7日夕に発生した地震

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車避難で渋滞多発 東北震度5弱、津波1メートル

 

 三陸沖で7日夕に発生した地震で、津波警報・注意報が発令された東北の沿岸部では、避難する車によって各地で渋滞が発生した。避難時の車利用のルールを地域でいかにつくり、住民の理解を深めるのか。東日本大震災で悲劇を増幅させた車避難の課題が、あらためて浮き彫りになった。
<買ったばかり>
 「昨年の津波で車を流され新車を購入したばかり。また車を流されたくない」
 岩手県釜石市の高台にある寺院に車で避難した主婦(47)が打ち明けた。同市中心部では夕方の帰宅ラッシュと重なり、幹線道路は避難する車で渋滞。信号無視や割り込みをする車も見られた。
 避難指示が出た宮城県石巻市では各地で渋滞が起き、高台の日和山公園へ向かう道路や内陸部の蛇田地区などに車が集中した。
 気仙沼市や塩釜市、宮城県亘理町でも高台へ向かう幹線道を中心に渋滞した。多賀城市では県道仙台塩釜線に車が殺到。消防車で避難を呼び掛けていた市消防団第6分団長の伊藤勲さん(67)は、交差点を通過するのに10分を要した。「緊急車両の通行にも支障を来す」と不安を訴える。
<1ヵ所に集中>
 車での避難については、国の中央防災会議の作業部会が震災後にまとめた報告書で、要援護者らに考慮して「限定利用」を認めた。一方で「ルールを各地域でつくる必要がある」と指摘したが、自治体や地域での取り組みは進んでいない。
 内陸へ接続する避難道路が少ないなど、課題が浮き彫りになった。
 南相馬市では福島第1原発事故の影響で閉鎖中の道路があり、市内から中通り方面へ向かう唯一の県道に車が次々と流れ込んだ。桜井勝延市長は「みんな原発のことを考え、避難しようとしたようだ。いざという時のため、避難道の確保は大きな課題だ」と言う。
 激しい渋滞が発生した石巻市も、海岸から避難する際の道路が少ない。市は車での避難も認めており、二上洋介防災対策課長は「渋滞緩和のため、一刻も早く避難道路を整備する必要がある」と話す。
<GSも大混雑>
 避難しようとする車などで、各地のガソリンスタンドでも渋滞が発生した。燃料不足で混乱した大震災の記憶を思い返したドライバーが多かったためとみられる。
 仙台市宮城野区の幹線道路沿いの給油所には地震直後から車がひっきりなしに訪れた。担当者は「大震災の経験から、車列を見て自分も給油しておこうという心理が働いたのではないか」と推測する。
 青葉区西部の郊外にある給油所は最大400メートルの車列ができ、午後10時ごろまで混雑が続いたという。
<災害弱者優先を/今村文彦・東北大災害科学国際研究所副所長の話>
 各地で渋滞が発生し、車での避難の危険性が再認識されたと思う。徒歩が原則と知りながら、便利さや寒さ対策から車を利用した人が多かったのでは。歩ける人は歩き、お年寄りや障害者ら災害弱者が車で優先して避難できるよう地域で理解を深め、ルールをつくることが大切だ。


津波注意報解除前に帰宅 待機呼び掛けに応じず

 

 東北地方で最大1メートル、県内では40センチの津波を観測した7日夕の宮城県三陸沖北を震源地とする地震で、県内沿岸部の自治体は8日、災害対策本部会議などを開き、被害状況を確認した。同日現在、新たな人的被害は報告されていない。ただ、県内沿岸部に津波注意報が出され、住民が東日本大震災を教訓に迅速に避難所に逃げた一方で、注意報が解除される前に避難所から自宅へ住民が戻ってしまったケースがあり、課題も浮き彫りになった。
 南相馬市は7日午後5時18分の地震発生直後から、市内89カ所の屋外スピーカーで津波注意報の発令を知らせた。同日、市内に10カ所の避難所が設けられ、午後6時10分時点では、371人が各所に身を寄せた。しかし、津波注意報が解除される前の同7時10分、避難所の人数は123人にまで減った。