イラストレーター | h

h

h

3メートルはあろうかという大波が

その形のまま凍りついていた。

足元は真っ平らな氷。スケートリンクに似てる。

スケートリンク状の部分が広くあって、奥に大波の氷。

靴下スケートの要領で、靴で滑って遊んでた。

そこは屋外のように思っていたが、室内だった。

壁があることに気づいた。10畳くらいの部屋だった。

これは、展示室をいっぱいに使った作品だったのだ。

次の瞬間、部屋は何もない状態になっていた。

氷が溶けたんだ。それなら水はどこ行った?

あの氷は間違いなく水になったんだけど

水と氷とでは体積が大きく変わるそうで。

あんだけの氷でも、水になるとほんの一滴。

だから見えなかった。だから何もなくなったと思った。

 

地域の集会所みたいなところにいる。

畳敷き。ごちゃごちゃしてる。布団もある。

そこでゴロゴロしている。イラストレーターが隣にいる。

その人とは同郷。かつての想い人。一方的に惚れてた。

正月、帰省する度に会って性交する関係だった。

数年間、繰り返した。それ以上の発展はなかった。

もう何年も会っていない。連絡もとっていなかった。

今こうして会えたことが、とても嬉しい。

体を触られた。敏感なところを。気持ちいい。

しかし今の自分は既婚者だ。

他の人と何かあってはならない。

それは諦めなければならない。諦めたはずだ。

なのに、いざこういう状況になると・・・。

ちょっとは考えたさ。ダメだって思ったさ。

けどそんなのは、ものの数秒で消えてった。

「ま、いっか」とアッサリ身を委ねた。

 

だが、期待したようなことは起こらなかった。

今は、イラストレーターに爪をこすられている。

真っ赤に塗った爪を、何かの金属でこすられている。

マニキュアがまだらに剥げていく。

やめて。そんなやり方じゃ爪が傷つく。

こうやって、除光液で・・・と実践してみせたが

イラストレーターは既にどっか行っちゃってた。

 

意識が飛んだ。寝てまってたのかも知れない。

気づくと集会所にたくさんの人が集まっていた。

地域活性化プロジェクトか何かのメンバーだ。

イラストレーターはマイクを持って喋ってた。

プロジェクトのリーダーをやってるからだ。

やっぱり凄いなあ。尊敬しちゃうなあ。

 

 

鏡リュウジの夢占い [ 鏡リュウジ ]