『DOGMAN ドッグマン』 愛と暴力、神の名において…… | himawari's diary

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鑑賞日 2024年3月10日(日)
 
 
製作年 2023年
 
製作国 フランス
 
言語 英語・スペイン語(歌にフランス語もあり) 日本語字幕
 
尺 114分 
 
公開日 2024年3月8日(金)
 
原題 DOGMAN
 
レイティング PG12
 
配給 クロックワークス
 
 
スタッフ
 
監督・脚本 リュック・ベッソン

音楽 エリック・セラ
 
 
主なキャスト

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ:ダグラス(ドッグマン)

ジョージョー・T・ギッブス:エヴリン(精神科医)

クリストファー・デナム:アッカーマン(保険会社勤務)

リンカーン・パウエル:青年期のダグラス
 
 
概要
 

映画史に刻まれる愛と暴力の切なくも壮絶な人生 

『レオン』のリュック・ベッソンが、実際の事件に着想を得て脚本・監督を務め、第80回ヴェネツィア国際映画祭では「ベッソンの最高傑作!」と大絶賛の嵐を巻き起こしたバイオレンス・アクション。


“ドッグマン”とは何者なのか?


ある夜、普察に止められた一台のトラック。

運転席には負傷し、女装をした男。荷台には十数匹の犬。

“ドッグマン”と呼ばれるその男は、半生を語り始めたー。

犬小屋で育てられ暴力が全てだった少年時代。

犬たちの愛に何度も助けられてきた男は、絶望的な人生を受け入れて生きていくため、犯罪に手を染めてゆくが、

“死刑執行人”と呼ばれるギャングに目を付けられー

(引用元:公式サイト)

 
 
感想

主人公のダグラス(ドッグマン)に、

どれだけ共感できるかで、

好みはわかれそうです。

個人的には、リュック・ベッソン監督の

最高傑作とまでは思いませんが

割と好きだし、ラストの

ダグラスと犬も印象的でした。


不思議な内容ではありますが、

「事実に件に着想を得た作品」であることで、

より興味が湧きました。

リュック・ベッソンが得意とする、

孤独で救いのないダークヒーロー像が

描かれています。

初期の『サブウェイ』とか『レオン』などを

想起させる雰囲気が少しありました。

神に問いかけるも、

結局犬だけが救いかつ理解者である、

ダグラスですが、彼の心を少しだけ開いた

精神科医のエヴリンには、似た痛みを

感じたというのも切ないところ。

実際、彼女はDV夫と別れたシングルマザー。

エヴリンの母親によると、

父親もエヴリンの夫に似たタイプだった、と。

エヴリンがダグラスと話した後、

前向きに生きようと強く決意するのは

救いのあるシーンでした。


少年時代のダグラスの父親と兄は

本当にクズで最低。

そんな彼らのせいで、

ダグラスは左手の小指を失い、

更には脊髄損傷で、

車椅子生活を強いられることに。

短い時間ならなんとか立ったり

歩いたりできますが、

脊髄が漏れ出すなどの命の危険もあると。

歩くことが前進ではなく、

死へ向かう歩みであることに、

緊迫感を感じました。


アクションは少ないと思ったのですが、

終盤では銃撃戦もありました。

トラップを仕掛けた自宅でのバトル、

そしてとっても賢い犬たちの活躍は

たくさんあり、楽しく観られました。


ダグラスがドラァグクイーンとして

活躍する様子は少ししか描かれていませんが、

ステージでエディット・ピアフに

なりきる姿はなかなか感動的でした。

ドラァグクイーンとなるキッカケは

やや弱いかもしれませんが、

少年時代からのことを順に思い返すと

なるほど、と。

マリリン・モンローに扮した姿で

頭から流血しながら赤ワインを飲むシーンは

あるトラップとも繋がり、痛快でした。


ダグラスが好きだった母親の姿は、

ヨーロッパの音楽のレコードを聴きながら

キッチンに立つところ。(舞台はアメリカ)

夢のようなこの時間が、

DV父親が帰宅すると全てぶち壊されるのには、

かなりムカつきました。

ただ、それでもダグラスは母親の影響で、

音楽が好きになったことはよかったし、

ステージでノスタルジックな

フランスの雰囲気を醸し出すのは素敵でした。


そして、音楽担当はエリック・セラ。

エンドロールまで聴き入ってしまう

楽曲の数々でサントラが欲しくなりました。


ところで「DOGMAN」 というネーミング、

ダグラスが「IN THE NAME OF GOD」と

書かれた文字を裏から見て

ふと気づくというシーンがありました。

それと、ラマルティーヌの言葉が

引用されていたのも印象的でした。