第357回『意識・視野の拡大こそ幸福の鍵・仏陀の智恵:第2回』(2018年2月4日大阪 64min)

 仏陀=目覚めた人・智恵者の本質は、現代的に表現すれば、意識・視野の拡大であり、意識・視野の拡大が、大きな幸福に気づき、苦を解消する重要な鍵と講なる講義の第2回目。前回とは異なる視点、たとえ、エピソードで、一層明解・鮮明に語る仏陀の奥儀。


1.視野の拡大こそが、仏陀の智恵と慈悲、真の幸福に近づく道

(1)普通の意識・視野は、今の自分にあまりに限定されている。
これが、仏教が説く、全ての煩悩と苦しみの根源である「無智」の状態。
無智とは「今の自分さえ良ければ」、「自分が早く楽に幸福になりたい」といった心の状態。

(2)仏陀の意識・視野は、世界の全空間と時間に広がっている。
世界の全体・全ての生き物と、現在・過去・未来の全時間を意識する広大な意識

2.視野の拡大は、自他の区別を和らげ、過剰な欲望と苦しみを静める

(1)視野が拡大すると、全ては無常の認識が強まり、過剰な欲望が減る

未来を考えれば、自分も老い・病・死ぬから、体もお金や名誉も、全ては最後には失う=天に(地球に)お返しする、借り物であり、本当の意味で、自分のものなどはない(無我)

(2)視野が拡大すると、自他の区別が弱まり、自他の繋がり・万物への愛が強まる。

私の体も、少し前は他の生き物の体で、自分が死ねば、他の生き物の体になる。
ごちそうも、少し前は他の生き物の体→だから「いただきます」と感謝する・他者が死んで自分に、自分が死んで他者になり、生と死は絶えずセットで巡る
本当の自分とは、一体である宇宙の一部であり、宇宙全体に広がっているもの。

3.仏陀は、万物を恩恵・恩人を見て、万物に感謝する心の状態

(1)視野を拡大すると、自分が大変な幸運・恵みを受けていると気づく

①衣食住の保障がなく、天敵を持ち、思考し進歩することができない無数の生き物
②21世紀は人類史上最も恵まれた時代、日本は安全・長寿・富の三拍子そろった国
③更に、精神的な幸福に目覚めるための「法縁」がある。

(2)人として生まれるだけでなく、法縁を得ることは極めて貴重

人は、生まれても、法縁がなければ、気づく幸福、感謝の幸福に目覚めない
人は、場合によっては、動物以上の悪いこと(生存には不要な戦争)をする。