ボクシングネタ、いまいち見つかりません
…っていうことで、ある映画の比較を少しばかり
同じカンヌ国際映画祭で最高賞の、パルムドールを受賞した映画の話
2018年受賞 是枝監督の「万引き家族」
と
2019年受賞 ポン・ジュノ監督の「パラサイト」
これね、かなり共通項ある
そのテーマ性ですが、現代アジアが舞台、貧困、格差、家族…
等を扱う背景が同じ
ただし、アプローチはかなり違う
「万引き家族」は写実性と客観性を通じて描ききるが、「パラサイト」は独自性と寓話性を駆使しながら描く
しかしながら、双方の映画が描く現代社会はそれぞれが、広大なる混沌として描かれ、その中で登場人物たちはある種の独善的ながらも、なんらかの秩序を見いだそうとし、そして、同じように破綻する
そのどちらの映画の家族とも、この冷淡な現実世界の前に、瓦解、崩れ落ちてしまう
さて、史上最悪と叫ばれている日韓関係でありますが、こうして日韓それぞれの映画が世界的映画祭で最高賞を受賞し、また、テーマがこうも奇妙に似通っているというのはなんとも興味深い
監督のスタイルの違いはかなりあるし、日本と韓国は似て非なる物とは周知の事実、軽々に比較して結論を出すのは危険
それぞれの優れた映画に勝敗をつけることは無意味であることは承知してますが、でも、あえて、あえて、どちらかに軍配をあげるとしたら…
「万引き家族」の勝ち
…かなぁ、と
この4、5日、ずっと考えてました
(^ ^)
理由は…
どちらの映画が胸に突き刺さったか⁇ が基準になります
「万引き家族」の安藤サクラのセリフが一番突き刺さったか、と
物語の中で、なぜ他人の少女を誘拐したのか? と問われた時の言葉
---棄てられていたから、拾っただけ
虐待されながら不幸のどん底で生死の岐路に毎日曝されていた少女を、拾っただけ
また、この一言も響いた
---産んだら誰でも母親なのか
育児放棄や虐待の限りを尽くしてもなお、産みさえすれば、それは母親と呼べるのか⁇
血は繋がってなくとも、高まる愛情や喜びを分かち合えれば家族以上の絆がそこにあるとは言えまいか⁇
さてさて、しかしながら、エンタメ性や洗練度では大きく水を開けられる形で「パラサイト」が優れていた、とは感じながらも、極限的に煎じ詰めた映画の核心の響き方、その純度を丹念に比べた時、僕の心は不器用な傑作、「万引き家族」を選んだ…
まぁ、ハッキリ言ってあまり意味はないかもしれないけど、ただ、これだけの類似性を持ちながら、それぞれが世界的評価を得た日韓の映画を並べて鑑賞できる機会はそうはないと思うので、ぜひともお勧めしたいかなぁ…と
で、ちなみに「パラサイト」の中でもっとも引っかかった台詞と言えば、ソン・ガンホが大洪水で非難中の体育館の床で寝ている時の言葉…
---どんなに計画しても思い通りにはならないから、無計画が計画だ
…的な台詞だった気がするけど、これかなぁ
これは極限的混沌の渦中にあって飛び出した台詞
あまりに厳しい現実世界に盾付き、跳ね返され、翻弄される小さな市民の呟き…
…スタイリッシュ感、発想、技術性は「パラサイト」の方が断然優っていた、と思う
でも、愚直にして誠実なる向き合い方において、今回は「万引き家族」に惹かれたかなぁ
しかし、どちらも非常に心を揺り動かされましたな
日韓パルムドール対決は是枝監督に軍配と評価しましたが、映画監督としての興味はポン・ジュノ監督にあるんだよなぁ〜
複雑だなぁ
(^ ^)
ぜひ、並べての鑑賞をお勧めしたい
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