めぐり・・・あい(8) | 気紛れな心の声

気紛れな心の声

気がついたこと 不意に感じたこと とりあえず残してみようって^^…最近は小説化しているけれど、私の書き方が上手くなるように感想くださいね

(あれ……何処かで…)

「そして……触れる物は、その一部にしか過ぎない、そこにどれほどの才能があるのかは解らないけれど…才能は、何も、生まれながらにしてあるものだけじゃないと思うんだ…育っていく日々で学び勝ち取っていくものも少なくない…自分に背を向けなければ、きっと一杯見付かる…これ以上ないくらいに一杯ね…」

「そうかしら…」

「…昔、テナーをチャリティーコンサートで招いた事があるんだ…彼は、天才といわれていた…その人を招く為に使ったコネがあるんだけど……そのコネのキーマンが俺に言った事がある」

「………」

「アイツを天才と呼んでいいのは、アイツを超えられなかった者だけだと…」

「………」

「ずっと、解らなかった……俺のその一言で、テナーは失踪して、コンサート前日見つけた時、その人の言った言葉の意味がわかった気がした…」

「気がした?」

「ああ…俺なんかに解るわけがない…俺なんかが、解ったというのは、それこそ彼に対する侮辱だと思う…」

毅は、少し寂しげに笑みを零した。何処か悲しげな笑みを。毅の言うテナーが誰かは美紀にはわからない。何を言わんとしているかもわからない。でも、何かを伝えようとしてくれている。

「同じ土俵に立つものだけが、彼を天才と呼ぶ資格を得る……それは、俺がこの場所に来るきっかけの言葉だった…」

「………」

「いつか、伝わると良いな…君にも」

「…いつか、(いま知りたい)」

「俺も知りたいな…」と、了が美紀の後ろの席に座った。いつの間にか、舞台にいたメンバーが二人を囲むように陣取っていた。

「ブルースの神様は…日本に来ると」と、毅は、苦所を漏らしながら話しはじめた。「よく失踪をした…一ツアーで、一回程度のペースで……それが良いのか悪いのかは別にして、その人も、若くして天才と呼ばれた彼を天才と褒め、怒らせた事があったくち、俺と同じように探したらしい……そこで、見たらしい…俺と同じものを…」

毅は、言葉を区切った。何から伝えれば良いのだろうか。全てを伝えたところで何も変わらないだろう。何かを読み取ってくれるのならばそっちの方がいい。

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http://hikarinoguchi.ameblo.jp/day-20050325.html