抒情童話

テーマ:

 ポール ギャリコの「雪のひとひら」。。

小一時間もあれば読み切れる抒情童話
(大人向けの珠玉のファンタジー)です。

簡単? いいえ 内容はとてもとても
深いお話です。。

この作者は ニューヨーク生まれ
スポーツライターを経て作家さんに
なられました。 作品は代表作としては 
「スノーグース」 
その他 猫を主人公にした「ジェ二ィ」
映画で有名になった「ポセイドンアドベンチャー」 
ちょっと楽しい「ハリスおばさん パリへいく」
などなど。。

ひと雫の水滴の 長い長い旅のお話ですが
それは同時にごく平凡な女性の一生を意味して
います。

生れたての新鮮な記憶の中での不思議な体験?!
そして女の子は やがて大人になって恋を知り 
結ばれ 家族ができます。ところが。。 

ひとひらは たくさんたくさん考え悩み そして 
生き抜きます。 

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またネタバレになるけど 大好きなお話なので
開演のベルを鳴らします~♪ (^^)v

ある寒い冬の日 地上をずっと離れた
空の高みで 雪のひとひらは生まれます。。

そして何千何万という兄弟姉妹たちと一緒に
落ちる・・落ちる。。 地表を目指して。。

自分がいったいいつ生まれたか どうして生れたのか
ひとひらには見当もつきません。

ひとひらは考えます。自分はこれまでどこにいた
のだろう これからどこへ行くのだろう。。

凍てつく風は何も答えてくれません。

まわりには 同じ日に生まれた兄弟姉妹たちが
自分と同じように 舞いおりて行くだけです。
ひとひらはとても寂しい気持ちになります。

でもその時ひとひらはふと感じます。誰か自分を
とても案じ気遣ってくれる優しい存在を。。謎は
何一つ解けたわけではないけれど ひとひらは
それだけで安心して元気に地上めざして降りて
行くのでした。


ひとひらの兄弟姉妹たちは 何百万という数
なのに誰一人同じものはいません。その命を
創造した人は よほどの知恵ある方と 彼女は
思います。

ある小さな村に降り積もったひとひらたち・・
それは春の終わりの頃でした。 夜の闇で暗かった
空は やがて夜明けを迎えバラ色に染まり この
地表をそれは美しく変貌させていきます。 その
あまりの美しさに ひとひらは声を上げて泣き
出したくなりました。

雪融け。いよいよ旅の始まりです。 まだ
ひとひらにはわからないことがいっぱいありました。 
なぜ 自分はここにいるのか 自分はいったい何者
なのか。でも 地表は春の雪解けを迎え そんな
ことをゆっくり考えている暇もないくらい 楽しさ
と美しさに満ちていました。

中略

小川を下る途中も いろんな経験をします。
あの牝牛は? あの女の子は? ひとひらは
いろんなことを考えました。そしてそのたびに 
これらの美しいものすべてを作り出した 
温かい配慮の創造主のことを想うのでした。


笑ったり泣いたり 疑問に思ったり 川辺の
可愛い子供たちや花たちに心で投げキッスを
おくったり(笑) ひとひらは流れを下って
行きます。

※ この間の川辺の景色や出来事は 作者ポールギャリコ
  さんによって それは美しく抒情的に描かれます。

ある時は水車に巻き込まれたり ちょっとした
冒険も。そのうち 最初に降り立った村もどんどん
遠ざかり ひとひらは大人の女性になっていきます。

ただ その間も ひとひらはずっと孤独を感じ続けます。
まわりに同じような兄弟姉妹がいても変わりません。 
それはみんなそれぞれに自分のことしか考えていない
仲間だったからです。

中略

そんなある日 誰かが声をかけてきます。
「やあ 君はきれいだね 雪のひとひら君でしょう?」
ひとひらがあわてて声の主を探すと
「ここだよ。雨のしずくです。」と。。
そこには 梨型をした逞しく姿形のよいひとしずくの
水滴が!? 雨のしずく君。ひとひらの夫になります。

それから二人の旅が始まります。 しずく君は
ずっとひとひらのそばに寄り添います。
ひとひらは もう嬉しくてたまりません。
思いやりを示してくれる相手がいつも
そばにいてくれるのは とても快いこと
でした。

