[ふいに無性に]スガシカオの自虐と屈折の歌が聴きたい | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

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人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

今日の「ふいに無性に」は…




スガシカオ

♫黄金の月


…初めて聴いた時、ちょっとビックリしちゃいました



1997年発売のデビューアルバム「クローバー」に収録

この、超私小説的世界観と、かなりのハイレベルなる歪な屈折…

日本のアーティストでこの域の表現が可能なのか⁇ と、頬をつねったほど

コンプレックスと歪んだ欲望がぐっちゃぐっちゃになっていて、そんな中で悶え、世界や自分をいかにして肯定すべきか、と、人生という五里霧中の中で、懸命にもがく…

僕はそんな感じを受け取ったのだ

…ちょっと、他人とは思えないなぁ、と

で、音楽的にもファンク色の強いロック、ということで、日本語歌詞の楽曲としては斬新でした



ダークサイドからの、私小説的ファンク・ロック


それまで、よっぽどのことがないと日本のアーティストのアルバムは買わなかったのですが、デビュー作から3枚目くらいまでは買い続けました


で、やっぱり、アーティストって、コンプレックスと屈折が想像力の源泉、原動力にならざるを得んし、だからこそ、生み出されるのだなぁ、と、あらためて実感させていただきました



わかる…



ジメジメ、ジトジト、ウネウネ、ギトギト、ジリジリ…



この感じ

みなさんもご存知だと思う


…でも、ある時から、そんな苦役のような感覚を忘れてしまったような気がする


つまり、ある種の、理想的自己実現を諦めた時、よくもわるくも現実と折り合いをつけ始めた時から、日常的に取り憑かれていたような、こうした焦燥感や自虐思想から解き放たれはしなかったか⁇


諦めずに、抗うからこそ、激しく苦悩する…という側面は否定できない


諦めること、イコール、抜け殻になることを認めること…ではないのは前提として、でも、ちょっと、そんな気もする

経験上、そうだと感じている


で、僕はそんなふうに、理想的自己実現に蓋をし、現実世界と折り合いをつけることに抵抗しようとする試み…を、僕はこの ♫黄金の月 に見出し、そこに激しく共感したのだ

文学や映画…を通じてしか得られないそんな感覚を、わずか数分のファンクロックナンバーから受け取るとは、僕にとって、これはあまり前例がなかったし、その分、衝撃的でありました

この感覚は初めてだったなぁ〜


…しかしながら、残念ながら、僕は抗い続けられなかったのですが


無念…


で、この同じデビューアルバムに収録された、ある奇蹟の名曲も併せて貼りたい



♫月とナイフ



…という曲なんですが、これにも度肝を抜かれました

その素晴らしい歌詞の一部…


♫ 僕の言葉が足りないのなら 胸をナイフで裂いて 抉り出してもいい




♫ いつかまたあんな風に誰かを憎むのかな その時はもっともっと 

抱きしめて棘のように心に突き刺さればいい あなたにずっとずっと 残ればいい



…いやぁ、心底、震撼しました

ほぼアコースティックギターのみによる、この小曲はまさに至高の屈折、苦渋の宝石、奇蹟の名曲だと思います


何と言いますか、心臓を両手で包まれて、ギュっと圧縮されちゃうような、痛くて苦しい感じ…


これは凄い


前人未到の域、日本歌謡史上、最高峰の、珠玉の一曲だと僕は思います


で、僕は、いつかの失敗に終わった失恋の記憶が蘇るたびに、若かりし頃の自分の未熟と悔いを噛み締めながら、ふいに無性に、♫黄金の月 と ♫月とナイフ を聴いてしまうのだ


この領域、いつか取り上げた、異端のフォークシンガーソングライター友川カズキさんに通じるものがあるかなぁ…と


延々たる自己否定、現実否定、暗闇と足掻き…


この、狭い狭い場所に入ってゆく文学的混沌感はただならないものがある


ギトギトのグッチョングッチョンなる、脆さと儚さ、さらに、眩さと美しさ…


そんな深い井戸の底のような場所から、愛情や奇蹟を見出そうと抗う…

ややや


この感じ、僕はかなり、かな〜り大好きなのであります


屈折…なくして、芸術の発展なし


(^^)


御愛読感謝