ディラン9公演目。再び東京に戻って今日から2連チャン。全16公演の折り返しです。19時00分開演、21時08分終了。セットリストは大阪と一緒。残り7公演


「こんな気がする」ディランを観て第八弾 ● 2016年4月18日

来日記念盤が出そろったCDとDVDの即売所は今夜も大賑わい。特典にメンコをつけているせいか人の波が途絶えない。一番売れているのは来日記念シングル『メランコリー・ムード』。お手頃な価格が買いやすくしているのだろう。


今夜は外人の姿が非常に目につく。彼らのお目当ては『メランコリー・ムード』のアナログ盤。「明日販売分を今夜売ってくれ」とか「値段を倍出すからお願い」とか、とにかく交渉してくる。海外から遠く日本までツアーを観に来た風でもあるので何とかしてあげたいのだが、そうもいくまい。明日早く来てくれれば買えるかもと言って納得してもらう。そんな熱気は、まさに<ディラン祭り>だ。


1. シングス・ハヴ・チェンジド 
センターでヴォーカル。今夜はいつもより乾いた声で歌い始めた。テンポが良い演奏のせいもあって全体的に軽い感じで歌っている。ウロウロしながらしめのポーズはいつも通り。

2. シー・ビロングズ・トゥ・ミー 
ディランはセンター。歌詞を確かめるかのように、そんなに崩さずに歌う。ただ声が荒れている感じがする。ハーモニカは自由に吹きまくった。

3. ビヨンド・ヒア・ライズ・ナッシング
ディランはピアノでヴォーカル。バンドメンバーが合わせどころを探るようにして演奏が始まった。作為なのかピアノで同じフレーズを繰り返すディランによってバンドの演奏は徐々にホットになり、後半のジャム演奏で見事にまとまった。

4. ホワットル・アイ・ドゥ 
センターでヴォーカル。声に深みがありながらもすごく身近に感じる。ディラン自身にとって歌いやすい曲なのだろう。快適に感じるテンポで満足そうに歌う。

5. デューケイン・ホイッスル
ディランはピアノでヴォーカル。バンドの自由な演奏がジャム風に展開し曲が始まる。歌い放つようなディランの歌唱スタイルとピアノ演奏のテンポの取り方に引っ張られてバンドが熱を帯び始めた。

6. メランコリー・ムード
センターでヴォーカル。名古屋と同様にイントロが流れ始まると悲鳴のような声が上がる。今夜は抑え気味のチャーリーの演奏によってあっさりとした感触の出来になったが返す返すも短い曲だ。

7. ペイ・イン・ブラッド
センターでヴォーカル。バンドとの音合わせがいつもより長く、歌は一語一語をきちっと表現するしっかりしたものでまとまりの良さが際立った出来となった。

8. アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
センターでヴォーカル。とてもリラックスした歌い出しに素晴らしい演奏のスティールギターが効果的に響く。ここでも丁寧な歌い方が印象に残り、上品に曲を終えた。

9. ザット・オールド・ブラック・マジック
センターでヴォーカル。今夜は随分と軽いタッチで歌っているせいか会場内が明るい空気に包まれる。後半にかけて凄みを利かせた歌い方をして、この曲に緩急をつけた。

10.ブルーにこんがらがって 
センターでヴォーカル。大分、肩の力を抜いたかのようにサラリと歌い出し、いつもよりやや崩して歌う。ハーモニカソロの入りが遅かったためチャーリーがディランを探るようにして演奏している様が印象的だった。

中央で、今夜も「みなさーん、ありがとう」、と言ってはける。

11.ハイ・ウォーター(フォー・チャーリー・パットン)
ディランはセンター。軽く淡々と歌うディランに過不足無いチャーリーのギターが深みを与える。チャーリーのギターソロの時に、いつものようにディランはウロウロ。力を抜いたかのようにして始まったヴォーカルも後半は凄みをきかせ、最後は両手を挙げてしめのポーズで曲を終える。

12.ホワイ・トライ・トゥ・チェンジ・ミー・ナウ 
センターでヴォーカル。ディランの声がクリアに良く聴こえる。陰影のある歌い方に悲哀をブレンドし素晴らしい出来となった。控え目なバンドの演奏も歌に寄り添った風で見事。

13.アーリー・ローマン・キングズ
ピアノ演奏でヴォーカル。抑え気味の歌い方で始まったものの徐々に力を入れながら煽るように歌った。各楽器の音が個々に良く聴こえ、バンドとしてまとまっている。ディランのピアノでのリフにバンドがいつの間にか合わせて迎えた素晴らしいエンディング。今夜のハイライトになった。

14.ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ
センターでヴォーカル。「ボビー!」と呼ぶ声が会場のあちこちで起こる。リラックスしているのだろう、やや崩して歌う姿からは歌の上手さが伝わる。

15.スピリット・オン・ザ・ウォー ター 
ピアノ演奏とヴォーカル。ディランのピアノ演奏は同じフレーズを繰り返すもので、バンドへの緊張感を与えているのか。一方でヴォーカルは穏やかで抑制されたもの。歌う事よりも演奏する事を楽しんでいるのだろう、足でリズムを取り、最後はジャム風にしめた。これまた今夜のハイライトとなった。

16.スカーレット・タウン 
センターでヴォーカル。怨念が籠った歌い方で凄みを利かせ、色を幾重にも上塗りして行くような不気味な怖さが漂う。ライティングの演出もシンプルながらも効果的だ。バンドのバランスが良い。

17.オール・オア・ナッシング・アット・オール
センターでヴォーカル。クールな歌い出しながらも徐々に熱を帯び大らかに歌う。この曲のカギを握るのはチャーリーのギター。ミラクルなソロを挟みながら全体の色合いを決める演奏力は本当に素晴らしい。

18.ロング・アンド・ウェイステッ ド・イヤーズ 
センターでヴォーカル。バンドの突き抜けるようなまとまった演奏がディランのヴォーカルをいっそう素晴らしいものにしている。歌も演奏も最高にバランスが良く、やったぜとばかりにしめのポーズをシセリに向かってするディラン。

19.枯葉
センターでヴォーカル。やはりこの歌が始まると共に拍手が起こる。今夜のディランはどこか淋しげに歌っているのが印象的だった。

ステージは暗転して後半を終了、客席からはアンコールの手拍子が続く。

20.風に吹かれて
ピアノ演奏とヴォーカル。独特な入り方で歌い始まったものの、そんなに崩さずに歌う。今回の日本ツアーで、この曲を聴く度にディランは素晴らしいバンドと共にしているという事実を再確認する。 

21.ラヴ・シック
センターでヴォーカル。バンドの演奏が最高のバランスで聴こえてくる。スチュとチャーリーのギターによって支配されるこの曲は、情けない内容を際立たせるギタープレイが鍵を握っている。今夜もチャーリーのギターが控え目ながらも雄弁に物語を語る。

スタンディングの観客を前にメンバーたちはステージ中央へ。ディランは右手を上げたりしながら何度もうなずき客席を見回して去っていった。