎ 小用をなされしとか 終ればなにやらすっきりと あらどうしたのとばかりの晴れやかなる御顔  あたりに妙なる匂いも漂よえば 失礼とばかり 急ぎ去りにけり



           小便の 御矢おもてには 供女中


                          (享保十八年・雨のをちば14オ)


すこし話変わりて 貸雪隠なるお噺
面白き商売 人込みの中で 貸雪隠なる商売があったのですね 驚いた 江戸時代にもこんな便

利なお仕事があったとは 今では考えられないお話 行楽地や工事現場にインスタントのトイレ場が設置されておりますが 昔は まるで屋台の如き お客様のご要望にこたえて 例えば そ

の場で用を足すことができるという便利さ たいした日本人の知恵 世界を見渡しても見当たらないのではないか

おーい ちょっと頼む へい旦那 大きいほうか それとも 小さいほうで 大きいほうで頼むそれでは 五文いただきますぜ と 便所を地面に置き 



             雪隠に 貸し参らせて 土に膝


                          (菊丈明元3 25)


   たまに身分高き方にお貸しすれば 雪隠屋 土に膝をついてお待ちするか


便がたまれば そのまま担いで 肥取り屋に早変わり そのまま 畑に撒くのかしら 家に固定式の雪隠は なんどか 肥え取りにしなくてはなりませんが これはそのままで即肥え取り

雪隠の面白き小噺

上野不忍弁在天のご開帳 多くの人なれども この地清浄につき 小便大便 相成らず 不自由なれば 貸雪隠屋の儲け時 一人五文なればおびただしき銭儲け これを見た 近所のしわき男

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                いいかね 旦那 大ですか 小ですか 


 俺も一つ銭儲けせしと 女房が止めるのもなんそのの 今まではやった雪隠屋の隣に 雪隠を設ければ あら不思議 いままでの雪隠に行く人おらず 新しきこの男の雪隠ばかりお客が入り

こればかり大繁盛 女房不思議がりそのわけ問いただす 男言うよう、何簡単さ お客が来れば急ぎ隣の雪隠に入り込み 咳をすれば お客は俺が雪隠ばかり入るものよ

これは怪しからぬ話 従前の男 腹を立て 雪隠に工作、板を踏めが落ちるようしたれば あく
る朝 しわき男 その雪隠に入れば ドボーン 臭き肥え壷に落ち込み 糞まみれ うえ、臭さ

ー (「同上書p64~65」から)
あはは 傑作なお話  明和の「鹿の子餅」なるに載せたりしお噺とか 由緒正しきお噺なのだ

臭き話ばかりでは恐縮 ここで綺麗なるお花のお話も 木蓮の花 最初 きれんと読むのかと最近よく町並みの街路樹に 綺麗な花を咲かせておりますね 春の代表的なお花 大ぶりな紫色の

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                     紫木蓮 ゆ~ら ゆ~ら 


花がゆったり開いてゆらゆら 貴賓がありますね 


           はくれんの 無垢極まりし 過疎の村


                          竹 内 こうぞう

             (「花の歳時記 春」 監修 鍵和田 釉子 講談社 p40) 

     
木蓮科の漢名である「木蘭」の音読み「もくらん」が「もくれん」に変化したもの 漢名の「木蓮」は、花が「蓮(はす)」に 似ている木からとか

木蓮は、地球上で最古の花木といわれており、1億年以上も前(!)から すでに今のような 姿であったらしい 

花言葉は 「自然への愛、持続性」(木蓮) とか (以上 「季節の花300」から)」)