これも恋物語… 第2幕 18 | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

第2章 第2話


みなぎの元へと向かう間に賢治は、一真に事の発端を話しはじめた。

件の女性は、神崎梢。19歳の短大生だ。その相方にあたるのが、白鳥勇太郎。17歳のクラスメイトだ。勇太郎と賢治、みなぎは、高校に入ってからの友人だ。親友といっても過言は無いだろう。それほどに濃い付き合いをしている。

そのきっかけになったのがGWを境に行われる生徒会選挙だ。政治のようなマニフェストは無いが、それなりに公約のようなものが発生する。それをもとに全校生徒が投票をする。投票率100%が、学内選挙と政治の違いだろう。そこで、みなぎは、生徒会長に立候補した。中学時代からそれほど目立つ事をしなかったみなぎの行動に賢治は少し驚きながらも、お祭り気分で選挙応援などを一緒に行った。その選挙の対抗馬、それがクラスメイトの白鳥だった。

入学式以降、白鳥は、何かにつけてみなぎに絡んできた。と、行っても喧嘩を吹っかけるわけではない。何かにつけて対抗してくるだけだ。それも一方的に。それをみなぎは愉しむように退けてきた。生徒会選挙は、みなぎが仕掛けたゲームのようなものだった。

まさか、入学したばかりの1年生が当選するなど思ってもいなかった。が、みなぎは、生徒会長になり、白鳥は、次点で副会長になった。

賢治は、みなぎに内緒の話として、勇太郎のみなぎに対する対抗意識の原点を聞いていた。何気なくみなぎ断った新入生代表挨拶は、入試試験次点の白鳥勇太郎がすることになった。勇太郎にとって、それはプライドが傷付けられる問題だった。

トップ合格。そのつもりでいたのが、PTA役員を親がした為に知った事実。その屈辱を返上する為にもみなぎを一度は負かせたいと考えた。が、入学から半年、みなぎに勝てたためしはなかった。それどころか、みなぎに絡む理由を賭けて挑んだ学年実力テストでは、賢治にも負けた第5位だった。

そんな勇太郎を巡ってひとつのトラブルが起きた。勇太郎の家庭教師をし、同じ高校に進ませた神崎梢を巡るトラブルがあった。それが16の秋だった。

みなぎは、公園の入り口付近にバイクを止め、恋人の上沼由美と缶コーヒーを飲みながら休憩をしていた。珍しくお邪魔虫の新宮寺梢がいないので久しぶりののんびりデートだった。

「ねぇ、あれ…」

「ん?白鳥と……隣のおねぇさん、と言うわけには行かないわな…」

「いかないでしょうね…」

クスリと笑いながら由美はみなぎに凭れかかった。

勇太郎の隣でベンチに座り缶ジュースを呑んでいるのは、同じ高校の3年生。元生徒会副会長とは、みなぎも面識があった。

「いいですね…」

「あら、好みですか?」

「ん?雰囲気が……二人の」

「ん~…そうね……いい感じ…」

「!離れていろ…由美」

「うん」

みなぎは、ぶっきら棒に突然いうと真っ白なカラーリングのZZRを跨ぎ、エンジンをかけた。歩道とバイクを滑り困らせ、ウィリーを利用して、花壇の淵を抜け、公園内へ。砂で後輪を躍らせながら、一気に勇太郎のもとへと走りこませる。それだけだった。が、砂地の上でのコントロールは事の他大変だ。中学までやっていたオフロードバイクを使ったトライアルとは勝手が違う。

(また、首を突っ込んで…)

由美は、数歩下がりながら苦笑した。性格は簡単に変わらない。一応、危ない事や危険な事に関わらないと約束してくれた。1時間も前の事だが、既に忘れているようだ。もう数え切れないほどの約束をして、多少は収まっているが、それでも、他人事に首を突っ込む癖は治らないようだ。

「なんだ…お前は!」

罵声にも似た怒鳴り声が公園に響いた。みなぎは、勇太郎と梢を囲むようにして立つ三人の男の間にZZRを滑り込ませ、怒鳴られていた。


第2章 第1話

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