近況

神奈川県のコロナ感染者は、東京に次いで多く、いまだ減少に転じる気配もない。今日、散歩の折り、偶然通りかかった、いつも友人たちと集まってランチをしていたお店が、閉店・廃業になっていた。とても寂しい。月一回ほど、このレストランで4~5人の友人と昼食をとり、その後2時間ほど近くの「カラオケボックス」へというのが、1年前の日常だった。そんな当たり前だった日常が、もう戻ってこないかもしれないと思うと、やはり寂しいものだ。

先日は、学生時代の友人から、オンライン飲み会ならず、オンライン「茶話会」に誘われて、久しぶりに画面越しとはいえ数人の同窓生と顔を見て話すことができた。が、友人たちと直接に顔を合わせて、一緒に食べたり話したりすることは、ここ1年はない。

在宅勤務の夫は、週1回とはいえ、出勤して同僚たちと顔を合わせ話す機会があるが、私の方は、普段は、まったく夫と二人だけの生活だ。二人で、絶対感染しないようにしようと言い合いながら、なんとか、自分たちを楽しませながら暮らしている。

 また、先日、移植後の定期的通院のため病院へ行ったら、主治医(私より若い女性)が、開口一番「ユヅ君、凄かったわね」と言う。私が、羽生さんファンであり、移植後1年目に埼玉の世界選手権に行きたいと言ったら、「薬の飲み忘れだけは注意してね」と言って、お許しを出してくださったありがたい先生なのだが、私が羽生さんファンであることを知ってか、行くと必ず羽生さんの話がでる。羽生さんの話を出すのは、患者である私とのコミュニケーションを円滑にするためかと思っていたが、今回は、「表現力が素晴らしいのよね。他の人たちとは別格だったわ」と、熱く語り始めて、こちらが驚いた。これは、先生もファンだなと思った。私の6年以上にわたる羽生語りのせいか、もともとファンであったのかは、分からないが。先日書いたように、普段フィギュアスケートに関心のない友人からも、全日本で優勝が決まった直後に「羽生凄い・・・」というショートメールが来たことも含めて、今回のプログラムには、一般の人々をも感動させる何か、表現力のエッセンスのようなものがあったのではないかと思われる。

 

ANA 試練の翼

 今週の月曜日(118日)、NHK2245分から「ANA試練の翼」というドキュメント番組があった。羽生さんを、長年サポートしてくださっており、彼を「金のなる木」のように扱わず、アスリートとしてリスペクトしつつ支えてくださっているという意味で、ファンとして感謝の気持ちがあるのは、もちろんだが、それを抜きにしても、社長をはじめ経営陣の方々の見識の高さ、社員一人ひとりの自律性と誇りの高さ、そして何より社員たちの一体感が、大変印象に残るいい番組だった。(録画を取ってなかったので記憶違いがあるかもしれませんが)

  最初に社長が「従業員46千人の雇用を守ることを最優先に考えていく」と話すところから始まった。従業員の雇用を守ることは、政府も、企業に第一に要請したことでもあり、その意味では当然なのかもしれない。それでも、現実の経営状況の苦しさから、非正規従業員から辞めてもらい、ついに倒産して従業員全員解雇という中小企業も少なくない。ANAは大企業だ。46千人という数は、連結部門を含めたグループ全体の従業員数だ。正規社員のみならず、契約、派遣といった非正規で働く従業員も含まれているはずだ。その人たちを全部ひっくるめて、絶対雇用は守りますよと、社長・グループ代表が保証してくれたら、従業員としては、どんなに安心するだろう。私なら、危機に直面しても、そう言ってくれた会社のために、苦労を厭わず一生懸命働くだろう。

 実際、番組では、それぞれの立場で一生懸命働く様々な部署の人々を紹介してくれた。

 乗客が減っても損失を最小に抑えるように、適宜欠航便を決める役割を担う人々、経費を抑えるために、機体を売却して少しでも多くの利益を得ようと働く人々、もう廃棄され解体される飛行機の最後のフライトまで、丁寧に愛おしむように整備をする整備部門の人たち、収入を少しでも増やすためファーストクラスの機内食を販売したら、よく売れて、今は調理部門の従業員全員総出で、この販売用の機内食を作っているという話、地上勤務の人が今は、空港でコロナ対策のための案内・誘導に従事していること、客室乗務員が、地方自治体職員として出向した話もニュースで聞いた。

 従業員の皆さんは、今、それぞれの部署でできること、やらなければならないことを、使命感をもって行っており、それぞれが責任を果たせば、いつかANAが未来を向いた時には必ず自分たちの苦労も生き、会社の役に立つと思って、仕事をしていることがうかがえた。

 もちろん、従業員の前向きな姿に焦点を当てているのだろうが、率直にいい会社だなと思ったし、会社が、こうした個々人の自覚的な使命感や情熱、自律的な働きによって成り立っているのだからANAは強いと思った。そして、こうした従業員を育てたANA経営陣の見識の高さは、大変際立っているように見えた。

 羽生さんは、よきサポーターに恵まれたのだなと、心から嬉しく思った。ANA の皆さん、ありがとうございます。