汽船やボートに巻き込まれそうになっても
二人だともう怖くはありません。

ある日 雨のしずく君が言います。
「おや この頃僕たちのまわりで 可愛い
声がするよ」

子供たちが誕生です。雪のしずく 雨のひとひら 
雪のさやか 雨のしずく二世・・・。

ひとひらは子供たちにいろんな生きる知恵を
教えます。迷子にならないように 見張ったり
橋や船をくぐるときの手のつなぎ方など。。

そんな忙しさの中でもひとひらの目に 周りの
景色はとても美しく見えました。 夕暮れにうかぶ
お城のシルエットや 賑やかなカフェレストラン
の様子など。。

ずっと続くと思っていたそんな幸せな暮らしが終わり
やがて彼女の人生に最大の危機がやってきます。

中略

戻ることは不可能。。ものすごい勢いで暗いトンネルに
吸い込まれる中で ひとひらは 雨のしずく君の最後の
声を聞きます。「頑張れ! 全力を尽くせ! 負けるな!」 

その声でなんとか切り抜けたひとひらと子供たち!
しかし 雨のしずく君は心身共に深手を負い
この後 ひとひらの傍らから姿を消すことに・・。

いずれ取り上げられるものなら 何故
彼は彼女に与えられたのか さよならを言う暇も
なく 彼を彼女から取りあげたのは何者か? 
ひとひらはまた考えます。

彼女は泣きました。彼なしでこの先どうして
耐えられるだろう・・そこへ子供たちが取り囲み
言います。「泣かないで お母さん 僕たちが
そばにいますよ。絶対に離れません。」

もうすっかり成人した子供たちが 彼女の
それからのすべてになりました。

中略

時は流れ 川幅はすっかり広くなり 水には
川底から舞い上がる泥が混じるようになりました。
ひとひらも子供たちもだんだん同じ色に染まって
いきました。 それでいて子供たちはまだ見ぬ
未知のものに興奮する様子でした。

彼女はこれから行く先を想うとき 心の奥底で
この子供たちとの別れを悟りました。 その日が
くれば 子供たちは母との約束を反古にして 
それぞれに旅立つでしょう。 そしてひとひらは
独り 彼らに託した美しい夢とともに取り残される
のです。

いよいよ海へ流れ込もうというとき 大河は
五本に別れます。

子供たちはほんの一瞬 ひとひらに別れを
告げるために立ち止まりましたが あとは
てんでに違った道を選びます。 子供たち
は 母の頬にさっと別れのキスをするのが
精いっぱいで これからの自分たちの未来に
気もそぞろ。

ひとひらは ただ一人 真紅に染まる西の
わだつみをめざし進んでいきます。


海は底知れず すべてが大規模で 絶えず揺れていて 
塩辛く・・・それはひとひらには涙の味に思えました。

何日も海を漂い 一日に何回も大きな貨物船や客船に
押しのけられるうち ひとひらは 「私はとても
つかれてしまった」としみじみ思うのでした。

時に嵐も・・ひとひらを息も絶え絶えになるほどの
恐怖でもみくちゃにします。

凪の海 それはそれで ひとひらを最も孤独にします。
雨のしずくも子供たちもいなくなった今 ひとひらは
本当の孤独というものをつくづく学びます。。

来る日も来る日もこうして海を漂ううちに
ひとひらは どうも身体が弱ったような気が
してきます。

興味のあったことも 大小問わずあらゆるものへ
感じていた喜びも しだいに薄れていきます。

自分の終わりは近い・・そんなことを思いながら
それでも彼女は 夕映えの空を眺めたり 月影を
見守ったり 空を渡る鳥に声をかけたり 夜空に
瞬く星を数えたりするのでした。
 

とうとう その日。。
彼女の体が軽くなり 少しずつ浮いていくのを
感じます。流動体の身体が失われ 少しずつ
無に帰るのです。

その時ひとひらの胸に幼いころの疑問が
蘇ります。


何ゆえに? 何を目当てにすべてなされたことか?
何より はたしてこれは何者のしわざなのか?


海面が眼下に遠のき 自分の体がだんだん消えて
行く中で ひとひらは考え続けます。

その時ひとひらは自分の故郷が雲の上に
あったことを思い出します。同時にこれまでの
自分の全生涯を走馬灯のように思い出します。

彼女の生涯は本当につつましいものでした。
ささやかな雪のひとひらにすぎません。
片時もそれ以上でもそれ以下でもありません。
でもこうして振り返ってみると 彼女は常に
自分が必要とされ役に立つものとしてそこに
居合わせたことに気づきます。

野の花に水をやり 蛙を憩わせ 魚を泳がせ
火事を静め 巨大な船の運航を助けたのです。
彼女の生涯が奉仕を目指していたことを
今悟ります。。生まれ落ちて彼女の身に起きた
すべてのことが なんと思慮深く 無駄のない
美しい見取り図として描かれていたことか

