9月に受けた健康診断(人間ドッグ)の検査結果がやっと出た。びっくりした。な、何と再検査だったのだ。「胃に辺縁硬化不整。要精密検査・内視鏡」とある。な、なんじゃこりゃ? 精密検査ということは、も、もしや……ポリープ? しかも悪性の? と言う事はガン。ガ~ン! 頭の中をネガティブな思考がぐるぐる回る。どうしよう? まだ子供も小さい。もしものことがあったら……でも、もうどうしようもない。自分も日本男児、こうなったからには、潔く覚悟をしようと涙目で自分に言い聞かせ、まるで志半ばで倒れた勤皇の志士のような思いで、再検査の病院に赴いた。初めて飲む、胃カメラ。先端に小さなカメラの付いた直径1cm弱の管なのだが、これが喉を通る時の気持ち悪さったら筆舌に尽くし難い。何度も餌付き、嘔吐を催した。涙は出放題、ヨダレはたれ放題、苦しいのなんのって。最近の西洋医学では、自分の胃の中をモニターで見れるのだ。自分の胃の中がまたグロテスクでたまらない。空気を入れられたり、内側のヒダを削られたりで、一体人の胃に何すんねん? と言った感じである。こっちは死ぬほどの苦痛にあえいでいるのに、医者はニヤニヤしながら胃の中を覗いている。その時医者が「あ!」と小さな声を出した。「な、何だ?」でも医者は何も言わない。どうしたんだ? え? 何があったの? 気になって仕方ない。でも口から管が入っているので喋れない。もどかしく思っていると、医者が「東さん、ちょっと前に潰瘍ができていてそれが治ったアトがあるだけですね」だって。悪性のポリープなんかじゃなくて、胃潰瘍の治った跡だったのだ。あ~良かった、と思わず胃カメラの入った胃をなでおろした。