これも恋物語… 第2幕 19 | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

第2章 第3話


「アッ…そうだな、一応、友人になろうと思っているクラスメイトかな…」

「?」

突然の乱入者に男達は、顔を見合わせながら、ゆっくりと近付き始めた。手にしているバットがあれば大概の相手をのす事は可能だった。大体が、明らかに弱そうな優男、3対1で勝てないはずがなかった。それに自慢では無いが、その周辺では、名の通った不良をしている。喧嘩では、負ける予定がなかった。

「安藤…」

「よっ、人数が多いと大変そうだから、手伝いに来た…」

みなぎは、それが当たり前のようにいった。振り返り勇太郎を見もせずに、近付く男達の様子を見ながら、笑みを零して。それは、挑発だった。多勢だからこそ、挑発をする。それだけなのだが、はっきりといえば分が悪いので挑発をしている。

多勢の喧嘩の場合、壁を背にする事で、同時に相手をする事ができる人数が3人まで減らす事ができる。それは、あくまでも、身体が自由に動くという前提のもとで、だ。だが、バイクを支え、壁も無いところではそういう訳にもいかない。

できる事と言えば、相手を怯ませる努力くらいだ。それも、相手に一定の自信があれば、絶望的な程に通じない。

「なんで…お前が…」

「ん、通りすがりさ……まぁ、事情は後で聞くさ……少なくとも、俺が知っている見えている側のお前は…俺と違ってこういうのに絡まれるタイプだと思えないからさ…」

「……?」

「後で聞かせてくれよ…」

「カッコいいな、お前……俺達を倒せる事が前提みたいだけど…そんなに上手く行くのか?」

「どうかな…」

みなぎは、ボソッと言葉を零すと、地面についた足を軸にしてバイクを旋回させるように、アクセルを回した。ギギッギュッ。土をかみながらZZRは、タイヤを唸りらせ、土煙を立たせながら、その場で先回をした。廻すのは一度でいい。正確には、90度程度だ。一人なら、そのままバイクを走らせるのだが、今回はそういうわけにも行かない。まるで、そうするのが当たり前のように、スタンドを立て、バイクから男達の方へと向けて飛び込んだ。

「!」

気勢をつく。と、言うのはこういう事をいうのだろう。不意に飛び込んできた男に、取り囲んだ男達は動きを制されるように止まった。一瞬の隙、というのはこういう事をいうのだろう。瞬間に、足をかけ、仲間の身体を楯にするように殴りかかる。後は体制が崩れたのを見計らって、強そうな奴から倒すだけだが、みなぎは、転がったバットを手にした。

「まさか…」

「ん?まさかって……こんなもので殴られたら痛いよな…」

みなぎは、言いながら笑うと、力一杯バットを振り落とした。

がすっ!

「いてぇ…」

地面に辺りバットが宙に舞った。みなぎは、腕に伝わる振動を払うように手をブラブラとさせながら、バットの行方を見た。それをもう一度使うのだろうか。そういう不安がある。

「ま、まて…やめろ…死んじまう」

その驚いた声に何処かホッとする自分を感じながらみなぎは、男を見詰めた。別に殺しあう理由は無い。ただ、この後も絡まれ続けると思うと何処かで終えたい気がする。それが殺意になるわけではない。ただ、それに似たものになる。後腐れのない終わり方が必要だった。

「ん?喧嘩は、殺し合いだろう?次があったら鬱陶しいだろう…」

事も無げに冷めた目をしてみなぎが言った。それは、多分に本気なのだろう。それを平然と行うだろう。そういう目をしている。冷めた目は、何処までも冷たく見える。たぶん、喧嘩を続ければ、この男は、自分達を殺す。その考え以外思いつかない。

たぶん、この男と喧嘩する事は無意味な事だろう。理論ではない。何処かで、自分を支えているプライドの為だけに動いているのだろう。

「お。おい…行くぞ」

フラフラと立ち上がった男が残りの二人にいったが、一人は返事がない。みなぎがバットを頭ギリギリに振り下ろした男は、失禁して気を失っていた。その頭の横は、バットでしっかりと抉れている。もしもバットの振り下ろされた位置が、数センチずれていたら…そう思うと気が気でなくなっていく。

「終わり?」

軽いトーンでみなぎは、男に聞いた。

「あっ?…ああ……終わりだ」

「できればさ、何故、俺のクラスメイトが絡まれているのか教えてくれないかな?」

「………」

「次にあったら、誰か死ぬかもね…」

「脅すきか…」

男は、呟くように言葉を零した。

「別に…そういうわけではないけど…今回は、俺に軍配が上がっているけど、次は、人数増やすでしょ…同じ相手に二度負けたら拙いよな…と、なると、わざとはずすなんて芸当はできないだろうから、本気で殺す?それが精一杯かな」

「俺たちの兄貴分の妹が、その女だ……変な奴らが多いからな…蟲やゴミがつかないように……まぁ、彼女が選んだ相手なら、とも思うが、一応確認したくてな…ただ、守られるだけならまだしも、動けないまま、ではな……」

男は、溜息をつきながら言った。少しうんざりしているというよりも、寂しげだった。みなぎにやられた仲間たちの不甲斐なさもだが、それ以上に彼女の選んだ男の不甲斐なさに、なんとも言えない寂しさを感じていた。

「兄貴分?…ん?」


第2章 第1話

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