虚空を、あるいは、夢を見つづける母を想う… | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?
新型コロナウイルスに関する情報について

ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

ふいに、みつけてしまった…




これは、僕の母が書いた直筆の詩だ…

葉書2枚分の手漉き和紙に、それは墨汁で書かれていた

先日、実家に帰った際、本棚の隙間から、ふいに見つけたのだ



やれるだけやるだけ、生きている間にしかできないのだから、だから、やれるだけやるだけ…




という決意の詩…

僕の母は 詩人 であり、歌人 でありました

詩集を3〜4冊編み、故郷の小学校の校歌を作詞し、自身が暮らす小さな町の毎日夕方5時に流れる歌の作詞者でもあった

そんな母は自分に非常に厳しい生き方を課した

帰りの遅い銀行員の父を待つ間、その余った時間を活かすために始めた書道は最高段位を極め、弟と始めた剣道では有段者となり先生と呼ばれるようになり、その後始めた茶道でも自ら看板を掲げるまでになってしまった

さらに、詩人、歌人 として、県内であちこち呼ばれて飛び回り、演歌や郷土の歌を作詞し、幾枚ものCDを残した

当時は煩わしいと感じていた母だったが、いま、その足跡の断片に改めて触れると、その凄まじき努力と執着と不撓不屈に恐れ入らないわけにはいかない…

専業主婦として、子育てと家事以外の時間を自由に使うことを許されていたとはいえ、ここまでの 「生きた証」 を残した母の壮絶に、改めて触れ、絶句してしまった




そんな気丈であった母でありますが、いまはもう77歳となり、アルツハイマーを発症してから約10年ほどが経ち、現在は特別擁護老人ホームに入居している…




あれほどまでに煌めいていた感受性は厚い殻の奥に閉じ込められてしまい、父や僕や弟のこともわからなくなってしまってから、もう、かなり久しい



虚空を見つめることしかできなくなってしまった母…



口から食事をとれなくなり、お腹に穴を開けて栄養を直接胃に流し込むようになって、もう2年になるか…

そんな母の実践した「生き方」が、ふいに、本棚の隙間から出てきたのだ



…と、もう一枚出てきた






あぁ、母の話、もっと、たくさん聞いてあげればよかったなぁ



新しい詩が書けたんだけど聞いてくれる?


新しい句が書けたんだけど聞いてくれる?


新しい曲ができたんだけど聞いてくれる?




…その都度、僕はめんどくさがって、心から向き合ってあげられなかった




いつだったか…




確か、中学生の頃「クソババアっ」 と、怒鳴ってしまい、その時、ホロホロと泣いていた、真っ赤になった母の顔が蘇ってくる…




…いまさら謝りたくても


…いま、謝っても


…いまは、もう届かない




ため息と一緒に、涙が溢れる




後悔と悲しみが、鉛のように重くなって、背中に、心に、大きく大きく、のしかかってくる…






---- 子の語る 夢に夢のせ 春炬燵 (はるごたつ)



これは、母が僕たち兄弟のために謳ってくれた俳句…



先日、発熱が収まらなくて入院してしまった母の書類の中に、延命治療に関する同意書があった


父と改めて相談したうえで、もし、仮に、その時が来てしまった場合、母には自然に その時 を迎えられるようにしてほしい、と病院にお願いした



極端な延命はしないでほしい…と



だって、どうしようもない



果てなく悲しいけれど、無理矢理に、なにがなんでも生かし続ける…なんてできない



あぁ、わかってくれるかな


めちゃくちゃこわがりだった母だけど、わかってくれるかなぁ




母さん、ありがとう、ほんとうに、ごめんなさい




コロナ禍で会いに行けないけど、非常事態宣言が終わったら手を握りに行くよ


もうちょっと待っててね




御愛読感謝