肝斑〜炎症性のシミ〜
シミ治療を行う皮膚科や形成外科の先生なら、
一度は肝斑(かんぱん)の治療に手をやかれた経験もあることでしょう。
もちろん私もその一人ですが、
肝斑は炎症性のシミです。
日焼けやお化粧の際に皮膚をこするなどは、
火に油をそそぐことになるので、
炎症をさらに悪化させます。
従って日焼け・こすることは厳禁です。
それでは、肝斑はどこにできるのでしょうか?
肝斑は左右対称に生じます。
特に①の両頬部が多く、
②の眉毛直上や、③の上口唇の部分にも現れます。
肝斑の原因としては、
妊娠時の卵胞ホルモンなどの影響、月経不順、
経口避妊薬、化粧品、
閉経期や卵巣の腫瘍などで生じることもあります。
他には強い日焼けですね。
またレーザーや温熱治療は炎症を起こすために、
治療によって悪化する場合もあります。
そのため肝斑は診断が大切です!
肝斑と同じように頬部に左右対称にできるシミは間違いやすいです。
皮膚科や形成外科の専門医でも、肝斑の診断はとても難しいです。
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)や雀卵斑(そばかす)が非常によく似ています。
肝斑の治療は、トラネキサム酸などで炎症を抑える内服治療が基本、
一方でADMや雀卵斑はレーザー治療が基本になります。
従って誤診し、肝斑に対してレーザー治療を行えば悪化します。
*ちなみに肝斑と、ADMや雀卵斑との鑑別ですが、
ADMは1~3mm大の小班(青黒い)が独立し融合しません。
また雀卵斑は5~6歳から生じ、思春期に最も顕著に表れます。
腕や背中などにもできるので鑑別は可能です。
正確な診断、適切な治療を行わないといけません。
肝斑だと疑えば、肝斑に準じた治療を行うべきでしょう。
丸山成一