SNSの時代到来で、身体醜形障害が増える!?
昨今はSNSが普及し、
憧れや理想の顔の写真を簡単に手に入れる時代になりました。
そのためにより理想が高くなってしまい、
自己評価や自己肯定が低くなってしまう場合が増えると、
私は予想しとても懸念しています。
そこで今回は何度かブログで解説していますが、
今一度「身体醜形障害」について解説します。
身体醜形障害(body dysmorphic disorder ; BDD)とは
「一つまたはそれ以上の外見上の欠陥や欠点にとらわれるが、
それは他人には認識できないかできても些細なものに見える。
そのとらわれに対し、繰り返し行動や精神的行為などで無駄に時間を費やし、
社会的機能障害を引き起こす」と定義されています。
*定義の参考は【日本精神神経学会:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル】医学書院,東京,2014
それではその特徴から治療までまとめましたのでご覧下さい。
【BDDに多いタイプ】
・容姿が整っている(綺麗な人やイケメンに多い)。
・学術にたけている。
・自己評価・自己肯定が著しく低い。
・周囲からの肯定的な意見や、評価(綺麗ですね、格好いいですねなど)を
受け入れることができない。
【BDDになりやすい性格】
・完璧主義
・負けず嫌い
・頑固
*このような性格が原因で、誰にも相談できず1人で悩んでしまうことが多くなります。
【BDDの素因】
・母子関係に原因があり、幼少時に母親との関係が上手くいっていない場合、
あるいは母親との関係は上手くいっているが、
その容姿が綺麗で憧れが強く、自分と比較してしまい発症することがある。
・兄弟・姉妹などに容姿が綺麗あるいは優れた人物がいて、
自己あるいは他者から比較された経緯がある。
【BDDの特徴的行動(強迫症状;確認行動・繰り返し行動)】
・繰り返し鏡をみる。
・写真を撮る(自撮り)。
・ネット検索を繰り返す。
・ドクターショッピングを繰り返す。
・他者が自分の気にしている部分をみている気がしてマスクがかかせない。
・費用や労力(遠方からでも受診する)をおしまない傾向がある。
*5mm以下の凹んだ傷がある場合には、太陽光や蛍光灯により、いちばん目立つ角度を知っていて、
鏡や写真で何度も確認してしいます。
【BDDの症例が安易に美容手術を行うと】
・手術に完璧を求めるあまり、繰り返してしまう。
*特徴的な例として、マイケル・◯ャクソンは、鼻の整形を繰り返し、一時期は形態がとても綺麗な時期があったが、
満足できず完璧を求めるあまり整形を繰り返し、結果的に良い状態ではなくなってしまった。
・手術などを繰り返すために美容外科費用がかさんでしまう。
【BDDの症状を改善するためには】
・諦めるのではなく、妥協点を見つけ自己を受け入れることが重要になる。
・鏡をみる回数や、
ネット検索(SNSなどで憧れの写真を極力探さないように心がける)を控える。
・手術(*1)を行う。
(*1)手術は身内・親友など未成年でなくても第三者を連れてカウンセリングを受け、
医師・本人・第三者が納得した場合のみ行います。
・治療のゴールが狭いとまた繰り返すので、治療のゴールを広げる。
・手術の成功のみを考えるのではなく、リスクなどが存在することを理解し、
過剰に期待しないことが重要である。
・重傷の場合は、薬物療法(択的セロトニン再取り込み阻害剤selective serotonin
reuptake inhibitors ; SSRI)(*2)
(*2)薬物療法は心療内科・精神科医の受診が必要になります。私はおすすめしません。
理由は依存する傾向があるからです。
身体醜形障害(BDD)は理解されがたく、
また知らない医師も多くステップを踏まずに安易に施術を行い、
BDDの発症を惹起、あるいはBDDの症状を悪化させてしまいます。
自分は自分として、諦めるのではなく、受け入れることも大切です。
また美容外科手術を憧れに近づけたい手段とするのでなく、
今の状態よりもより良くしていくことに視点を変えていくことも大事だと思います。
丸山成一