大切に想いをかけて
積み上げて
芽が出ない時間を
じっと我慢して

やっと芽が出たその芽を
悪びれた様子もなく
さも当たり前のように
御免遊ばせと
摘むその手に
わたしの心は捻り切られた

捻り切る手の持ち主が言う
捻り切られた者に言う
「わたしも」と
そして自分の不幸自慢が始まる


ささやかな喜びや楽しみを
やっと手にできそうになった時に
それをまるでわかっているかのように
問題を起こして
大騒ぎして
台無しにして

それを頼りに耐えてきた
わたしの心は耐えきれず潰れた

もう余力もなければ
自分ために使える時間もない

台無しにした張本人は
大騒ぎして疲れて眠る
何事もなかったかのように
すっきりした顔で眠る

散らかされた部屋を
わたしが片付ける

こうして心が死んでいく

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余裕のある人間は
余裕の無い必死で生きる人間の
なんとかすがって生きているような
小さな希望を
簡単に壊してしまうことがあるわ

わたしの母は
悪意を持ってそうしていたけれど

悪意の無い人でも
無知ゆえだったり
想像力の乏しさゆえだったり
軽率さゆえだったりで
ぎりぎりで生きている人の
希望を壊してしまうことがあるのよ

人はもっと
色んなことを考えて
想像力を働かせて
人と関わらなければ
いけないと思うわ

想像力は
好き勝手に妄想を膨らませて
訳のわからない絵を描いたり
訳のわからない歌を歌うことじゃないわ

誰かの背景にある
目に見えない領域を
推し量るためにあるのよ

目に見えないものを見るために
想像力があるのよ

色んなことを学んで考えて
想像力を働かせて生きなければ

壊すことはいとも容易く
治すことはかくも難しい