
今回の香川では、イサム・ノグチ、流政之、ジョージ・ナカシマ。
一日で、この三人にゆかりのある場所を回ってきました。
名前を聞いても「誰だろう?」という方もいると思うので、まず簡単に三人をご紹介します。
イサム・ノグチ
彫刻だけでなく、庭園、家具、照明、公共空間まで幅広く手がけた日系アメリカ人の芸術家です。
代表的な照明作品「AKARI」は、作品名を知らなくても、どこかで目にしたことがある方も多いかもしれません。
※イサム・ノグチ庭園美術館は庭園内の撮影はできません。
流政之(ながれ・まさゆき)
石を使った力強い作品で知られる彫刻家。
香川の庵治石と石工たちの技術に深く関わり、国内外の公共空間にも多くの作品を残しました。

ジョージ・ナカシマ
木が本来持つ形や節、割れまで生かして家具を作った日系アメリカ人の家具デザイナー・木工家です。
木を無理に整えるのではなく、「木そのものを読む」ような家具は、現在も世界中で高く評価されています。

それぞれ全く違う表現をしているのに、三人の足跡を一日でたどってみると
不思議と一本の流れとしてつながって見えたのが、とても印象に残っています。
香川には、かつて「デザイン知事」と呼ばれた金子正則氏がいました。
戦後の香川で、芸術や建築、工芸、デザインを行政の中に取り入れ
多くの芸術家や建築家との交流を育てていった人物です。
そこから猪熊弦一郎、丹下健三、イサム・ノグチ、流政之、ジョージ・ナカシマなどへ
人と人との縁がつながっていきます。
今回、実際にそれぞれの場所で話を伺って面白かったのは
三人とも最初から、「香川で活動しよう」
と自らこの土地を選んだというより
人に誘われ、人との縁に導かれるように香川へたどり着いていたことでした。
人が人を呼び、その人が土地と出会う。
そして、土地と職人が作品を変えていく。
そんな流れだったのではないかと思います。

イサム・ノグチには庵治石があり、そこには石を扱う職人がいる。
流政之もまた、石と職人の技術の中で作品を生み出していく。
ジョージ・ナカシマの家具も、木そのものの形や個性を生かしながら
香川の木工職人の技術によって受け継がれていきます。

単に、
「有名な芸術家が香川で作品を作った」
ではありません。
実際に現地に立つと、香川の山と海の距離の近さ
瀬戸内の穏やかな光、石や木といった素材、そして職人の手仕事。
そうしたもの全部が、作品の背景になっているように感じます。
香川という土地と人が、芸術家の表現を育てていった。
そんな感覚でした。

今回は時間の都合で、この三人を巡るだけで終わってしまいました。
でも香川には、まだ見たいものがたくさんあります。
丹下健三の建築、四国村、さまざまな美術館。
そしてもちろん、
うどんも、まだまだ食べ足りません。

香川というと、まず「讃岐うどん」のイメージが強いですが
実際に歩いてみると、建築、工芸、彫刻、家具、そして土地の風景まで含めた
とても深い文化があることが分かります。
今回の旅は、その入口を少し覗いただけだったのかもしれません。
また香川に行きたい。
次はもう少しゆっくりと、作品だけではなく
そこにある町や風景、そして人のつながりまで味わってみたいと思います。
今回訪れた三つの場所について、詳しく知りたい方はそれぞれの公式サイトもぜひご覧ください。
イサム・ノグチ庭園美術館
牟礼のアトリエや住居、彫刻庭園などが、生前の雰囲気を残したまま公開されています。見学は予約制です。
イサム・ノグチ庭園美術館 公式サイト
NAGARE STUDIO 流政之美術館
流政之が実際に暮らし、制作を続けた住居兼アトリエ。現在も予約制の見学ツアーで公開されています。
NAGARE STUDIO 流政之美術館 公式サイト
ジョージ ナカシマ記念館
ナカシマの家具や図面、手紙などを展示し、その思想と仕事を伝える記念館です。桜製作所が運営しています。
ジョージ ナカシマ記念館 公式サイト
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