「オールとやま」のメンバーを紹介するシリーズの4回目。
立山町の前沢、地鉄の榎町駅の、踏切を挟んで「はす向かい」にあるお菓子屋さんが、「登喜和(ときわ)」さん、その3代目が本田貴志さんだ。
店の初代となるおじいさまは、満州で終戦を迎え、現地で「まんじゅう」をつくって稼ぐことで、無事娘たちと帰国することができた、という武勇伝の持ち主で、
はじめはこの地で「パン屋」を開業したそうである。
その後「餅屋」に業種を転換、さらに和菓子にも力を入れて今に至る、というから、いわゆる「老舗」ではないのだが、お店の構えからは想像がつかないくらい(^^)大きな工場がお店の建物のうしろにある。
冠婚葬祭さまざまなシーンに、赤飯やお餅、饅頭や各種のお菓子をつくる、地域に密着した仕事ぶりで愛されてきた。
お店が大きな困難に直面したのは2011年のこと。使用していた井戸水に細菌が混入しているということで騒ぎになる。
原因はすぐそばで行われた立山中央小学校の建設工事であるとして、損害賠償を最高裁まで訴えたが、結局敗訴となり、「裁判所は弱いものの味方ではなかったのか」と、2代目はすっかり意気消沈したという。
なるほど、航空写真でみると、学校周囲の道路が不自然に曲がりくねっていて、
第三者からみても、プールから始まったという学校の工事の全体が、泥縄式の無計画なものだったのではないかという気がする。
訴訟などで、業界団体や地元行政の人たちから疎外されていると感じていた本田さんに、
政治や行政のあるべき姿を追い求めている人たちが声をかけた、というのが、
「オール」に参加するきっかけとなる。
「結局、田舎の人たちは地元の有力者のご機嫌を損ねないように、波風を立てないようにとしか考えていないんだろうと思いますよ。国政のことも、おかしいと思っても言えないような感じ。町おこしや地元産品とか言いながら、そんなふうでは地元のお店の後継者も帰ってこないんじゃないですかねぇ」
と、ソフトな語り口ながら鋭い発言である。
ご自身は東京の製菓学校を出て、高岡の老舗で修行。
毎年のようにオリジナルの新製品を考案している。
お店の看板ともいえるのが、地元でとれる「グミ」や、赤や黒の古代米を使用した「古代人」というシリーズ。餡に古代米を練り込んだお饅頭を手はじめに、県内で黒米を含んだ皮を作ってもらったという最中や、どら焼きなど、どんどん種類も増殖中のようである。
工場にある、自慢の「石臼」の隣でお顔写真をいただいた。
古代米本舗「登喜和」
立山町前沢3653
076-463-0224