夕暮れ時から、だんだん暗くなっていく美しい空、少し涼しい感じで穏やかな気候。そんな中ボブ・ディランは定刻よりもやや早く、18時48分頃登場し、いきなり演奏がスタート。ボブはピアノ。アカデミー賞歌曲賞受賞「シングス・ハヴ・チェンジド」でフジロックのステージは幕を開けた。そして・・・なんとビックリ!スクリーン映像が映った!近年はほとんど許されていなかったし、あのデザート・トリップでさえほとんどなかったようなもの(写った時もチラッとあったけどモノクロだったそう)。なので、フジロックで実現したのはホント奇跡的。苗場のやや強い風でディランの髪がなびいている姿や(あんなにおでこ見えちゃってるの映しちゃって大丈夫か?なんて変な心配しちゃったりして)、ちょっとお辞儀した姿とか、ちょっとニカっと笑ったような姿とかしっかり見えました。
 
セットリスト的には、前回の2016年の来日公演の時はシナトラ・カバー(アメリカン・ソングブック的スタンダード・カバー曲)をメインに据えていたが、今回、遂に一曲も演奏されず、60年代の曲を6曲、70年代を2曲、90年代3曲、2000年代3曲、2010年代2曲と各ディケイド・年代ごとにバランスよく選曲。今年のツアーの通常のセットリストよりも60年代の曲を多めに入れ込み、かつ、ラストを入れ替え「風に吹かれて」で締めたのも(今年は毎回「やせっぽちのバラッド」が最後)、フェスを意識した選曲にしたのかも。しばらくやってなかった「悲しきベイブ」や超レア曲「マスターピース」が聴けたのはラッキー!そして、「サンダー・オン・ザ・マウンテン」が、まったくアレンジが変わっててこれまたビックリ!ロック色の強い締まったセットリストになっていた。(今年の基本セットリストなどはこちらを参照)
 
直前の韓国ソウル公演でギターを久々に弾いたことが話題となっていたが、フジロックではギター弾かなかったものの、一度もセンターマイクに行くことなく、全曲ピアノで演奏。これも珍しい。更には久々のハーモニカ演奏を「メイク・ユー・フィール・ラヴ」「やせっぽちのバラッド」「風に吹かれて」の3曲で披露。そして、いつもの如くのショーの間一言も発せず、ラストは「どーだ、今日の俺はどーや」と言わんばかりの会場中に睨みをきかせる、あの頭を下げないキメポーズ。フェスでも全く動ぜず、いつもの姿を見せつけるとともに、アレンジや歌いかたも変えて、またまた進化しちゃった曲もあったりと。全16曲、約一時間半のフジロックでのライヴ、今日も「現在進行形のボブ・ディラン」の姿を見せてくれました。
 
とにかく音が素晴らしかったし、スクリーン映像も奇跡的、あの美しく、雄大な自然の中、野外のシチュエーションで聴く、ボブ・ディランのライヴ。
 
とにかく気持ちよかったー。
 
というのが一番の感想です。その場にいないとわからない、日が暮れてゆく空の色とディランの音楽との視覚的な融合。ちょっと涼しい風が肌に当たり、草や木々の匂いと音楽との触感・嗅覚的な融合。そして、素晴らしきバックバンド(皆さん同じスーツで決めてましたね)の見事な演奏に絡むディランの声との聴覚融合。ライヴならではの独特の体験というか、ディランは何回も見てますけど、それらとはある種全く別物の極上の体験でした(もちろん屋内のライヴも当然全く別物の素晴らしさがあるんですけど)。フジロックでそんなディランの姿を見ることができた方すべての皆さん本当に本当に貴重な体験できたんじゃないですかね。
 
初めて見た人はどう思ったのかな?曲がわからなくても当たり前(オリジナルとアレンジ全然違いますし)、でも、とにかく体感して何かを感じてくれたとしたら嬉しいなと。また次に来てくれるときは、またまた違う姿を見せてくれるはずですし!
 
(写真はNGでしたので、ジャック・ジョンソンが終わった直後のスクリーン写したものを張り付けてみました)
 
【Bob Dylan 2018/7/29 Fuji Rock Festival 2018 Setlist】
1    Things Have Changed (Bob on Piano) /シングス・ハヴ・チェンジド (『Wonder Boys"(OST)』 2001)
2    It Ain't Me, Babe/悲しきベイブ(『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』1964) 
3    Highway 61 Revisited/追憶のハイウェイ61 (『追憶のハイウェイ61』 1965) 
4    Simple Twist Of Fate/運命のひとひねり (『血の轍』1975)
5    Duquesne Whistle/デューケイン・ホイッスル (『テンペスト』 2012) 
6    When I Paint My Masterpiece/マスターピース (『グレイテスト・ヒッツ第2集』 1971)
7    Honest With Me/オネスト・ウイズ・ミー (『ラヴ・アンド・セフト』 2001)
8    Tryin' To Get To Heaven/トライン・トゥ・ゲット・トゥ・ヘヴン (『タイム・アウト・オブ・ マインド』 1997)
9    Don't Think Twice, It's All Right/くよくよするなよ (『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』 1963)
10  Thunder On The Mountain/サンダー・オン・ザ・マウンテン (『モダン・タイムズ』 2005)
11  Make You Feel My Love/メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ (『タイム・アウト・オブ・ マインド』 1997)
12  Early Roman Kings/アーリー・ローマン・キングズ (『テンペスト』 2012) 
13  Desolation Row/廃墟の街  (『追憶のハイウェイ61』 1965)
14  Love Sick/ラヴ・シック (『タイム・アウト・オブ・ マインド』 1997)
15  Ballad Of A Thin Man/やせっぽちのバラッド (『追憶のハイウェイ61』 1965)
16  Blowin' In The Wind/風に吹かれて  (『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』 1963)
 
BOB DYLAN & HIS BAND:
ボブ・ディラン:ヴォーカル、ピアノ
トニー・ガーニエ:ベース
ジョージ・リセリ:ドラムズ
チャーリー・セクストン:ギター
スチュ・キンボール:ギター
ドニー・ヘロン:ペダルスティール、ラップトップ、マンドリン、ヴァイオリン