【0】はじめに
【1】オウム・麻原信仰からの転換・脱却のプロセス(1)
1 転機となった出来事――宗教テロの原因への気づき
2 オウム脱却のプロセスを振り返って
(1)上祐代表によるアーレフ発足(2000~2001)
(2)麻原彰晃とわたしの魔境
――ヴィジョン至上主義という問題(2001~2003)
(3)新しい宗教観の始まりと教団改革(2002~2003)
(4)オウム・麻原信仰からの転機――教団からの排除(2003~2004)
(5)代表派の活動――教団内での方向性の模索から脱会へ(2004~2007)
【3】オウムに入った背景――20歳でオウムに入るまでの私(~1989)
【4】サリン事件までの出家生活を振り返って
(1)出家~オウムの知名度が高まった時期まで(1989~1992)
(2)組織と教義が過激に変貌していった時期~サリン事件まで
(1993~1995)
【5】サリン事件後5年間を振り返って(1995~2000)
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はじめに
この総括文書は、2008年9月に公開したもののため、一年半経った現時点(2010年3月)から見ると、かなり不十分な内容となっています。
このたび出版された『二十歳からの20年間』は、その後の心境の変化などから、新たに別のパートを書き下ろし、この総括文書の部分については大幅に加筆・改訂しました。
つきましては、ご興味がありましたら、書籍の方をご一読いただけますようお願いいたします。(宗形)
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わたしは、2007年3月に、オウムの延長上の教団であるアーレフ(現在 Aleph に改名)を、上祐ら50人と共に脱会しました。そして同年5月に、役員の一人として新団体「ひかりの輪」の立ち上げにかかわり、今に至りますので、脱会して1年半が経とうとしています。
ひかりの輪では、今年の5月、脱会して1年経った節目に、元オウム信者としての償いの一環として、各人の総括・反省を書き綴り、いったんインターネット上で公開しました。
しかし、その後の4ヶ月で、さらに心理学的視点からの麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚(以下、麻原と表記)や自分自身の人格分析を行うなどのさまざまな総括の作業を進めていった結果、あらためて、あまりにおろかすぎるオウムと自分自身に気づかされ、心境の変化もありましたので、新たにまとめ直させていただくことにしました。
おろかにも、20歳で出家してから脱会まで18年、サリン事件から数えると12年ものあまりに長い間、オウム信者でい続けてしまいました。
そのようなおろかな一人として、い続けてしまった理由と脱却までのプロセス、気づいたオウムの問題点・反省点、その信仰にはまったプロセスを記し、それをもって教訓とし、せめてもの償いの一つとさせていただくことができたらと思います。
わたし自身は、サリン事件をはじめとするオウム事件についてまったく知らず、関与せず過ごしてきた信者だったために、「私は関係ない」「逃げたい」という気持ちがどこかにあり、活動や総括を遅らせてきてしまった面があります。
しかし、2000年以降、特に2003年から、上祐代表と活動を共にしていく中で、取り返しのつかないオウムの罪、社会に対してなした影響の甚大さを知り、気づき、オウム問題をこのままにして、生きていくことはできないという思いが生まれました。
そして、事件の事実関係とそれに至った背景を分析し、深めていくうちに、わたし自身の心の中も、オウムの悲惨な犯罪行為に至った精神構造を共有していたことに気づいていきました。
つまり、わたしがもし、95年の事件当時、あの精神構造のまま、絶対的権威である麻原から、同じように違法行為を指示されていたなら、良心と葛藤しながらも、断れなかったかもしれないのです。
そう思ったとき、死刑が確定している昔の仲間と自分との違いは、そのような環境に置かれず、麻原に指示されなかったという偶然のような小さな差にすぎず、私の心においてはすでに大きな罪を犯していたと気づきました。
そして、その心の根を絶たない限り、オウム問題が解決しないだけではなく、世界の宗教テロはなくならないと気づき、その心の根を絶つことが重要な贖罪の一つだと思うに至りました。
この手記により、わたしのようなおろかな過ちを犯す人が一人でも減り、いまだはまり込んでいる人が一人でも多く脱却していくためのなんらかの一助となれたら幸いです。
さらに、宗教やテロの問題、人の心理、病理に関する専門家の方々に、わたしたちを研究していただき、オウム問題や宗教テロの解決に向けてのお役に立つことができたらと願っています。