あしたへのはじまり
広尾商店街で皆様に愛されてきた中原淳一のお店
「それいゆ」は、
本日6月27日、移転のため、この場所での
最後の営業を終えました。
13年前、この場所にお店を作ることを決めたとき、
広尾の街は、今とはずいぶん違いました。
カウンターでコーヒーを注文するカフェも、
コンビニもなくて、
おそらくは淳一さんの時代からあったであろう
歴史のある小さな商店が軒を連ねる中に、
少しずつ新しいスタイルのアパレルショップなどが
出来始めて、
新旧がうまく混ざり合った
素敵な街でした。
淳一さんのお店がここにあったらいいだろうな、
と、私達は思ったのです。
13年の間にこのお店で働いてくれたスタッフは
30人あまり。
短期募集で来た人、店長募集で来た人など、
期間もさまざまでしたが、
みんなの熱意がリレーされて
今日までの月日が紡がれて来たと思います。
この間にお店に入って来てくださったお客様の数は
延べにして10万人を超えるでしょうか。
本当にたくさんの人たちに支えていただいたと
心から感謝しています。
再開発って、誰に向けた言葉なのでしょうね。
場所は移っても、同じ広尾の一員として、
これからも広尾商店街が多くの人に愛される場所で
ありつづけてくれることを願っています。
さあ、後ろを振り返らずに、
新しいお店の赤いドアを開けましょう!
いま、古いと言われている人間の習慣や
生き方のなかには、
事実、切り捨てなければならないようなものも
数多くあるでしょう。
しかし、そんなものばかりではないはずです。
何千年もの長い年月を生きてきて、
その積み重ねから、
人間を一番しあわせにする
基本のようなものが出来上がってきて、
それから今日まで続いているものなら、
それは、人間という動物の本質的なものだとも
言えるのではないでしょうか。
だから、ちょっとした興味本位な思いつきや、
無責任に作り上げられた風潮で
「そんなの古い」と
片づけてしまえないものもたくさんあるはずです。
「いつまでも古くならないもの」
それこそがむしろ
もっとも「新しい」ものだとはいえないでしょうか。
昭和46年
中原淳一