またどんなものも無駄 無意味なものはなく 
すべてが造り主によって見守られていた。
そのことに気づいたのです。

そしてそのものが何者にせよ そこへ帰っていこうと
している自分を悟ったのです。

天に上るひとひらが 最後に消え行く意識の中で 
聞いたものは・・・。。空と天に玲瓏と響き渡る 
懐かしくも 優しい言葉。。

「ごくろうさまだった 小さなひとひら・・・
ようこそ お帰り。。」


本のイメージを壊したくなくて できるだけ
翻訳の言葉を抜粋 使いました。

ながながとお付き合いいただきまして
ありがとうございました。(^_-)-☆
 

 

感想は・・いろいろ入ってくる。 まずは自分で
確かめてみようと 少し曇り空の秋の一日 映画館へ。。

夏休みもとっくに終わり 平日ということもあって
館内は 閑散。 人はほとんど気にならない。

さっそく席に座り 数本の予告のあと いよいよ
開始。

どこかの街中 人がいない。 が突然銃声が響き
最初に画面に出た若者のグループが次々に撃たれ 
若者1人が生き延びる。 リアルの迫力。。

敵の姿は見えないが 空から舞い落ちるたくさんの
ビラが 連合軍40万人がダンケルク(地名?)に
追い詰められ ドイツ軍に包囲されているという
過酷な今の状況を伝える。

かろうじて生き残った若者が逃げた目線の先に広がる
海岸線と 救助船を待ち行列をつくる味方の兵士たち。

指揮官らしき人たちの会話から 彼らを救う救助船は
一隻しか出せず それも数度しか来ないことを知る。 
一方救助を待つ兵士たちは40万人。 せいぜい救えて
3~4万人か それでも救えるだけ 救うんだという
指揮官の声が・・。

空! 3機の空軍の飛行機が 敵機からの攻撃を防ごうと
空中戦を繰り広げる が 味方も一機 二機と攻撃を
うけ 墜落。

同じ頃 ドーバ海峡の向こうイギリス領では政府の
要請ではなく この危機を知った民間の人たちの救助
作戦が始まる。 「我々の代わりに戦ってくれている
兵士たちを見殺しにできない」との父親の意見に賛同・・
自分も何か手伝いたいと参加する17歳の息子。。

始まってすぐに気づいたのは・・・この映画は 
主人公がいてそれを中心にストーリーが進行して
いくのではなく 同時進行でいろんなシーン 場面
が細切れにつながり そして同じ方向へ進んでいく。

この展開に 最初は少し慌ただしさや違和感を
感じたが やがてなれた。(^^)v そう 一端戦いが
始まると こんなものかもしれない。 いろんな
ところでいろんな人の命を懸けた物語が刻々と進行して
いく・・・その集合体?!それが戦争の現実?

やがて救助船が来るが・・・。

生き延びるために行列にずるして並ぶ人 嘘をつく人
死んだ人から無遠慮に物を盗む人 死を前にいろんな
人間の本性が描き出される

みんな 自分だけは生きて 故郷へ帰りたい・・
懐かしい元の日常へ と願う気持ちは同じ。。

時々敵の攻撃(空襲)がある。爆撃が地に伏せる
人々の運命を分ける。 敵機が去った後 立ち上がる
ひと そのまま絶命するひと。

一方 救助船も敵機にやられ沈没?! その時悲壮感
漂う指揮官たちの目に 海の向こうからやってくる
たくさん船影が。。 

敵だとするとこれで万事休す!
双眼鏡を手にした指揮官が 確認後 部下に呟く。
「あれは・・・故国だ」

ここで個人的な感想を言わせていただけると もう
感動でした。 (^^)v

漁船から 個人のクルーザーから たくさんの
人の善意を乗せた小さな船が それも命を懸けて 
彼らを救うため ドーバーを越えてやって来る。 

もちろん敵機のターゲットになるのだが 最初に
海に落とされ救助されていたパイロットが空を
見上げて祈る。 「行け OOOO!(仲間の名)」
人々の祈りもきっと同じ。。 そして 空軍の最後の
生き残りの一機が 見事敵機撃墜! 人々から歓声
(どよめき)が上がる。

※ このヒーローは燃料切れっで みんなのいなく
  なった浜辺に着陸。。その後 ドイツ軍に捕まり
  ます。でも きっと彼は覚悟の上の行動ですね。

結果 最初の予想を超え30万人以上の人々が
救われたそうです。

その他にもいろいろ見どころが・・・。 

こういう危機の時だからこそ キラリの光る
人間の優しさもあり。もう主人公など誰でもよいな
と思いながら 見終わりました。 (^_-)-☆

なかなか良い映画です。
ぜひ 皆様も見られては?(^^)v